その122.早く殺してーなァー……
ビニール袋から子供用のバッグを取り出し、ビニールの中の物を幾つか入れていく。
何も言わない僕の横で、縁が不安そうな表情を見せていた。
不安なのも解るだろう、こんな貧弱な男が戦うなんてぬかしてるんだから。
だけど、君みたいに『力』でねじ伏せる事だけが全てじゃ無い。
入れるものもいれて、子供用のバッグを肩に掛ける。
……今度買って返さなきゃなァ。
なんて、子供用のバッグを見ながらどうでもいい事を考えてしまった。
……ま、アレだよね、買って返すんなら生きて帰らなきゃね。
そうだ、後、縁が欲しがってたロザリオも買わなくちゃ。
…………喜ぶかな。
八木さんは未だに帰ってこねェ。
覆面を付けたままだが、大きく欠伸が出る。
暇だ。
正直に早く帰りたい。
ここを出れば大量の金が入ってくる。
サツが来てる様だが……八木さんが何とかしてくれんだろ。
八木さんはスゲェ。
こんな計画をして、ほぼ成功に近かった。
ミスをした野郎を殺したかった。
まぁ、全員覆面付けててわかんねーけど。
他の奴等も八木さんが呼んで来たらしく、全員知らねェ。
そうだ、コイツ等を全員殺したら分け前増えるんじゃねーか?
自分で考えて、無意識に頬が緩む。
この銃を早く使いてーんだよな。
日本で手に入る筈の無い兵器。
漫画や映画みたいにこの銃を使うのをどれだけ夢見たことか。
さっきの人質のガキをコレで殺したかった。
……実に残念だ。
アイツは何様だ? お前等は人質なんだよ。 つまり俺達の物なんだ。
ビクビク震えている方がいいっての。
八木さん帰ってくるまで暇だし、人質の女をどいつかヤっちまおうかな。
良いよな? アイツ等は俺等の物なんだからよォ。
さっきの髪の長い女なんか良いよな。
一緒に居たし、あのガキの彼女か?
ヒヒッ……あのガキの目の前で犯してやるってのも良いなァ……。
考えるだけで興奮する。
その時。
自分の横を、そのガキが通過して行った。
肩に揺れる子供用のバッグ。
あ? コイツ何してんだ? 何勝手に動いてんだよ。 いいのか? 殺していいのか?
銃口をガキの頭に向ける。
アイツは後ろを向いていて気づいていない。
脳みそ吹っ飛ぶの何て見るの初めてだなァァァ……。
引き金に指を掛けた時。
「おい、どこに行く気だ」
ガキに別の覆面の野郎が話しかけやがった。
ッチ……黙っとけよ。
仕方なく銃を下ろす。
気づいてねーんだからうまく当てれると思ったのによ。
ガキがこちらを振り返る。
ガキは明らかに挑発を向けるような微笑を浮かべていた。なんだァ? 頭おかしいのかァ?
「お前等」
ガキは更に挑発したような言い方で俺達を睨む。
……人質の分際でお前等だァ?
俺の中でのイライラが募る。
「金が、欲しいか?」
その一言を発しても、俺達は全員声を出さなかった。
だが、口に出さなくても答えは全員一緒だろう。
金が欲しくなけりゃ銀行強盗なんてしない。
ガキは饒舌に続ける。
「まー金が欲しくなけりゃ、こんな馬鹿げた事はしないわな」
その言葉に俺含む覆面達に殺意が沸いたのが解った。
このガキはどーやら死にてーらしい。
俺が再びガキに銃口を向けると、次々に他の覆面達も銃口を向ける。
それでもガキの表情の笑みは、消えない。
……っへ、ハチの巣にでもなりナ。
全員が引き金を引こうと指を掛ける。
その時、ガキはポケットから小さな長方形の物を出した。
薄いが、柔らかくは無い。
見ていた俺達全員の目にそれは映っているだろう。
カード。
ガキは微笑を大きな笑みに変えて言った。
「銀行の隠し金庫を開ける為のカードだ」
その言葉に全員が固まった。
固まった俺達を無視してガキは更に口を開く。
「さっき撃たれたオッサンが目を覚ましてね、カードをお借りした」
全員黙って聞いて居た。
八木さんというリーダーが消えた瞬間から統率なんて物は無くなっている。
そこらへんから集めたような俺等にチームワークなんて物を求める方が馬鹿だ。
ガキは俺等が注目しているのを察したかのように不気味に笑う。
「このカードがほしかったら、今すぐ人質を解放しろ、金だけ手に入れてサッサと消えろよカス共」
明らかに俺達に挑発した様な言い方。
これ見よがしにカードを見せるガキに、覆面共の殺気が集中しているのがわかる。
人質達の不安そうな視線もガキに集中している。
全員が、ガキを見ているのだ。
少しの間、沈黙が続く。
沈黙を破ったのは覆面の一人。
「お前殺してカード奪えばいいだけだろーが」
その言葉と共に、俺達はガキに一歩近づく。
そう、殺しゃいーんだ。
フヒヒ、殺せて金も手に入って、一石二鳥じゃねーかァ……。
ウズウズしてくる。
殺したい。
早くこの銃を使ってみたい。
銃を向けられているのに、ガキは笑みを浮かべたまま。
「あっそォ?」
ガキの間の抜けた声と共に、手に持っていたカードを片手でゆっくり曲げていく。
カードはガキの力でUの字になっていく。
ガキの行動に俺達は立ち止まる。
それを見たガキはケラケラと馬鹿にした様な笑い声をあげた。
「いいわけ? カードはコレだけ、あんた等が僕を撃つのが早いか、僕がこのカードを折るか、どっちが早いと思う?」
俺だけで無く、今ここに居る全員が考えた事は一緒だろう。
このガキは
俺達を舐めてやがる。
覆面で隠れて居ても、俺を含む覆面の奴等の表情が戸惑い、そして怒りを震わせているのが容易に解る。
カードを俺達に見せつけながらガキは一歩、また一歩と後ろに下がる。
そして、銀行内の奥に消えた。
消えた瞬間に俺達は目を血ばらせながら走り出す。
後を追う為に、莫大な金と、身の程知らずなガキを殺す為に。
フヒヒ! 狩りの時間だ!!。
今回の小説ではあまり宜しくない表現が多くあったと思います。
嫌な気持ちになった方がイラッシャったら申し訳ありませんでした。。。
そして、この様な表現はいらない。
この部分は必要ない、と思った方がいらっしゃればお教え下さい。
今回の小説は不味いかなー……と、ちょっと自分でも思っていますので(−−;)