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狼さんと悪魔

お久しぶりです。

ちょっと長いです。

 様子見で攻撃したら討伐出来た。

 俺自身が驚きを隠せない。


「まぁ、なんだ、あれだ。

 思ったより柔かったってことだな、うん。」


「なんでお主が動揺しとるんじゃ。」


 フラムにツッコミを入れられた。


 仕方ないだろ、先制ジャブで相手KOだぞ。

 果たして俺が強かったのかあの木が弱かったのか。


「後者だと思うぞ。」


 心を読むな。






 しばらく様子を見てこれ以上崩壊しないことを確認してから幹まで近づいた。もし近づいている時に傾いたら危ないからな。


 近づいてみると本当に半端ない大きさだった。

 大人五人で囲える太さと言ったがそんなもんじゃない。十、下手したら十五人は必要だろう。


 しかしその幹は見事にスッパリと切断されていた。

 切断された位置が高いせいで断面は見えないが、下から見える切り口の淵にささくれもない。このままテーブルに出来そうな綺麗さだった。


 我ながらよくここまで綺麗に切れたものだ。木こりに転職してみようかな。


 冗談半分でそんなことを考えつつ幹を見上げていたが、ずっとそうしているわけにもいかないので木の調査にかかる。


 まずは木の皮から。

 適当な切れ込みを入れて剥ぎ取ろうと思いオグエルさんに斧を借りることにした。

 魔法で切ってもいいのだがせっかく木こりの仕事を手伝いに来たのだから斧は使ってみたい。要はなんとなくである。


 振り向いてオグエルさんに声をかける。


「おい、斧を貸してくれるか?……おい?」


 しかし声をかけても返事がない。

 少し俯いた状態でじっとしている。


「どうした?具合でも悪くなったか?」


 そう言いながらオグエルさんに近づいて肩を軽く叩く。

 するとオグエルさんは弾かれたように顔を上げてた。やっと気づいてくれたようだ。


「あ、あぁすまんすまん……歳をとると耳が遠くなっていかん。」


「そうか今度俺が耳を診てやろうか?回復魔法でどうにかなるなら何か出来ると思うが。」


「いやいやそんなことに魔法は使うもんじゃなかろう。

 ほれ斧を使いたいんじゃろう?あんまり力を込めて振るんじゃないぞ。」


「分かった、ありがとう。」


 そう言ってあの柄の長い斧を渡してくれた。


 早速幹に対峙し、斧の刃を切り口の淵に当ててゆっくりと力を入れた。


 パキパキと小さな音を立てて刃が幹と皮を分断していく。すぐに三センチほどの切れ込みができた。


 斧を傍らに置き切れ込みに手をかける。

 初めはゆっくりと皮が短く切らないようにゆっくりと剥ぎ、最後は一気にベリベリっと剥がした。


 巨大な木は皮も立派だった。


 剥ぎ取った皮の大きさは横四十センチほど、縦一メートル近くの長方形だ。これだけの大きさでも幹全体で見るとほんの一部なのだから驚きである。


 そして特筆すべきはその厚さだ。

 表皮が凸凹しているせいで厚さはまちまちだが一番薄いところでも五センチ、厚いところだと十センチもあるのだ。


 感触は意外にも柔らかい。いや柔らかいというのは語弊があるか、硬いゴムのような触り心地だ。

 しかし何故か微妙に生温かい。血が流れているわけでもないのに非常に不気味である。


 使えるとしたら防具や建材だろうか?

