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32 宿 ▲勇者視点

遅くなりましたーーー!

第32話 ▲勇者視点




 ふたりを探して街中を歩き回り、個別に聞き込みなどを繰り返した。その甲斐あって多くの情報を仕入れ夕方には宿へと帰りついた。


 足はクタクタだけどふたりの事を考えるとそんな事は言っていられない。

 だって美衣は怒ると怖いけどとても凛々しくて可愛いし、泣き虫で感情豊かなミコも同じくらい可愛い。ミコに関しては一時は関係がこじれはしたけど最近じゃ俺の名前も呼んでくれるからもう許してあげようと思ってるんだ。俺の寛大な心の内を知れば泣き虫のミコの事だから、泣いて感激するんだろうね。


 そう、すべての女の子は全部俺のものだから、俺の元から居なくなるなんて許されないんだ。







「判った。じゃあ次にその娘が来たら問いただしてみよう」


 宿の大部屋の一室でティルカから報告を受けた。

 俺も街中で聞き込みをした結果、なにやら美衣とミコに人相のよく似た人物が魔術道場のいざこざに巻き込まれたらしいって情報は得ていたから、ティルカの話と合わせると解決はもうすぐそこにあると考えをまとめた。


「はい。絶対あの娘が怪しいですわ。あの、それで……私、お役に立てましたかレオ様?」


「ああ、ティルカ。ありがとう。これでふたりを確実に見つけられるよ」


 俺の言葉にティルカの顔が紅潮して、その目がご褒美を期待しているのが判る。

 ふむ。寝るにはまだ早いな。ここは頭でも撫でてあげるか。

 そう思うと俺はティルカの頭に手をやり緑色のやわらかい髪をくしゃくしゃにしてやった。されるがままのティルカの方も満更ではなさそうな表情でこちらをボーっと眺めていた。




 一通り彼女の頭を撫でると今の情報に対して他のメンバーにも聞く事にした。


「みんなはどう思う? 俺は今のティルカからの報告と俺たちの集めてきた情報を合わせるとその黄色の髪の娘が何かを知っていると思うんだ。だからさ次に来た時を見計らって問いただしてみようと考えてるんだけど」


「賛成するわ。その黄色の娘の名前も判っているのだから逃げも隠れも出来ないでしょう」


「賛成」


「私も賛成です」


「私は反対です。そのリギドと言う娘が単独で動いているのかも判らないのに、問いただすなんてリスクはふたりの命にも関わるかもしれませんから」


 アリア、ティルカ、シャーリンがそれぞれ賛成してくれたんだけどエルセリアが俺の提案を遮る。

 はぁ、エルセリアはいつもこうだ。美人だしこの子も俺のモノなんだけど、必ずと言っていい程に俺の意見に対して反対するか、慎重論を唱える。

 幼馴染みだから遠慮が無いんだろうね。


「私もちょっと……」


 幼女で賢者のコロンも俺に反対してきた。

 おいおい、待ってくれよ。うちの軍師殿も反対なのか!?


「コロン。ならばどうした方がいい? 対案はあるのかい?」


「えっと、はい……。レオ様。いつ来るのかも判らない相手を待つよりもこちらから探りを入れてはいかがでしょう。幸いその人の名前は判っているのですから、先程から何度も出てきている『魔術道場』と言う単語も合わせて明日も街を探索した方がいいと私は考えます。ただ、明日はレオ様は居残りですよ。そのリギドって人がくるかもしれませんからね。ぷはあぁぁ。一息で言えましたぁぁ! ごほっごほっ」


 一息で言った為か咳き込むコロン。

 ふむ。それもそうか。こちらから能動的に動いた方が先手を取れる可能性が上がるかもしれないな。


「判った。コロンの言うとおりだ。明日もみんな街を探索してくれ。ただし俺とティルカ、それとアナスタシアはここに残る事にする。その子を見たのは君達だけだからな。引き続きここで待機する様に」


 俺の言葉にみんなは了承の意を告げる。

 みんな普通に頷いたりしたんだけど、その中で面白かったのがティルカとアナスタシアだ。

 だってさ、ティルカの天にも昇ろうかと言うくらいの『はい! 判りましたわ!』とアナスタシアの気持ちのあまり入っていなさそうな『ん、判った』がアンバランスすぎて思わず苦笑してしまったんだから。 







「じゃあ、とりあえず今日は解散にする。あとは各自で過ごしてくれ」


 俺がそう言うとみんな各々の部屋や一階の酒場へと動いていった。あっ、そう言えば大事な事を聞くのを忘れてた。


「あ、そうそうティルカだけはちょっと残ってくれ」


「えっ!? ああぁっ、はい! レオ様なんでしょう!?」


 部屋から出る扉をくぐろうとしたティルカを呼び止めたら凄い熱の篭った元気百倍な声が返ってきた。

 ティルカの熱意が物凄いけど、これは聞いておかないとならないからね。


「うん。話ってのは簡単なんだけど」


「はい! 何でも聞いてくださいレオ様!」


 そう言ったティルカは両手を握って祈るような体勢になると、短いチェックのミニプリーツスカートがとても可愛く映った。


「それで、その黄色の髪の娘は可愛かったのかな?」


「……………………えっ?」


「その娘の容姿だよ。どんな娘だったんだい? 背丈は? 目鼻立ちは? 知ってる事を俺に教えてくれないか?」


 にっこりと笑顔でティルカに尋ねる。

 可愛いらしい女の子ならパーティーに入れてもいいかもしれないからね。これはとても、とても重要な事なんだから。


「えっと、それはその……はあぁぁ……。ええと、目と耳はふたつで鼻と口はひとつでしたわね。ではお休みなさいレ・オ・様・!」


 言うが早いかそのままツカツカと早足でティルカは扉を開けると振り返りもせずに『バタンッ!!』なんて大きな音をさせて部屋から出て行った。

 アレ? おかしいな。なんでティルカは怒ったのだろう。まあいい。明日になれば機嫌も治るだろうし。それよりもその娘が可愛いのかが気になるな。なんと言ってもこの世界の可愛い女の子はすべて俺のモノなんだから。

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