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いつか最強のふたりに! -お嬢さま剣士と中堅冒険者-  作者: 南野 雪花


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第8話 こういうのは理屈じゃないからね


 マンティコア討伐を終えたところで、今日のダンジョンアタックはおしまいということにした。

 さすがに疲れたしね。


「素材もいっぱい獲れましたし」

「さすがにマンティコアクラスのモンスターだと魔石(コア)もなかなかのものだよな」


 魔石というのはその名の通り魔力の籠もっている石で、モンスターの体内で精製される。

 こいつがいろんな魔導具の材料になったりエネルギーになったりするんだ。


 入手の方法は、運良く鉱脈を見つけるか、モンスターを倒して手に入れるしかない。

 前者を持ってる国は巨万の富を得るけど、それを巡って戦争になったりもする。


「質の良い魔石を持っているモンスターほど強いっていうのは、しんどいですよね」

「まあなあ。ゴブリンが良いのを持ってるなら、みんなこぞって狩るんだけどなあ」


 ゴブリンやコボルトみたいな弱っちいモンスターは、まあしょっぱい魔石しか持ってない。

 一つ売って昼飯代になるかなってレベルのやつだ。


 ゴブリン狩りで生活するのには、かなり頑張ってたくさん狩らないといけないんだけど、野ウサギを狩るようなわけにはいかないからね。

 死の危険だってある。


 やってらんねーと思うのは、むしろ当然だろう。


「街の子供たちを集めて、戦闘訓練をかねてゴブリン狩りとか良いかもしれませんね。魔石はお小遣いになりますし」

「やだよ。なんだその英才教育」


「殺し殺されは兵家の常ですから。こういうのは子供のうちからたたき込んだ方が良いと思いますよ」

「バシュラール侯爵家ぇ……」


 娘に戦闘訓練を施すくらいの貴族だからね。あなどれないね。

 こわいこわい。


「アル。戦利品(トレジャー)は本当に等分で良いんですか? わたしは教えてもらっている立場ですが」

「活躍の如何に関わらず等分が冒険者のルールだからね。むしろ指導員としての報酬が入る分、俺の取り分を減らしても良いくらいさ」


「働きに応じて、じゃないのが面白いですよね」

「結局これが一番トラブル回避になるからさ」


 帰り支度をしつつの会話だ。

 強敵を倒したことで、ふたりとも少し気が緩んでいるのは否めない。


 ともあれ、人間関係のトラブルなんて突き詰めれば金と異性関係に集約される。


 等分ってのが、一番揉めないんだよね。


 リーダーだからとか、活躍してないからとか、そういうことを言い出したら、まあそのチームは崩壊へ全力ダッシュさ。


 冒険者は、軍隊みたいな組織じゃないからね。





「コンビを組んでいきなりマンティコア撃破ですか。相性バッチリですね」


 翌日、戦利品(トレジャー)の換金のために訪れた冒険者ギルドでは、レティシアが満面の笑顔で対応してくれた。


「相性というか、彼女の本気が判ったから俺も本気で応えたというだけなんだけどな」


 俺は肩をすくめる。


 貴族のお姫様の手遊びなんかではなかった。


 生きるか死ぬかの世界に飛び込む戦人の覚悟だった。

 それは、伸るか反るかという生き様の俺たちとの共通点である。


 レオンティーヌの姿勢に意気を感じないなら、そいつは冒険者だなんて名乗るのはやめた方がいい。


「生き様をまぶしいと思った。手を貸すに足る人物だと思った。それを相性っていうんですよ、アルベリクさん」


 レティシアの訳知り顔が腹立つ。

 両手でほっぺたをつまんで、左右に伸ばしてやろうかしら。


「どんなに共感できる理由や背景があっても、こいつはいけ好かないって思っちゃう相手はいますからね」

「ま、そりゃそうだ」


「アルベリクさんが手を貸したいと思い、レオンティーヌさんは差し伸べられた手を握った。こういうのは理屈じゃないんですよね」

「えらく語るじゃないか」


「私だって、伊達や酔狂でギルドのカウンターを任されていないですから」


 ふふんと胸を反らす。

 俺としては曖昧に笑うしかない。


 女だてらというなら、レティシアはレオンティーヌの二歩も三歩も前を歩いている。


 冒険者ギルドでも傭兵ギルドでも良いけど、そのカウンターに立つってのは荒事師たちを相手にするってこと。

 生半可かな(きも)で務まるような職責じゃない。


 女の仕事なんて雑役か針子って相場が決まっていたなか、そいつをぶち抜いて荒くれ者たち左右に捌く冒険者ギルドのカウンターだもの。


 最初は舐めてくる奴もいっぱいいたけど、一年も過ぎたらだーれもレティシアに頭が上がらなくなっちまった。


 仕事っぷりが完璧で、適当な割り振りもしない。しかもきっちり上にも下にも筋を通す。

 こんな人に文句をつけたら、つけた方が器の小ささを晒しちゃうって。


 まあ、俺も頭が上がらない一人だしね。


「ともあれ、良い仕事を斡旋してくれてありがとな」

「良い結果を出してくれて感謝します」


 握手を交わしておく。

 ここまでは、ひとつの仕事が終わったときの形式だ。


「それで、今後なのですが」

「もちろん継続させてもらいたい」

「わかりました。先方にはギルドの意向をつたえ……」


「アル! 大変です!」


 そのとき、レティシアの言葉を遮るように、レオンティーヌがギルドに飛び込んできた。

 スイングドアを蹴破る勢いで。


 なんだなんだ?



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