 まだ見た目と手触りだけだからなんとも言えないな。


 しげしげと皮を観察し終えた俺は次に耐久力を調べることにした。


「おい、フラムちょっと来てくれ。」


「む?なんじゃもう終わったのか?」


 少し遠くから俺を見ていたフラムを手招きする。


 暇そうにしていたしちょうどいいだろう。


「いや次は耐久性を見ようと思ってな、ちょっとこの木の皮を殴ってみてくれないか?」


 そう言って木の皮をフラムに向けて構え、皮の真ん中あたりをを指し示す。


「これをか?別にいいがお主が殴らねば分からんのじゃないか?」


「見ててもなんとなく分かるだろう、多分。」


「そうか、なら遠慮なく。」


 フラムは拳を作り腕を軽く振りかぶると、まっすぐ木の皮に向けて突き出した。

 腰も入っていないテレフォンパンチというやつだ。


 構えの頼りないパンチはヒュッと空を切って木の皮の真ん中を打ち抜いた。


 パァンと乾いた音と共に木の皮の真ん中に風穴が空いた。拳の風圧が俺の腹を撫でる。


「フッ。」


 ドヤ顔で拳を顔の横に掲げるフラム。


 うん。


「耐久性には難ありか……。」


「何故そうなる⁈」


 フラムが簡単に壊せるようじゃなぁ……。


「お主何か失礼なことを考えておるの?」


 おぉ、鋭い。


「竜帝たる儂の一撃を受けて形を残しているのじゃぞ?なかなかの防御力であろうが。」


 見れば確かに皮は穴の周りから放射状に亀裂が入っているものの崩れずに長方形の形を保っている。


「けど貫通したら関係ないだろう。」


「そこじゃないのじゃ!

 手加減したとはいえ竜帝の一撃じゃぞ⁈並みの鎧なら木っ端微塵じゃ!」


「その竜帝の一撃の威力が信用出来ないのだが。」


「そこは信用しろ!竜帝をなんだと思っとるんじゃ!」


 むきー!、と喚くフラムの言葉に少し考えてから答える。


「……じゃい、ガキ大将。」


「……理由は?」


「他の竜数体に勝って調子乗ってそう。」


「本当に失礼なやつじゃな!」


 付き合いの長い友人が突然、俺ボクシングの世界チャンプなんだぜ、と言ってきて信じるだろうか、信じないだろう?そいつが自分より喧嘩が弱ければなおさらだ。


 実際フラムは強いと思うし、実際竜の中でもそうなのだろう。

 たが流石に竜の中で最強は言い過ぎだと思う。もしそうなら俺は何なんだって話だ。


「儂結構人族に崇められてたと思うんじゃが⁈」


 フラムがなおも言い募る。

 往生際が悪いな、何がフラムをそこまで退かせないんだ?

 まぁよく分からない意地だろうな、多分。


「そりゃ一般の人から見たら竜ってだけで恐ろしいだろうし機嫌を損ねないようにするだろう。」


「冒険者の妖精族(エルフ)の小僧からも敬われてたじゃろう?冒険者なら竜というだけなら恐れないはずじゃぞ。」


「だってあいつまだ新米だろ?」


「何がどうなってそうなったんじゃ!あぁー!らちがあかん!」


 フラムが髪をぐしゃぐしゃにして頭を抱える。


 そういえばあの青年と少女はどうしているのだろうか。


 青年は新米にしてはそこそこ強かったとはいえ冒険者はいつ死んでもおかしくないものだろう、魔物との戦闘であっさり命を落としているかもしれない。

 とはいえ助けた身としてはそう簡単に死んでほしくはない。冒険者として大成するか別の安定した職に就くなりして少女共々幸せに暮らして欲しいものだ。


 俺が二人に想いを馳せているとフラムがまた騒ぎ始めた。


「よし、お主そこに座れ。儂が今から竜帝がどれほどの存在であるかとその証拠を解説してやろう。」


「いや遠慮する。」


「なんでじゃ!」


「話が長そうだからな。今はこのデカい木を調べるべきだろう?

 何もしないのはオグエルさんにも悪いし……あれ、そういえばオグエルさんはどうした。」


「知らん、それよりもじゃなもっと儂の威厳を正しく知れば」


 フラムが何か話しているのを無視して辺りを見回すと、すこし離れた場所で俺たちに背を向けてじっとしているオグエルさんを見つけた。


 なにやら猫背気味になって……ボソボソとした声が聞こえる。

 何か、いや誰かと話しているように見える。


「何をしているんだ?」


「!」


 俺が話しかけるとオグエルさんはビクッと肩を震わせた。

 その手の中には人の握り拳より一回りほど大きな水晶がある。これに何か話していたのか?


