その108.え、マジで?
なんだ……なんだよこれ。
目の前にあるソレは本物か?
黒光する拳銃はこちらを向いている。
何だよそれ、冗談でしょ?
ボーズ頭の20代後半だろうか?
そんな観察なんてしてる場合では無い!
なんなんだよこれ!!
映画とかドラマの撮影?
だが、周りの人たちの怯えた表情は、演技と言うには、上手すぎだろう。
硬直して居る僕の横を当たり前のように、縁が前に出ていた。
な、なにしてんだよ君は!?
男が片眉を上げて見せた。
銃の引き金に手を掛ける。
寒気が走る。
銃に対する恐怖もあった。
だが、僕は動いていた。
縁の手を取っていた。
縁が僕を見上げる。
その表情は何だ。
何故止める?
そんな目で僕を見つめる。
……この大馬鹿女。
震える声で、僕は銃を持っている男に話しかける。
「ぼ……僕等はどうすればいい」
男の指が引き金から離れた。
僕の中で安堵が生まれる。
拳銃を向けたまま、男は低い声を僕等に放つ。
「床に這いつくばれ、そこから動くな、動いたら殺す」
プレッシャーの掛かる声。
『殺す』という言葉があまりにも生々しかった。
ゾッとする。
「……何でアンタの言う事聞かなきゃ駄目なのよ」
這いつくばろうと膝を付いた瞬間、縁が低くそう言った。
何考えてんだこのバカ!!!
再び男の指が引き金に掛かる。
「おい女、口を慎め、今の状況が理解出来ないか?」
お願いだ、ここは言う通りにしてくれ!
見上げる僕を、縁は見ない。
懇願の目を向けたのは意味が無かったようだ。
掴んだままの腕を引っ張るも反応が無い。
周りの這いつくばる人間達の表情が一気に青くなったのが解った。
睨み合う縁と男。
「そんなに死にたいか?」
銃口が確実に縁に向いている。
「アンタ如きで、アタシがやられると思うな」
縁は臆するどころか、更に挑発する様な言葉を放つ。
パァンッ!と、強烈な破裂音が響き渡った。
広い筈の銀行内に音が木霊する。
所々で悲鳴が聞こえる。
オンラインゲームにうつつを抜かし、勉強が手につかない。
私のバカン……orz
ああ……星になりたい。
メロン蒸しパンになりたい。
後、数の子になりたい。
アレ、だってさ、数の子って良いですよね。
何かツブツブしてる。
イヤ、イクラも捨て難い……。
もういいや、マグロが一番美味しい。
あれ?話変わってます?
人生そんなもんですよ(笑)
すません……調子乗りました……。
取り合えずチョコ下さい。