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バロータ

作者: まだらな銀



永遠の愛を誓った伝説の教会の中で、私の友人は青い顔でつぶやいた。

「しくった」

いや、知らん。むしろ、ものすげえみんなの憧れのあんな美人と恋人になった次の日に友人Aである私に会いにくるとか、死ねと?お前に恋のこもなくむしろ、殺すぞのこしかないわたしに恋が叶うと云う伝説の教会(笑)な私を呼び出すとか頭が、わいてんのか。


殺すぞ。

ああ、物騒な物言いばかりですまないが、こいつは、わたしの弱みと同時にこいつ自身の弱みを同時に握りあった腐れ縁の同級生だ。

あの子が、これに惚れる前までの話で、別段問題なかった。むしろ、忙しそうに高校三年間デートにイベントにいそしんでいた友人の青い顔の意味がわからん。むしろ、リア充爆発しろ。

「もう一回だ。もういっかい、やり直す期間をくれるといってくれた」

なにをいってるのか、わからんがこいつは、青い顔で、私の肩を掴んでくる。何が不満だ。綺麗な彼女と大学生活をおうかしろ。私は、……就職にも失敗したフリーターだ。おまえと、釣り合わないと……。

「好きだ。愛してる。でも、逆らえない」

は?

「努力がお前に足りなかった。だから、おれは、彼女と結ばれる。なあ、助けてくれよ。お前が好きなのに告白する機会すらあたえられないんだぜ。ずっと、好きだった。本当に。いまだけ、本音が許される」


なんの冗談かと友人に目を向ける。

彼の、瞳には………、

「チャンスをくれるって、でも、お前に俺への気持ちがなきゃただの、悪あがきだ。なあ、俺、ここでしか本音言えないかもしんないけど、お前が好きなんだ。頼むよ。きちんと振られる機会を俺に………」





また、同じ夢を見た。

高校生活最後の一年。私は、夢で見た劣等生の烙印をおされず、努力し、ぎりぎり優等生の仮面をかぶっている。好きな相手はいる。いつも、私の夢の中で、情けなくなく男だ。好きな相手のいる相手なのに。


「詩織」


幸せそうに好きな相手の名を呼ぶ男とそれに微笑む女。私は、目の前でならび、登校する彼らに気付かれないように溜息を吐いた。

なぜ、夢など信じて、努力などしてしまったのだろうか。目の前の現実に泣きたくなる。

あと、一年。

私の努力が足りなかったせいで、振られなかったと嘆いた彼をきちんと振る為にここまでの努力をし、痛む胸のまま恋人のように寄り添う目の前の彼らを見つめる。

ああ、なぜ、バカみたいな努力をたかだか友人のためするのか。諦められる恋だと云うのに。

夢の君は、


泣いていたのだから。

その涙をぬぐいたと願うわたしは、今日も、ただ、あの日がくるまで君が彼女に向ける笑顔を甘受する。






※メモメモ



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