その100.顔が解らない知り合いを持った覚えはありませんが……
「ちょぉ〜〜〜〜良かったぁ〜〜!」
そう隣で歓声を上げる縁を余所に放心状態の僕。
「やっぱブルーマスク最高ー!!」
隣の嬉しそうな声にッハ!と我に帰った。
見上げたリングはスタッフらしき人達が片づけている最中だ。
いつのまにか終わっていたらしい。
周りのカップル達も散り散りになっている。
いつの間に終わったんだろ……。
はい、僕が抜けがらになってる間ですね、察します。
「あの動きは真似出来ないよねー!」
嫌、そんなこと言われても放心してて一切覚えてないから。
どんな動きか知らないけど君なら出来るでしょ、普通にプロレス技してくるんだから。
……プロレス技をかけてくる女子高生って。
妙な事を考えて呆れた様な表情をしている僕とは正反対に、とても楽しそうにしている縁。
…………。
ま、いっか。
…………君が楽しかったんなら、別に良いけど、さ。
いつまでも感動してキラキラとした目でリングを見上げる縁だが、僕は
いい加減ここから出るべきだと思う。
他の観客達も大分去っているし、スタッフ達の片付けの邪魔になりそうだ。
まぁ、それ以外にも理由はあるけども……。
「ッハァー!堪能したし、そろそろ行こうか!」
嬉しそうに縁はそう言った。
まぁ、賛成なんだけど、結構プロレス長かったじゃん?
その、ねぇ……。
「?……、どしたの?」
もじもじしている僕に、縁は不思議そうな顔を向けてくる。
……女の子の前で言っていいものだろうか。
「ちょっと、もよおしたっていうか……」
かなり濁して言ってみる。
「あ、トイレ?、多分ここに有るから行ってきたら? 待ってるよ」
「…………」
思いっきり僕は縁に同情の目線を送っていた。
「……? 何?」
僕の純粋な思いを君は今思いっきり蹴っ飛ばしたね。
寧ろ君に普通の女の子の感覚を期待した僕が、猛烈に馬鹿でしたよ、ええ、もう良いです。
そんな君に怒りより同情を覚えるわ。女性としての感覚はボイコットですか。
呆れつつ、不思議そうな顔をしている縁をほっといて、
取り合えずトイレに行く事にした。
トイレは直ぐに見つかった。
プロレスを見る為だけに用意された部屋だったらしく、大きなリングを除けば、狭い位の広さだった。
重たいドアを開けると、僕以外の男性はいなかった。
思ったよりも清潔で、新品の様な便器が並んでいる。
便器の前に来ると、毎度お馴染みの動作をしつつ、
ぼぉっとしながらも縁の事が頭に浮かぶ。
深い意味は無いのだが、嬉しそうで、楽しそうな縁の顔は頭に残っていた。
ガチャっという金属音、ドアの開く音から別の人が入ってきたのが解った。
まぁ、あんだけ人が居りゃ当たり前か。
特に気にせず、用を足していた。
入ってきた何者かは、僕の直ぐ隣のトイレを使いやがった。
嫌、別にいいんだけどさ……、普通誰も居なかったら間空けるでしょ。
不満に思いつつ、チラっと隣を見ると、そこに半裸で、青い派手なマスクを付けた男が。
…………え゛。
さっきまでリングの上に立っていた、縁曰く、今人気絶頂のブルーマスクだ。
僕が呆然と口をポカンッと開けつつ見ていると、ブルーマスクはこちらを向いた。
目線がバッチリ合ってしまった。
見つめ合うこと5秒。
「お、へーじじゃないか」
ブルーマスクが僕の名前を呼んだ。
は? 何で?
こんな奇怪な知り合いは、いませんが……。
テストからの現実逃避で小説を隠れて書いてる私って……
もうヤダー!小説書いてるだけでいいんだ私はぁぁ〜!
あー……プロになりたいなぁ。
まぁ、それは置いといて、今回でとうとう100話となりました。
予定では100話で終わるかな〜とか思ってたんですけどね(笑)
もう少しだけ続きます。
どうか、最後まで暴力熱血女と貧弱毒舌男を宜しくお願いします。
最後までお付き合い願います。
それでは!出来るだけ早く更新致しますが、次の小説の後書きでお会い致しましょう。
ここまで読んで下さっている人がいるかは、しりませんが^^;