夏休み編 プロローグ。
初めて投稿します。楽しんでくれたら幸いです。設定などまだまだ甘い所があるかもしれませんが頑張って書いていきたいと思います。
「ねぇ....またここで逢いましょう?」
透き通るような声の少女がそう言った。
風が吹き、サァーっと草や木の葉っぱが揺れ、草木特有の匂いが鼻腔を通り抜けていった。目の前にいる少女は今にも触れてしまったら崩れてしまいそうな華奢な手足。純白のワンピースを身にまとい、髪は夕日に照らされており、ほのかに茜色に色づいていた。夕陽の光を浴びたその長く綺麗な髪はまるで光の粒子を纏っているみたいにキラキラと輝いていた。顔は麦わら帽子と夕陽の光でよく見えなかった。
「もう、行かなきゃ..またね」
そう言って背を向ける少女。
「ま、まって!名前は?」
「私の名前は...... 」
くるっとこちらに向き直り彼女が名前を言おうとした瞬間目が覚め。そこで夢は途切れた。
「懐かしい記憶の夢を見たな」
携帯の電源をつけ時間を確認してみると午前4時過ぎだった。
「まだ、こんな時間。寝るか...」
そう言って寝ようとするが夢に出てきた少女の事を考えてしまう。
あれは確か、俺が5歳くらいの時。当時、田舎に住んでいた俺は夏になると毎日川や森へ遊びに行っていた。よく川でザリガニを釣って遊んでいたのを今でも覚えている。その時も川でザリガニ釣りをしていた。かなり熱中していたのか声をかけられるまで後ろに女の子がいるのに気が付かなかった。最初はびっくりしたが、見た感じ歳が近かったのだろうか、その日はその女の子と遊びに夢中になり帰りが遅くなってしまい、家に帰ると心配した母さんに大目玉を食らい暫く、外出禁止を言い渡された。当時、外で遊ぶのが好きだった俺は、こっそり抜け出してその日以降も毎日一緒に遊んでいたと思う。しかし,よく一緒に遊んでいたのは覚えているが名前と顔がまるでもやがかかったかのように思い出せない。
「....もうすぐで夏休みだし少し実家へ帰るか」
今は都内の学校、私立聖鳳学園に通うため家を借りて1人暮らしをしている。家賃や生活費などはバイト代と月に1回実家から仕送りがあるのでそれでまかなっている。高校生のバイト代なんてたかが知れてるが、俺はこれと言った趣味は無いのでそれほど問題ない。色々頭に浮かんでくるが考えても仕方ないので寝ることにした。
「さて、2度寝、2度寝」
そう言って布団をかけ直し2度目の眠りについた。すぐに睡魔が襲って来て俺はその後、スマホのアラームが鳴るまで起きなかった。
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大勢の人が行き交う交差点、溢れんばかりの満員電車、眠たそうな学生やサラリーマン。色々な人達がごった返すこの街、笹原町で今日も俺はやる気のない顔で通学路を歩いていた。家から学校までの距離は比較的近い方だと思う。それでも学校に行かずに一日中家で寝ていたいと特に朝は思う。同じ制服を着た学生がちらほら見える。自分が通っている学校の制服はブレザーだ。男子、女子色は紺色で共通しているが、細部のデザインは少し違っていた。男子のブレザーの襟には黄色いラインが入っており、女子のは赤色のラインが入っていてスカートにはチェック柄が入っていてよく見る制服のデザインといった感じだ。1人で通学路を歩きながらつい俺は、堪えきれず欠伸をしてしまった。
「ふぁぁーー、ねみぃ」
「お前、相変わらずやる気のない顔してるな」
自然に生えてくる様に出てきたが気にせず俺は歩き続けた。
「うるさい、したくてしてるわけじゃない。俺は朝に弱いんだよ」
「ならば、筋トレをするといい!」
「それ、解決になってなくないか?というか全然関係ないだろ」
「そうか?」
「...........」
