表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中堅冒険者とお姫さま剣士 ~悪縁奇縁で最強を目指せ!~  作者: 南野 雪花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/41

第14話 そんな野盗いる?


 野盗の頭目がマジックアイテムを使っている可能性は、じつは最初から考えている。

 持っているという情報そのものは眉唾だが、仮に持っていたとしたら使わないわけがないからだ。


 好事家やコレクターならともかく、死蔵したって意味がないからね。


「ただ、シティコマンドを二回も撃退できる統率力と戦力ってのは、予測の外側だな」

「ですね。それ本当に野盗なんですかね」


 仕事を受けるかどうか、いったん判断は保留してギルドを後にし、近くの飯屋に腰を落ち着けた。

 作戦会議である。


 即断即決が冒険者のセオリーってやつだけど、さすがに何にも考えないで飛びつくには危険すぎる依頼だ。

 レオンティーヌが言うように、野盗だの盗賊団だのの練度じゃないのだ。


「ぶっちゃけさ、地方都市のシティコマンドなんて、正規軍の中でも実力は下の方だと思うんだよ」

「わたしもそう思いますよ、アル。でも、弱くても正規軍は正規軍です。訓練も受けてます」


 それな。

 最低ランクと仮定したって正規軍は正規軍だ。そこらへんのチンピラとはわけが違う。


「ちなみにアルは、正規軍の兵士に勝つ自信はありますか?」

「一人二人なら倒せる自信はあるけど、三人目が出てくるか囲まれたらアウトだな」


 レオンティーヌの意地悪な質問に両手を広げてみせた。


 正規軍の怖さって、なにより集団戦ができること。そしてすぐに戦訓を取り入れるってことかな。


 惨敗しちゃったシティコマンダーのウィリアム氏だって、五十人で負けたから次は五十一人、なんてせっこい計算はしてないんだよね。

 三倍の百五十人で攻めかかってる。


 それができちゃうのが正規軍の怖さなんだ。たとえば傭兵団なんかだと、負けたから次は三倍の兵力で戦うなんて、物理的に無理。

 人もいなければ金もないもん。


「そして、その三倍兵力を撃退した野盗です。普通じゃないですよ」


 ふうと息を吐くレオンティーヌだった。

 彼女は父親から軍事教育を受けているから、俺以上にものが見えているんだと思う。


「どうしますアル? この仕事受けますか?」

「参考までにティーヌの意見は?」


「危険度を考えたら回避すべきです。ですが」

「保留付きか。そのこころは?」


「野盗はほとんど人を殺していないんですよね。最初に大きな戦果を上げたあとは、通行量を大店の商家から徴収するだけ。わたしたちみたいな旅人は華麗にスルーです。こんな盗賊団います?」


 一気に言い終え、大きく息をつくレオンティーヌ。

 彼女の頭の中にも疑問符が飛び回っているんだろう。

 口に出さないと頭がパンクしそうって気持ちはよくわかる。


 俺も同じだもん。

 盗賊なんて馬鹿だから、奪いやすいところから奪うもんだ。


 で、やっぱり馬鹿だからやり方を変えない。一回上手くいったやり方を失敗するまで繰り返す。

 まあ失敗するときってのは、お縄になるときなんだけどね。


 で、処刑台に送られて縛り首さ。


 ところがメルヴェールの盗賊団は、ことごとく常識ってやつを破壊してくる。


「……わたし、このような行動に一つだけ心当たりがあるんです」

「拝聴しよう」


「人死にを減らし、あまり良く思われていない兵隊や大商人を、わかりやすくとっちめる」

「……たしかにトーリアンの住人たちは、なんとしてでも盗賊団やっつけろって雰囲気じゃなかったな」


 俺は、背中を冷たい手が這い回るのを自覚していた。


 わかりやすい人気取り(・・・・)

 そんなこと盗賊団がするはずがない。

 するとしたら……。


「支配者です。それも、これから統治を始めようとしている新しい領主とか、そういう人ですね」


 レオンティーヌの声がざらざらとした不快感を耳に残した。




 結局、俺たちは依頼を受けることにした。


 だって仕方ないじゃないか。

 レオンティーヌの予測なら、これは他国からの侵攻なんだよ。


 このままあと一年もすれば、城塞都市トーリアンは盗賊団の姿を借りた敵軍(・・)の領地になってしまう。

 そうなったら終わりだ。


 デスバレー要塞は孤立し、たぶんあっという間にドイル軍の手に落ちるだろう。

 で、次は俺たちのアンジェリクね。


「いま打てる一番いい手は、王都に救援を求めて精鋭部隊を送り込んでもらうことなんですが、ウィリアム隊長とやらは意固地になっていそうですし」

「ティーヌの話を聞いていたら、敵はそこまで考えてシティコマンドたちをひん剥いたんじゃないかって思えてきたよ」


 一つの行動の裏に、二つも三つも策略が隠れている。


 こんな相手を放置しておくのはまずい。

 せめて事情を探って、俺たちがバシュラール侯爵に報告するしかないだろうって結論になったのだ。


 正義派を気取るつもりはないけどさ、自分の街まで危険になる可能性があるのに座視はできないじゃん。


「まあ、せいぜい気をつけてくれ。失敗しても今まで命を取られたやつはいないから」


 そう言って送り出してくれたギルド職員に、レオンティーヌは愛想笑いを向けた。

 この危機感のなさが、まさに的の策謀の結果なんだって、今なら俺にもよくわかる。


 ホントな、笑ってる場合じゃないんだぜ? 片眼鏡(モノクル)さんよ。



※著者からのお願いです


この作品を「面白かった」「気に入った」「続きが気になる」「もっと読みたい」と思った方は、

下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にして評価していただいたり、

ブックマーク登録を、どうかお願いいたします。


あなた様の応援が著者の力になります!

なにとぞ! なにとぞ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
盗賊のお宝じゃなくて敵将の愛剣じゃないですかやだー。
この相手、戦略的な観点で動いてそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