「あ、おぉ、もうあの木の調査はいいのかい?」


「あぁ、一通り終わった。

 オグエルさんは何をしていたんだ?その水晶に何か話しているように見えたが。」


「あ、お、これか、これはな……」


 水晶を持ったままモゴモゴと口ごもるオグエルさん。


「えぇっとな……そ、そうじゃ、これは離れて会話出来る魔道具でな、オワズと連絡を取っていたんじゃよ。」


 オグエルさんは少し早口で説明してくれた。


 うん、すごく怪しい。

 モゴモゴしていたのもそうだが今思いついた感じで、そうじゃって言っただろ。


 ジーっとオグエルさんの毛で隠れている目があるであろう場所を見る。

 ゆっくりとオグエルさんは視線を逸らした。


「なぁ、本当にそれオワズさんとゴフッ」


「聞けぇい!」


 水晶の事を問い詰めようとした瞬間後頭部にもの凄い衝撃が走った。

 たまらずタタラを踏む。


 ジンジンと痛む頭を抑えながら振り向くと眉を吊り上げたフラムが仁王立ちしていた。


「儂の話をガン無視するとはいい度胸じゃな!」


「だって長そうだったから……というか殴ることないだろ。」


「殴ったのではない!蹴り飛ばしたのじゃ!」


「変わんないだろ。」


 蹴られた後頭部をさすりながらオグエルさんの方に向き直――ろうとしたのだがフラムに肩を掴まれ阻まれた。


「……なんだ?」


「なんだ、ではない。なにをさらっとまた無視しようとしておるのじゃ。

 お主はどうしてもまともに取り合わないがの、儂にも竜帝としての意地がある、お主が信じるまで話し続けてやるわ……!」


「いや遠慮する。」


「拒否権などないわ!」


 ズルズルとフラムに引きずられる俺。


 オグエルさんはしばし呆然としていたが、俺の追求を免れたからかホッとしていた。


 むぅ、結局あの水晶はなんだったんだ。


 結局そのあとはオグエルさんに水晶の事を聞けないままフラムに竜帝とはなんたるかを延々と説かれることとなった。


 やはり話が長かったのでどうにかして逃げようと抵抗したのだが、むしろそのせいでさらにフラムの説教は熱を増していき、終わった頃には日が暮れていた。





「というわけで儂とその他六の竜が現在の竜帝としてこの世界を守護しておるのじゃ、分かったか?」


「ウン、ワカッタワカッタ。」


「よし!」


 フラムが満足そうに頷いたのを確認して俺は前方に倒れた。


 長かった……。


 ずっと正座させられていた足が痺れている。痺れすぎて少し感覚がないぐらいだ。


 そんな俺の様子を見てフラムが言う。


「なんじゃ突然ぶっ倒れて……あぁ腹が減ったのじゃな、もう日も落ちかけておるしのう。」


 全く見当違いな事を言っているが否定する気力がない。

 なんでもいいから早く帰りたい。


「喋る元気もないのか、おぶってやろうか?」


「いい……。」


 なんとか返事して立ち上がる。足が痺れてプルプルする、生まれたての子鹿みたいだ。


 なんとか平静を装っているうちにフラムはさっさと村の方向へ歩きだしてしまっている。

 俺はその後をよろめきながら追いかけた。


「ところでオグエルさんは?」


 しばらく歩き足の痺れがなくなってきて余裕ができた俺はオグエルさんがいないことに気づいた。


「先に帰っていたぞ、枝とか皮を持って。」


 興味なさそうにフラムが答える。

 確かに俺が剥がした皮もあの斧も無い。


 帰ってしまったか……この時間だし当たり前か、すでに日が落ちてあたりは暗くなっている。


 ……オグエルさんに何か聞こうと思っていたことがあった気がするんだが……なんだったか……。


 思い出そうとしてもフラムが熱弁している記憶ばかり出てくる。


 気持ち悪い、なんとなく覚えているのに思い出せないとモヤモヤする。


「どうした、難しい顔をして。」


 横を歩いているフラムが俺の顔を覗き込んで聞いてくる。


「ちょっと思い出せないことがあってな、オグエルさんに何か用があった気がするんだが……。」


「おお、物忘れか。」


 ゴッ


「なんだって?」


「……なんでもない。

 忘れたなら帰ってから聞けばいいじゃろう、それに忘れるぐらいならそんな大した用事でもなかったんじゃろ。」


 それもそうか。


 その後行きと同じく一時間ほど歩くと村の防壁が見えるところまで着いた。


 もうすでに日は完全に落ち、あたりは真っ暗である。

 目に暗視の魔法をかけている俺はいいが、フラムはちゃんと見えているのだろうか、と思い見てみると何事もなく歩いていた。聞けば夜目がきくらしい。魔法要らずとは便利だな、少し羨ましい。


