表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/189

その137.何処で間違ったんだろうね? こんな貧弱男が、強盗に立ち向かうなんてさ

 ヒヒヒヒヒ! 逃げろ逃げろ!

 ガキが俺に背を向け、廊下を必死に走っている。

 この先が行き止まりとも知らずに、

 長い時間ウロウロとしていた俺はここらへんの地形を大体把握出来た。

 偶然見つけた鉄パイプは手にしっくりと来る。

 今からこれでボコボコに出来る。

 ずっと我慢して来たんだ……。

 もう我慢しなくて良い。

 殺せる、殺せるぞォ!

 


 

 …………そうだ。

 あのガキは頭が良い。

 もしも、俺の考えた事と同じ事を考えたのだとしたら……。

 それを打ち消されたら。


 最高に絶望的な顔をするかな?

 ヒヒ!

 まぁ、あのガキがそこまでしてくるとは考えにくいが……なァ。

 一応……念には念を、なぁ……。


 あの顔がもっともっと恐怖で固まるのを見れると思うとサイッコーだなァ!


 ポケットに手を突っ込むと、数錠の薬とカプセル状の物も幾つか取り出す。

 それを水も無しに口に突っ込むと、バリバリと音を立てて噛む。

 

 突然湧き出る高揚感。

 頭がフラフラする。

 浮遊感が気持ち良い。

 体が火照る。

 

 気持ちィィィ……薬切れそうだったんだよなァ、ィヒ!。

 

 

 八木は大量の薬をくれる。

 俺が奴に付いて行ったのは、そういった理由もある。

 この強盗に帰ったらもっとスゲー薬をくれると聞いた。

 そして大量の金も手に入る。

 暫くは、薬に困る事も無い。



 …………。



 ああ、俺は何をしてんだろーなァ…………。


 ふと過ぎった考えも、頭の中の高揚感が直ぐに消し去ってくれる。


 そうだ、考える必要は無い。


 今は、この気持ち良さと共に、殺しを楽しもう!

 

 ヒヒヒヒ!




 男が、この部屋に入ってから数分は睨み合いが続いて居た。

 いや、睨んでいるのは僕だけで、男の視線は僕を睨む、といった感じでは無い。

 虚ろな目を僕に向けては居るが、本当に僕を見ているのかは疑わしい。



 男は虚ろな瞳のまま、僕に一歩ずつ近づいて来る。

 僕は後ろへは下がらない。

 タイミングを合わせて、避ける!


「ヒヒ!」

 男が僕に向けて一歩踏み出し、鉄パイプを振り下ろす。


「ッ!」

 慌てて僕は後ろに飛んだ。

 目の前を鉄パイプが縦に振り切られるのに寒気を覚えた。

 男は続けて僕を狙って攻撃してくる。


 ブゥン! ブゥン! と、目の前の鉄の棒が二回振り回される。

 空気を切る音が生々しい。


 その鉄の棒が振り下ろされるのに合わせて、僕は後ろに、後ろに逃げる。


 ここで僕は確信する。


 ……避けられる!


 横に飛んだり、しゃがんで避けるのはタイミングが難しいかもしれない。

 しかし、後ろに飛んで避けるのはタイミングが早すぎても失敗する事は少ない。


 そして思ったよりも男の動きはのろい。

 しかも、妙にフラフラしている気もする。


「へひ……ヘヒヒィ……」

 覆面から覗く目がギョロギョロと動いている。

 ……気持ち悪い。

 

 思ったよりも、この部屋が広い事が助かった。

 広いと言っても壁は有る。

 角や壁に追い込まれない様に後ろに飛んだ後は、

 男を中心に回る様に行動する。

 

 男は笑い声を挙げながら、ひたすらに攻撃をしようとする。

 僕はタイミングを合わせて後ろに飛ぶ。

 動かない右腕が邪魔だが……上手く避けれている。

 だが、避けているだけじゃ、いつかは捕まる。

 もう疲れはピークに達していた。

 正直、足を動かしたくない……。

 何度も逃げ回り、二人の覆面と戦い、貧弱な筈の男がここまで動いたんだ。

 寧ろ褒めて欲しいぐらいだ。


 僕の視線は鉄パイプから一瞬男のポケットへ視線を移した。

 重い拳銃をポケットに入れているからか、ポケットは縦や横に大きく揺れている。


 タイミングを見計らって拳銃を奪おう!

 考えとしてはそれしか浮かばない。

 駆け抜けて逃げる考えもあったのだが、流石に足をそこまで動かせれる気がしない。

 何よりも奪い取ったら確実に僕の逆転だ! 




 男は鉄パイプを思いっきり振り回す。

 横に、縦に殴りかかろうとしてくる男の目はとても楽しそうだ。

 その目に寒気を覚える。

 男の、横の向きの攻撃の時は次の攻撃が来るのが早い!

 チャンスは縦に振って来た時だ。

 力を込めて振った分、硬い床に当たる。

 床を打ちつけた時の振動のせいか、動きが一瞬鈍くなる。


 狙いはそこだ!

 

 

 音を立てて横に一回。

 後ろに飛んだ後、男と着かず離れずの距離を保つ。

 折り返しでもう一回横に鉄パイプが迫る。

 再び後ろに飛ぶも、鼻を鉄パイプが掠めた。

 ッチ、という嫌な音と、鼻先が妙に熱い気がする。


 

 ッ!!! し! しししし死ぬかと思ったァ!



 次に男は横から縦に振り被った。


 き、来たァ!


 タイミングはもう読めてる。

 鉄パイプは怖い……だけど、歯を食い縛って前に出る!


 彼女なら、縁なら恐れずに前に出るのだろう。

 なんてどうでもいいことが脳裏を過ぎった。

 

 振り下ろそうとする瞬間に横に出る。


 目の前を鉄パイプが通過して行く、

 男の視線はワンテンポ遅れて真横に居る僕の方を向く。


 その視線は驚きで僕を見入る。

 その感、スローモーションの様に男と僕の視線が絡まる。


 僕は久しぶりに、余裕を見せて、嫌味をたっぷり込めて笑みを向ける。


 瞬間的に スローモーションは終わった。

 男が床に鉄パイプを打ち付け、僕は男のポケットから拳銃を抜き取る。

 

 床を打ちつけた鉄パイプの音が部屋中に木霊する。

 それを聞きながら一歩後ろへ飛ぶ。

 男が遅れて鉄パイプを横に一閃。

 だが、残念。少し遅かった。

 余裕を持って僕はそれを回避。


 タンタンと後ろへ飛ぶ。

 持った拳銃は思った以上に重い。

 動く方の手で拳銃を持ち直し、ハンマーと呼ばれる出っ張りに親指を掛け、

 カチリという音がするまで倒す。

 そして人差し指を引き金に掛ける。

 銃口は忌々しいクソ野郎に。


 嫌味を込めて一言だけ。

 満面の笑みと一緒に。



「僕の勝ちだ」



更新遅くなってすいまっせーん!

反省しておりまつ……。

ですから今回は3話同時更新ッ!!!凄くね!?私メッチャ頑張ったっぽくね!?

え?一話一話が短い?


……。


知らんわぃ^p^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