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【連載版】いつの間にか溺愛されてましたとは言うけれど。  作者: 江入 杏


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新スキル

 新たに授かったストレージのスキル説明を確認してみれば、予想通りこの世界で入手した物と通販で購入した物を自由に出し入れ出来るスキルのようだ。収納しているアイテムについては、ステータス画面から確認出来るようになっている。なんとも至れり尽くせり。

「ストレージ」

 唱えると、通販で購入したLEDライトの手持ちランタンが目の前から消えた。脳内で思い描きながらもう一度唱えると、目の前に消えたはずのランタンが出現する。今度はランタンを手に持ちながら目の前に腕を突き出すと、何か薄い膜を通り過ぎるような筆舌に尽くしがたい感覚。その中でランタンから手を離して腕を引き抜くと、ランタンが無くなっていた。今度は何ない空間に腕を伸ばし、薄い膜の向こうからランタンを取り出す。

「……ふむ、唱えずに使うスキルはこんな感じなのね」

 ホームもレベルが上がったことが影響しているのか、わざわざスキル名を唱えなくても使えるようになった。新しく授かったスキル二つは既に唱えなくても使えるようで、唱えて使った感覚と唱えずに使った感覚の違いを確認するためにこうやって試している。

 唱えずにスキルを使う感覚は、無理やり例えるなら体を動かす感覚に似ている。

 人間は体を電気信号で動かしている。脳が指令を送り、それが電気信号で神経回路に伝達されその通りに動く。人はそうやって自分のイメージ通りに体を動かしているのだ。

 唱えずに使うスキルはそれに似ている。スキルを使いたいなと思えば使えるのだ。だから体を動かす感覚に近いな、と思った。

「やっぱり唱えない方がラグが無くて良いわね。でも唱えて使えば触れていなくても収納出来る利点がある、と。逆に唱えずにスキルを使うと触れている物しか収納出来ない」

 ホームはレベルが上がって生じた追加機能なので、スキルの効果に違いはない。けれどストレージとアナライズは唱えた場合と唱えない場合では効果が異なるようだ。その差異について更に詳しく確認しておく必要があるかもしれない。予備知識があるとないとでは、咄嗟の判断時に雲泥の差が出てくる。

「ストレージとアナライズにもレベルがあるのが気になるのよね。アナライズは鑑定スキルだからレベルが上がると能力が上がるのは分かるけれど、ストレージは? 容量が増える? それとも一度に出せるアイテムの数が変わってくるとか?」

 元々がチート過ぎるホームにも通販という強力な追加機能があるくらいだ。この二つのスキルもレベルを上げれば更に強力な追加機能があるのだろうか。元が十分過ぎるくらい破格の性能なのに、更にレベルアップするのは最早壊れではないだろうか。それぞれのスキルの汎用性の高さやシナジーも相まって、使い方によっては大体何でも出来てしまう。

 大丈夫? 環境破壊してない? ナーフされない?

 前世のゲーム知識があるだけに、スキルの弱体化調整が脳裏を過ぎる。いや、そもそも創世神がリアーナにスキルを与えたのは今後のためだ。これだけのテコ入れがなければ今後起きる出来事に対応するのは難しいのだろう。メタ読みになってしまうが、そう捉えることも出来る。

「……次はアナライズの確認でもしましょうか」

 これ以上考えても必要以上に不安を煽るだけ。それなら今は目先のことに集中した方がいい。

 今度はランタンの鑑定を始める。唱える場合と、唱えない場合とでの違いも確認しておく。

「特に違いはない、のかしら」

 鑑定結果の内容に相違はない。それなら唱えずに鑑定する方が良いのでは、と思いかけていたところステータス画面が勝手に表示される。

「鑑定の項目に赤い丸がついてる……?」

 スマホでも通知があった時に表示されていた、アプリの上に表示されるあの小さい赤い丸である。

 鑑定の項目に触れてみると、アイテム一覧が表示される。その中にはカンテラについての情報が追加されていた。右上にはNew! と表示されている。

「もしかして、唱えた場合はここに情報が追加されるってことかしら」

 所謂図鑑機能だろう。成程、唱えた場合はここに鑑定情報が追加されて行くようだ。

「相手の情報を確認してそこから作戦を立てることも出来そうだし、これも有用な機能だわ。積極的に何でも鑑定した方が良さそうね」

 これは大きい収穫だ、事前に使用感の差異を確認して良かった。

 さて、スキルの確認も終わったところで。

「……そろそろ、あの男の所に行かないとね」

 重い腰を上げる。行きたくない気持ちが強いが、いつまでも渋っているわけにはいかない。何せこのままだと国が滅ぶそうなので。

「じゃあ、まずは執事を捜しましょうか」

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― 新着の感想 ―
新機能!便利!でも、いよいよあの、ポンコツ無能思い込み男の元へ行かないと…。執事の謎もあるし、どうなるやら…。
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