「む、誰かいるな。」


 突然フラムが呟いた。

 視線の先は十メートルほど先の木の下を見ており、確かにそこには小柄な人影があった。


 人影は俺達に気づくいたようで手を振ってきた。


「なんじゃ、あの爺さんではないか。」


 人影の正体はオグエルさんだった。

 暗い中でもヤギの頭に尻尾という特徴的なシルエットが分かりやすい。


 こちらも手を振りながら近づく。


「どうしたんだ、先に村に戻っているかと思ったんだが。」


「集めた枝と皮が思ったよりかさばるんでここらに置いておいて明日何か運ぶものでも持ってこようかと思ってな。

 持っているようなら預かるぞ?」


 オグエルさんが立っていた木の下には枝や皮が積まれていた。あの柄の長い斧も木の幹に立てかけてあった。


 あ、そういえばなにも回収してない。


「……すまん、忘れた。」


「そうか、別に謝らんでもいい元々儂の仕事じゃからの。」


 ひらひらと手を振ってオグエルさんは許してくれた。


「今日はありがとう。儂はもう少し集めたものを整理してから戻るから先に帰っていてくれ。

 竜帝様もありがとうございます。」


 フラムはフンッと鼻を鳴らして答える。


「儂はやりたくてやったわけじゃないんじゃがな、次からは我が友のみ呼ぶようにせい。」


「お前、暇そうにしていたら連れて行くからな。」


 フラムに釘を刺す。

 どこまで動きたくないのやら。


 渋い顔をするフラムを置いておいてオグエルさんに、お疲れ、と声をかけて横を通り過ぎる。

 フラムも俺が取り合う気がないと分かったのか特になにも言わずついてきた。


 だんだんと近づく村の防壁をぼんやりと見ていると、ふとオグエルさんに何か用があった事を思い出した。

 そしてそれを本人に聞こうと思っていたことも。


「なぁ、オグエ――」


 後方に声をかけながら振り向こうとする。


 瞬間、首筋に凄まじい悪寒が走った。


 反射的に前に飛びのく。

 脳が集中し、思考が加速していくのが分かった。


 加速した思考の中でうなじのすぐ後ろを何かが通り過ぎ、頭が一気に軽くなった事を感じた。

 俺の斜め前にいたフラムが険しい顔で振り向き、構えるのが見える。


 一回転して受け身を取りながら振り向く。

 目の前を黒い髪がパラパラと落ちていった。


 その向こうにいたのは全長二メートルほどの巨大な化け物。

 毛に覆われた逞しい四肢に暗闇で不気味に赤く光る一対の目、太く鋭く尖った角、背後には大蛇のような太さの尻尾が生えている。

 前世で言う悪魔のような化け物がそこにいた。


 化け物は両手で剣を持ち、振り切った体勢で止まっている。しかしその全身からは溢れんばかりの殺気が感じられる。


 そして手に持った剣、いや形状は刀に近いそれの鞘と思われるものが化け物の脇に転がっていた。その鞘には斧のような刃がついている。


「まさか、オグエルさん、か?」


 誰に聞くわけでもなくそう呟く。

 オグエルさんのいた木の下には誰もいなかった。近くに逃げる人影も気配もないとなると彼としか思えない。


「左様。よく避けたな、流石は竜帝が友というだけある。」


 腹に響くような低音で化け物――オグエルさんが答える。


「あれがあの爺さんじゃと?面影が皆無ではないか。」


 フラムがオグエルさんから目を離さずに言ってくる。


