表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/189

その124.心優しい中年の覆面

 大きな広間に出た。

 そこで足を止める。


 怒り狂ったカス共の罵声が後ろから聞こえてくる。


 それを無視して広間を見渡す。

 広間の先に廊下らしき物は見当らない。

 ここが行き止まりの様だ。

 

 廊下は無いが、かわりに幾つかのドアが存在している。

 隠れる場所も多い。


 ここに出た事は、予定通り。

 頭に叩き込んだ大きな銀行の地図の通りに進んで来たのだ。


 ここが……僕の、戦場になる!









 チキショウ! まだ目がイテェ!!

 目を擦りながらガキを追う。

 はらわたが煮えくり返る。

 あのガキをくびり殺さなきゃ気がすまねェェェ!! 


 他の奴等も俺と同じ気持ちだろう。

 あんなガキになめられちゃ、怒らない方がどうかしてる。

 

 出たのは大きな広間。

 ガキの姿は無く、この大広間の先に廊下は無い。

 変わりに多くのドアがそこに存在していた。


 俺達全員が辺りを見渡す。

 そして、俺は誰に言うでも無く零す。


「別れて探すぞ……」


 俺の一言と共に俺達全員が散り散りに別れる。

 思ったよりも大きい。

 この広間を手っ取り早く探す方法に、別れて探すのは非常に適していると思う。


 それに、八木さんに知られる前に、殺しておきたい。


 


 知られる前に、カードを奪わなきゃならねェ……



 大金をバッグに入れて、隠しておいた後、脱出時に持っていくつもりだ。

 それを行うには、サッサとあのガキを殺さなきゃならねェ。


 金は俺の物だ……フヒヒ。

 俺より先にガキを見つけた奴も殺さなきゃならねェなァ……フヒ、フヒヒ!


 最初からこのつもりだ、分け前なんて、考えていない。

 全員で別れて、あの子供を捜すことになった。


 ポケットに突っ込んだ黒光する拳銃のなまなましい重さに眉をひそめる。


 他の奴等の考えは知らないが、俺の考えはあの子供を殺す気は無い。

 カードだけ奪って人質達の所に返すつもりだ。

 子供を殺すのは気が引ける。

 邪魔をするのなら殺すしかないが、素直に捕まってくれるのなら危害を加える気は無い。


 子持ちだからそんな風に思ってしまうのだろう、と一人苦笑を漏らしつつ数多いドアの一つを開ける。

 開けながら先程のコショウ爆弾を思い出し、それが自分の子供が良くしていたイタズラとダブった。

 もう一度、小さく苦笑する。

 

 ドアの先は暗闇が広がっていた。

 排水溝と思われる所からの空気の音が聞こえるほどに静かだ。


 いない。


 ドアの外からの光で只の倉庫であることを確認した。

 ドアを閉めて次のドアへ。

 

 離婚した俺の元嫁は既に家庭を持っているらしい。

 離婚はリストラして直ぐ後の事だった。

 もうすぐ40を越える。

 この不景気に俺を雇ってくれる会社は無いだろう。

 だから悪い事をするしか無かった。

 インターネットで知り合った八木という男に言われるがままにここまで来た。

 だが、俺は何処かで捕まる事を望んでいたのかもしれない。

 入り口の封鎖のミスは、そんな俺の無意識の気持ちだったのか、俺の単なる失敗だったのか。今では解らない。

 今は、取り敢えず。

 あの子供を助ける事を優先したい。

 他の覆面の奴等に見つかる前に。

 特にあの目を血走らせた若者と思われる男に見つかる前に。


 少し足を速めつつドアを開けて行く。



 いない。

 

 既に四つ目と思われるドアを閉める。


 その時、ガタンッという音がした。

 今閉めようとした部屋から。

 

 隠れているのか!

