その155.今のあの子が、へーじよりも優先する物ってなんなんだろうね……
あれから、私とサクで病院に付き添った。
結構近場だが大きなん病院だった。
私も昔何度かお世話になっている所だ。
へーじは直ぐに連れて行かれ、手術が行われた。
それから何時間経ったかは解らない。
私達はへーじの無事を祈って待ち続けた。
へーじは何とか一命を取り留めた。
かなりギリギリだったらしいが、奇跡的に回復を見せたのだ。
今は、へーじは白いベッドの上で眠っていた。
自分で呼吸をするのも困難なのか、口に呼吸の手助けをする透明のマスクを付けられていた。
腕には細いチューブが付けられており、そのチューブの続く先を見れば献血中なのが解る。
他にも素人目じゃ解らないようなチューブが繋げられていた。
チューブが刺されているのとは逆の腕は包帯でぐるぐるに巻かれていた。
顔のアザ等の傷も痛々しい。
へーじがどれほど必死だったかを物語っていた。
一命を取り留める事は出来た。
しかし、未だに目を開ける事は無かった。
あれから一日が経った。
ぐるっと一日を一周したのだ。
私達は長い手術が終わった後、そのまま病院に泊まった。時間は解らなかったが、窓から見える外がうっすらと明るくなるのを見て、結構な時間なのが解った。
次の日に、一度家に帰った。
爆睡してるサクは起こすと悪いと思ってそのままにしておいた。
昼には同じクラスの人や、先生達と共にへーじのお見舞いに向かった。
だけど皆直ぐに帰った。
目も覚めていない状態のへーじと一緒に居ても、
話し様は無いのだから仕方が無いかもしれない。
だけど、私は残っていた。
残っていた理由は二つ。
一つは、
眠っているへーじが目覚めるかなって、思ったからだ。
別に何か意味があったわけじゃない。
何となく、何となく気になった。
それともう一つは……縁ちゃんだ。
縁ちゃんは、私達が来た時にもここには来なかった。
まぁ、そんな事を言っても、私はいつの間にか寝てしまった様だけれど。
今は、病院の明かりも消されている様で……思っていた以上に寝ていたかもしれない。
携帯を取り出して時間を確認した。
夜の11時。
……あっちゃー。
私は、しまった、と軽く舌打ちをする。
これでは縁ちゃんが来たとしても気づく事は出来ない。
……そうだ、サクが縁ちゃんと会っているかもしれない!
辺りを見渡す。
サクも私と一緒に、皆と帰るよりもへーじと一緒に居るのを選んだ筈なのだけど……?。
見渡す限り、サクは見当らない、時間も時間だし、帰ったのかな?
私はあからさまに溜息を付く。
あのお馬鹿さんは本当に使えないわね……。
「ねー? へーじー……」
そう言って同意を求めるも、へーじが言葉を返す事が無いのは解ってる。
「…………呑気に寝ちゃってさー」
へーじが聞いているわけが無いのは解ってる。
だけど、それでも話しておきたい事があった。
それは縁ちゃんの事。
志保から電話を貰った。
泣きながら、志保は何があったかを教えてくれた。
「縁ちゃんが……今どういう状況か知ってる?」
私は縁ちゃんがどういう状況なのか、必死で情報を集めた。
……縁ちゃんは、今、闇の中を駆け抜けている。
光を照らしていたあの子が、自ら闇の世界にはまってしまっている。
「ひたすらにね、悪人を倒し続けているらしいの、聞こえは良いかも知れないけど、見境無い上にやり過ぎてる」
縁ちゃんは、どうしたんだろうか。
「あれがアイツだよ」
声は後ろからした。
私は慌てて振り返った。
その先に、サクが居た。
右手に缶ジュースを持っている所を見ると飲み物を買いに行っただけのようだ。
「帰ったんじゃ無かったんだ……」
サクは私を一瞥した後、手に持つ缶ジュースを開けていた。
「縁は来てねーぞ」
私の期待した言葉は返ってこなかった。
「……そう」
明らかに自分の声のトーンが落ちたのが解った。
縁ちゃんは、へーじのお見舞いに必ず来ると思ったんだけど……。
「今のへーじよりも大切な事って、あるかな」
無意識に言葉が出ていた。
私の言葉を聞いて、何故か、サクが表情を曇らせた。
もしかしたら縁ちゃんの今の状況を解っているのかもしれない。
「アイツは……」
サクはそこで一度区切った後、視線を落とす。
言いたくないのかな、それとも言い難い事なのか。
ただ、『アイツ』が縁ちゃんの事を指しているは解った。
「アイツが何であそこまで『正義』に拘るか知ってっか?」
そういえば、考えた事も無かった。
只単に良い子なんだと思ってた。
それだけじゃ、無いの?
サクは語りだした。
縁ちゃんの過去を、過去と言っていいのかは、解らない……けど。
でも、私ですら知らなかった。
縁ちゃんが執着する『正義』がどういう物なのかを。
合宿から帰ってきましたー。
行く前に一話は投稿したかったんですけどね〜(==;)
無理でした(笑)
久々に小説のランキングを見たら四つも下がってた……orz
う〜む。。もっと小説が上手かったらランキングも挙がるんでしょ〜ね〜。。
上手くなりたいですね〜(拙劣)