 確かに口調も違うしまず体格というか骨格が違う。ほぼ別人だ、共通点といえばヤギに似た顔ぐらいだ。

 どんな魔法を使えばこんなことになるのだか。気にはなったがとりあえず置いておく。


「それで、これは何のつもりだ?まさか驚かす為ではないだろう、避けなければ確実に俺の首に当たっていたと思うのだが?」


 バッサリと切られた髪を持ち上げて見せる。


 オグエルさんは振り切った体勢から音も立てず刀を構え直した。左腰あたりに獲物を構え左手を軽く添えている抜刀術のような構えだ。


「答えずとも分かるだろう?無論お前達を害する為だ。」


 もう話すことはないとばかりにオグエルさんがさらに深く刀を構える。


 向こうは戦う気満々のようだがこちらには戦う理由がない。髪なんてそのうち伸びるし。

 それよりも話を聞きたい。

 適当な魔法で気絶させて――


「死ねぇ!」


 横から巨大な火球が飛んでいった。


「ちょっ」


 俺が止める間も無く火球はオグエルさんに直撃――せずに一瞬で振られたオグエルさんの刀によって真っ二つに切り裂かれた。

 別れた火球はオグエルさんの後方に着弾し爆発した。


「いきなり何をしているんだ、殺す気か⁈」


 フラムを咎めると、やはりオグエルさんから目を離さず返してきた。


「当たり前じゃろう。襲ってきたのは向こうじゃ、話を聞く気もないらしいしの。」


「だがいきなり攻撃しなくてもいいだろう。」


「あれに手加減しろと?儂の魔法を切り裂きおった、並みの使い手ではないぞ。」


「だとしてもちょっと待て、話し合いが通じなくてもどうにかする。」


 オグエルさんに使いたくはないがこれ以上フラムを抑えるのは難しそうだ。


 俺達が言い合っている間、律儀に待っていたオグエルさんに意識を集中する。

 精神感応(テレパシー)なら相手の意思は関係ない。


 しかし俺が精神感応(テレパシー)を使おうとした瞬間、オグエルさんの肩がピクリと動いたかと思うとその姿が一瞬で消えた。

 何事か、と思う暇もなく俺の目の前には鈍く光る刀身が迫っていた。


 速っ!


 思いっきり背を反らしギリギリで回避する。刀身は俺の首の前の空間を切り裂いていった。


 次の斬撃が放たれる前にフラムが殴りかかる。


 オグエルさんは巨体に見合わない速度でフラムの拳を躱し、後ろに下がって距離を取った。

 フラムは追撃しようと足に力を入れたが自分の足元を抉った斬撃にやむなく断念した。


 刀がかすめていった首を撫でるとピリッとした痛みが走った。

 手には少し血が付いている。躱したはずだが少しかすっていたようだ。


 それよりも問題がある。

 明らかに今オグエルさんは俺が精神感応(テレパシー)を使う直前に気づいていた。お陰で十分に発動する前に妨害されてしまった。そういうスキルがあるんだろうか?


 だが妨害されたとはいえ少し()()ことが出来た。


「フラム、お前は先に村に戻ってくれ。」


「はぁ?戻るならあやつをどうにかしてからじゃろう?」


「オグエルさんは囮だ、村が襲われている。」

お読みいただきありがとうございました。


リアルが忙しくなってきたので次の更新もだいぶ先になりそうです。

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