その112.最悪な場所での最悪な道具で最悪な状態で最悪な状況
撃たれた傷口から血が流れている。
銃弾を取り出すには撃たれた所の傷を広げるしかない。
穴では無く、線に沿った切り傷にするのだ。
幸い銃弾はそこまで奥深くまで入ってはいない。
筈だ。
切り傷は出来るだけ小さく。
少しでも中年男性への負担を少なくしたい。
銃弾を取り出すの以外にも確認したい事がある。
もしも鉄の塊が欠けていたとする。
その欠けた鉄の破片が血脈を通して心臓にまで行ったとすれば、それこそ大問題だ。
考えすぎでは無い、よくある事を予想したまでだ。
手の感触に生々しく『斬る』という感触が伝わる。
寒気が走った。
冷静で居られない。
失敗した時の可能性が何度も頭に浮かぶ。
手が震える。
無意識に息が荒くなる。
心の中で落ち着けと何度も囁く。
「へーじ」
そんな僕の耳に声が聞こえた。
不安そうな、心配している様な高い声。
視線の先に縁が居る。
目の前に居る。
手術をし易い用に、中年男性を抑えてくれていた。
「……なんだよ」
掠れた声が出る。
縁の大きな瞳が僕を覗き込んでいる。
心配そうに、
平静を保とうとしているのだが、表情に出ていたであろうか?
「がんばって……」
短い激励の一言。
……ああ、頑張るよ。
僕は直ぐに手術に取りかかった。
目を背ける周りの人達の中、縁は見てくれていた。
歯をぐっと食い縛り、同じ苦しみを味わうように見ていた。
そんな馬鹿が居るのに、震えている余裕は無さそうだ。
震えは止まってくれた。
包丁を突き立てる。
血が僕の顔に飛ぶ。
見ている何人かの人達が更に目を逸らしたのが解った。
僕自身平気では無い。
だが、動揺して馬鹿みたいに傷口を開ければ終わりだ。
切り傷は出来る限り小さく。
「消毒薬やお酒で服を湿らせておいて」
丁寧に包丁を動かしながら、周りの人間達に指示を飛ばす。
数人の人が言う通りに動いてくれた。
包帯代わりにするつもりだ。
消毒薬で湿らせた状態で乾いたのをそのまま包帯として使う予定だ。
お酒にも消毒の力は在る。
手術が終わった頃には乾いているだろうさ。
赤い液体が流れる中、銀色に光る銃弾を見つけることが出来た。
欠けた様子は無い。
ホッとするも、次の段階がある。
「少しづつで良いから酒ビンをこの人の傷口にたらして」
先程の女性銀行員が迅速に動いてくれた。
服を濡らしたのに使ったのか酒ビンはあまり入っていなかった。
だが、何もしないよりかはマシだろう。
血だらけの包丁を一旦置いて、息を吐く。
傷口を裂いたというのに、中年男性に動きが無い。
目が覚めない程の致命傷……では無い。
血の流し過ぎが大きな原因だろう。
ならばこれ以上に血を流させるわけには行かない。
直ぐ次に取りかかる為、再びビニール袋に手を伸ばす。
手に取ったのは携帯型の裁縫道具。
消毒の為に針をライターの火で軽く炙る。
裁縫用の糸で傷口を塞ぐのだ。
布同士を張り合わせる為の糸は、人の傷口を縫うにはあまりにも太い。
だが、これ以外は無い。
出来るだけ小さく斬った傷口だったが、それでも十分に大きい。
針を通して傷口を縫っていく。
感触に慣れる事は無さそうだ……。
3、4、5……慎重に針を通していく。
思っていたよりスムーズだ。
よし……よし! この調子で行けば、何とか!!
僕の、心の中から失敗への恐怖が薄れていった。
その時。
再び心の中で別の大きな恐怖が生まれた。
頭に乱暴に押し付けられた冷たい感触。
小さな丸い部分を後ろから押し付けられている。
それが何かを、直ぐには理解出来なかった。
だが、後ろから冷たい感触以上の冷たい言葉が聞こえた。
「おい、何をしている」
低い声、その声の主が誰かは……後ろを見なくても解る。
そして、頭に突き付けられたソレも理解した。
声は先程のボスらしきボーズ頭の男の声。
頭に突き付けられているのは拳銃。
ドッと汗が噴出す。
冷静に動いていた手は震え出す。
異常なまでの寒気が背中を通った。
針は後、2,3針で済む。
だが、こんな震えている手で動かす事が出来るのか?
出来るわけが無い。
後ろから拳銃を更に強く押し当てられる。
「何をしているか聞いているんだよ」
あまりにも最悪な自体。
僕は、この男性を助けようとしているだけだ。
これぐらい見逃してくれるだろう!?
クソ! クソが!!
どうする……。
どうする!?
実は、ブログを始めま〜したー><
小説を広めるには、というのを見つけたので見てみると、『自分のブログで宣伝しよう!!』
「……は? ブログなんて無いんですけど」←小説書いて3年半
という事で急遽ブログを始めま〜したーー!!
とりあえず、覗いて頂けたらな〜、何て思っております><
あ、ブログ初めていきなりですが、23〜26は居ないと言う笑えない状況^^;
タイミング悪すぎたーー……orz
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