その119.実によくある暇すぎる休日 俺の場合
暇だぜ……。
ああ、暇だ。
休みの日に奇跡の5度寝、もう昼じゃね? っは!笑える(泣)
うちの妹は、なんか昨日からウキウキしていたご様子。
ミナミナが朝に来ていた気がするが、眠気で虚覚えなのでどうでもいい。
ベッドの上、寝転がりながら蛍光灯だけをボケーッと見ている。
あの蛍光灯が……可愛い女の子になって降ってこないかな……。
やっば、今の考え最高じゃね? 今度へーじに言ってみよう、もしかしたら「わぁ! すごいね!」とか満面の笑みで言ってくれるかも……最高じゃん!!
あ、へーじって今、縁と出かけてるんだっけ……寂しくなんて無いんだから!!
……やっばい。
今寂しくて死にそう。
とか思っていると携帯が鳴った。
まさか、へーじ!?
縁に愛想がついたんだな!
喜び勇んで携帯を取る。
表示されていた名前は、へーじでは無かった。
そこに表示されていたのは性悪女の名前。
わぉ……一気にテンションがた落ち。
取り合えずは出ておく。
「んだよ……」
普通に可愛い女の子ならいいけど、性悪女じゃ喜びようがねーよ……。
いや、そりゃそれなりに美人だけどさ……。
寧ろへーじが良かった……。
『ねねねねねね!!! て!テレビ! テレビ見て!!』
何回「ね」を言うんだ。
というかミナミナにしては、こんなに慌てているのは珍しい。
そんなに面白い物がやっていたのか!?
喜び勇んでテレビを付けてみる。
暇な休みを解消出来る、と喜んでいた。
テレビを付けると、そこにあったのは生真面目そうな男。
緊張した様な表情をしていた。
首を傾げる。
ニュース? これは面白くない。
面白いものは別の番組かと、リモコンを取ろうとした時、
生真面目そうな男の口から、妙な言葉を聞いた。
『穴見縁 南戸茜 朝倉坪侍 鈴木太郎 山田赤見…………』
何故か人の名前を繰り返す生真面目そうな男。
…………は? 何か聞いた事のある名前が今?
男は一人一人丁寧に名前を出すと、『現在人質にされた人々です』
と、
そして『繰り返します』
と言った。
一心にテレビを見る。
そして耳を傾ける。
『穴見縁』
今度こそハッキリと聞いた! 今へーじと居る筈の縁の名前が!!
ニュースを見ていると、丁寧にニュースキャスターの男は説明をしてくれた。
そして、何があったのかを理解した。
近くで銀行強盗が起こったらしい。
縁が居ると言う事は、一緒に居るへーじも捕まっているという事だ。
そのニュースを釘居るように見る。
『現在銃声音が4発、中の状態は解りませんが、人質の安否が心配です』
おいおいおいおいおいおい……マジかよ……。
ベッドに落としていた携帯から騒がしい声が聞こえてきた。
あ、やべぇ、忘れてた。
耳に付けると、若干怒ったご様子。
『ちょっと!! 見たの!? ねぇ!!』
「おー、今見た!」
短く答える。
それで見た、と理解してくれたのか、ミホミホの騒がしい声は止まった。
『あ、と! 犯人と思わしき人物が出てきたようです!』
ニュースキャスターの男の声に、視線は再びテレビに。
画面が変わり、見覚えの有る近場の銀行。
そのガラスの入り口前に居るのは、右手に拳銃を持ったボーズ頭のいかつい男。
男が何か言っているのだが、画面だけなので、声は出ていない。
『情報が入りました。どうやら、人質を4人撃った、妙な動きをすれば人質に命は無い、と言っている様です』
ご親切に説明ドーモ。
その言葉を聞いた瞬間、俺は直ぐに行動に移す事にした。
……! へーじ!!
俺は、ダチが危険に曝されてぼけっとしている様な人間のつもりは無い!
テレビを見て場所を確認。
『……変な事考えてないでしょーね』
心配、というより不安っぽい声が、未だに耳に当てている携帯から聞こえてきた。
「さーな」
簡単に答える。
『ちょ、ちょっと!……』
ミホミホがまだ何か言う前に携帯を閉じた。
……へーじ、待ってろよ!
外に出る為に玄関へと向かう。
そして、
ぶっちゃけ縁はどうでもいい。
※作者が恥ずかしすぎて死を考えたので排除致しました