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その120.甘すぎた僕の考え、どうする……僕に……何が出来る……

 男は未だに帰ってきていない。

 外で一体どんな交渉をしているかは解らずじまいだ。

 縁はと言うと、何故か顔を赤らめたまま、僕を見ようとしない。

 僕がお礼を言った後、「は、は!? い、意味解んない!」等々わけのわからない事を言いまくって、そのままそっぽを向いているのだ。


 相変わらず訳の解らない子だ……。

 表情は見えないが、髪の間から見える耳が真っ赤だ。

 真っ赤になる程に僕がお礼を言ったのはおかしかっただろうか?

 ううむ……。



 縁は置いといて、僕達人質を囲む様に銀行強盗の男達は立っている。

 この状態から1時間以上は既に経過している。

 時々4人の内の一人が外れたりしているものの、

 僕達人質から目を離す事は無い。

 緊迫している空気は続いているが、

 僕達に対して危害を加える様子は今の所無いと見て、

 人質達の動きも柔らかくなって来て居る気がする。


 多分警察が助けてくれるんだ……多分。

 チラッと、横見で、あの撃たれた中年男性の方を見てみる。

 荒い息をしながら眠っている。

 無理矢理に腹を捌いたのだ、長くここに居ていいわけじゃない。

 こればっかりは、どうしようも無いのだ。



 ……うん、折角助けたのに死なれちゃ胸糞悪いんだけどね。


 そんな風に思っている僕の耳に、喋り声が入ってきた。

 大声で喋っているわけでは無い、どちらかと言えば耳打ちの様な小さな声。

 

 その声は僕の後ろから聞こえる。

 円状になっている人質達の、僕と縁は外側に居る。

 

 位置的に僕の近く、真後ろに居るのは見張りをしている銀行強盗の一味だ。

 見張りをしているこの二人の男の声は、少なからず聞こえてしまう。

 真後ろに居るのだから仕方が無い。

 周りは銀行強盗達に近づくことをしない様にしているので、誰もこの声を聞いているわけでは無さそうだ。

 銀行強盗の男達も、あまり警戒して居る様子も無く喋っている。

  

 ……どうせだ、何か情報が貰えるかもしれない。

 僕は耳を傾ける。



「なんで八木さんは、あのガキを殺さなかったんだ?」

 八木……というのはコイツ等のボス、あのボーズ頭の男の事だと思う。

 そしてガキ、は当然僕だろう。

 そのガキである僕が真後ろに居るのは気づいていないらしい。


「殺す必要が無いからだろ」


「なんでだよ、あのガキ死ぬ所見たかったんだけどよ〜」


 その言葉に背筋が寒くなる。

 人の命を何とも思ってないのが容易に解る。



「結局殺すんだから、後だろーが今だろーが変わねーだろ」


 その言葉に、再び寒気が走る。

 結局は僕を殺す予定なのか…… クソ。


「ギャハ! 何? やっぱ殺すわけ?」


 楽しそうに笑うこの男をブン殴りたい。

 まぁ、出来る状況では無いけれど。

 そんな事で笑えるこの男は一体なんなんだ?


 だが、僕の考えていたのとは、言葉の意味は違ったらしい。

 冷静そうな男の声がまた聞こえる。

「違う、そういう意味じゃない」


「は?」


 嫌らしい笑い声を上げた男と同じように、は? と思っていた。

 こんなクズ野郎と一文字だけだが、同じ風に思ってしまった自分がムカつく。


 だが、もう一人の言ったそういう意味じゃない、とはどういうことだ?


 僕を後から殺すという意味じゃ無いのか?


 その疑問はすぐに解った。

 


「結局全員殺すだろ」


 その言葉を聞いて、一瞬言葉を理解出来なかった。

 

 ……な?


 全員殺す?

 確かにそれだったら僕を今殺そうが、後で殺そうが変わらない。

 全員……その意味は当然人質を全員殺すという意味合い。


 僕自身の考えが甘かったのだ。


「確かにそうだなー!」

 そう言った後に下品にゲラゲラと笑う男の声さえ最早どうでもいい。

 結局全員死ぬ。


「警察が簡単に交渉に応じるかは解らない、八木さんが帰ってきたら脅迫に、人質の三分の二を殺し、逃げ道が確保出来たら、顔や声で身元をバラされない為に、念のため残りも殺す。そういう手筈だろ?」


「ああ、殺す時が楽しみだな〜〜ギャハハ!」


 ……マジかよ。

 

 このままでは殺される。

 八木、と言われた男が帰ってきたら、三分の二は確実に殺されるのだ。

 それまでに警察が突入する可能性は極めて低いだろう。


 このままでは、確実に殺される。


 どうする


 どうする……!




 答えは出ている。

 結局殺されるのなら、


 戦うしかない……!

 だが、こんな貧弱な僕が戦えるか?


 周りの人質に協力を求む?

 パニックになるだけだ。

 そもそもマトモな戦力になるのは縁ぐらいだろう。



 そうだ、縁……縁なら何とか。


 そこまで考えたとき、夕日の教室が脳裏に過ぎった。

 泣きそうになっている、あの時の縁が。


 ……そうだ、頼っちゃ駄目だ!

 彼女は弱いんだ。

 僕が、僕が守るって決めたんだ。



 男はいつ帰ってくるかは、解らない。


 即座に行動に出なければならない。

 

 考えろ、考えろ!


 僕が、僕しか出来ない戦い方を……。

※作者の顔がハバネロよりも赤くなったので排除致しました。


※最後の部分のみ記載。




最後に……


モテる男全員死ねェェェェェェェェェ!!!!!


悔しくなんか・・・ないんだから!(つ;)

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