 

 暗がりの部屋の中に恐る恐る入る。

 そしてドアを閉めた。

 他の奴等に知られて殺されては行けないと思ったのだ。

 外からの光は遮断され、闇が目立つ世界になった。

 


「居るのか!?」

 声を張り上げてみる。

 返事は無い、それでも続ける。


「無駄な抵抗はやめろ! 大人しく人質をしていれば助かる!! 今ならまだ間に合う筈だ!」

 俺の声は闇の中に吸い込まれていく。

 そうだ、八木は言った。大人しくして居れば人質は殺さないと、


 返事は無い。

 だが、確実に居る筈だ。

 居て欲しい。

 


 俺は声を張り上げながら闇の中、歩を進めた。

「八木には何も無かったと言っておいてやる! だから大人しく捕まってくれ!!」

 俺は続ける。


「今だったら何もしな……!?」

 そこで俺の言葉は途切れた。

 足に何かが引っかかったのだ。

 予想外の事に、そのままつんのめって大理石の床に顔をぶつけた。

 派手に転んだ。 


「っぐ!」

 自分の悲痛の声が漏れる。

 鼻から温かい物が垂れている事に直ぐに気づいた。

 鼻をぶつけたらしい。

 

 痛い、という考えをする前に転がっている俺の頭越しに声が聞こえた。


「な・に・が・助かる、だ、だったら行動なんかしないっての」

 その声と共に、ブォッという何かを振る音が聞こえた。

 寒気が走ると共に横に転がった。

 

 直ぐ横で、つまりさっきまで俺が居た所でガキィン! という金属音が響いた。

 破片が顔に飛んでくる。

 子供が、何か硬い棒を振り下ろしたのを瞬時に理解した。


「っひ!」

 大人とは思えない短い悲鳴を上げて慌てて立ち上がった。

 足に絡まった物を気にせずに、走ろうともがく。

 この場から離れたかった。

 純粋に怖かった。


「逃げたら一撃で決めれないから……余計危なくなるのに……」

 人事のような子供のあどけない声が離れていく。

 暗がりがの中を必死で進んでいる時に気づいた。

 思ったよりも、部屋が広いのだ。

 暗がりの中、どっちがドアだったのか解らなくなった。



 ……そこでドッと冷や汗が出た。

 もしかしたら、有利なのは俺では無く、あの子供……?


 いや、落ち着け……相手もコチラは見えていない筈だ。

 自分で自分を落ち着かせる。

 そこで足に未だ絡まった物を取ると、

 暗がりの中、近づけてよくよく見ると。


 それは子供用の縄飛び。


 プラスチック製のそれは、見えていなければ丈夫なロープにも思える。

 何故こんな縄飛びが足に絡まったのか。


 ……考えなくても解る。

 あの子供は最初から準備して居たのだ。

 俺を目標にして。

 

 大した子だ。

 大人の俺に立ち向かう事は勇敢だと思うが、こっちには拳銃が在る。

 所詮は子供だ。


 

 壁を伝って歩く事にした。

 相手がコチラを見付ける事も無いだろうし、壁に沿っていればドアか電気のスイッチには触れるだろう。


 「残念、ドアはそっちじゃない」

 子供のあどけなさが残る声が直ぐ横でした。

 それと共にヒュンッ! と、振り被る音。


 

 一歩後ろに飛んだ。

 再び目の前で破片が飛ぶ。


 そん、な! 馬鹿な!!。


 

 子供は確実に俺の頭を狙って振り下ろしていた。

 つまり、見えている。

 


 ……侮るのは、やめた方がいいのかもしれない。

車に轢かれました。

遠くに来ても、私は車に好かれるようです。

いいですけどね、慣れてますから!

こんな事を自信満々に言っている自分をぶん殴りたい(泣



メッセージを送って下さった方へ。

この様な所で返信失礼いたします。

宜しければ……また誤字を見付けて頂けたら、連絡して頂きたいでス。。。

自分のミスですが、直して行きたいので宜しくお願いいたします><


何故この様な所で返信させて頂いたかというと、私のパソコンはお馬鹿さんの様で、メッセージからの返信が出来ません、あしからず。(あしからずの意味ってなんだっけ……)


もし、他の方からのメッセージが有りましたら、宜しければ後書きから返信させて頂く形になるかもしれません。

折角送って頂いたものでしたので、キッチリ返信したく思います。


イラネーヨ! という方、最後に付けたしをして頂ければ幸いでございまする。。。

ほんとにイラネーヨ! と書かれてたらちょっと凹みます。

自分で言っといてすいまっせーーん!!

ガラスなの!心はガラスのハートなの!!

打たれ弱いんです!!

だけど気持ちじゃ負けない!(?)


というわけでした〜(?)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