朝から騒がしいやつだ、この騒がしい奴は1年の時同じクラスで仲良くなり、バイトなど無い日に遊んだりしている友人の1人である。名前は中村裕人。身長が高く、それでいてガタイが良いので初対面だとかなり威圧感を感じるが話してみるとそんな事はなく、ノリが良く一緒に居て楽しい友人だ。ぼーっと通学路を2人で無言のまま歩いていると裕人が口を開いた。
「なぁー夏休み予定とか決まった?」
「あぁ、一応実家に帰る予定だ」
「そっか、悠人は引っ越して来たんだよな、去年は帰ったのか?」
悠人とは俺の名前だ、佐倉悠人、名前は母さんにつけてもらった名だ。母さんは少し過保護で、こっちに引っ越す時母さんの反対を押し切って出てきたから心配させてるかもしれない。だから今年の夏は帰ろうと思う。あと、すこし夢に出てきた女の子が気になっていた。写真などは全部実家にあるため帰れば何か分かるかもしれない。
「いいや、去年は時間が取れなくて帰ってない。お正月しか帰れなかったから今年は夏も帰ろうかと思ってな」
「いいなー予定あって、俺なんてスケジュールガバガバだぜ」
「なら、俺の実家に来るか?母さん達にも合わせたいし」
「おっ!いいのか!」
「俺は構わないけど裕人の親がなんて言うか」
「大丈夫!大丈夫!友達と旅行行ってくるわって言うから」
「そんな、軽い感じでいいのかよ」
日程をいつにするかや何で行くかなど、俺と裕人が歩きながら計画を立てていると。たったったったと走る足音が聞こえて来た。その音は段々近くなり、誰か急いでいるんだなぁと思い、全くその足音に警戒していなかった。しかしその足跡は急にピタッと止まり、疑問に思っていると。
「よっーす!!」
「おわっ!?」
急に後ろから肩を叩かれてびっくりして変な声が出てしまった。聞き慣れた声だったので後ろを振り向いてみると俺達が通っている学校の制服を着ていた。顔はモデルさんと言ってもいいくらい整っており、薄く塗られたリップで唇が色っぽく光っており、髪は肩までつくか、つかないかくらいの長さで、少し茶色がかった髪色をした見た目は元気いっぱいのギャルって感じの見覚えのあるクラスメイトの桜木 真央だった。
「なんだ、桜木か。びっくりするからやめてくれと言ったはずじゃ」
「えー、いいじゃーん」
「嫌がる事すんなよアホ」
「は?アンタに関係ないじゃん」
「あ?なんだと!」
やれやれ、裕人と桜木が絡むと余計騒がしくなる。お互い嫌いとか、暴力女とか言ってるが実は付き合ってるんじゃないかってくらい仲がいい、ほんとに喧嘩するほど仲がいいのかもしれない。そんな事を思っていると、横から。
「ごめんね佐倉君、真央ちゃんが」
今度もまた見覚えのある顔だった。清楚系と言われればその通りと納得してしまう。綺麗で整った顔、それでいて可愛さもプラスされており、100人中100人が美少女と答えるであろう。桜木より長い髪、髪の色は綺麗な黒色でそれをヘアゴムでポーニーテールに結いており髪をおろしたら、これが大和撫子か、と思わせるような雰囲気をしている彼女はクラスメイトの折原 茜音。クラスのマドンナだ。彼女の事をクラス、いや全校男子生徒全員が狙っているかもしれないんじゃないかと思うほど容姿端麗、それに上品で清楚な立ち振る舞い、家柄が良いためお嬢様感がある。それとやはり可愛い。
「そんな、折原さんが謝らなくても、俺は大丈夫だから」
「そうだぜ悪いのはこの暴力女だからな」
「ちょっと!人の事、暴力女呼ばわりしないでくれない!?」
「いや、ほんとのことだ....いてっ!!?」
「ふん!」
「ふふ、ほんとに真央ちゃんと中村君は仲がいいんだね」
「お前らお似合いだぞ」
「「うるさい(せぇ)!」」
朝から騒がしいイベントがあったが、気が付くと学校の近くの道まで来ていた。正門が見える。自分と同じ制服を着た生徒が次々に校門を通っていた。俺も校門を抜け、自分のクラスの下駄箱に向かった。2年生の下駄箱は1年生と同じ場所にあり、校門を通って真っ直ぐ進むとある。靴を履き替え、教室に騒がしい友人達と向かい、今日も変わらぬ学校生活の1日の幕開けとなった。
設定
主人公
佐倉 悠人 17歳 B型 174cm
誕生日 3月6日 魚座
趣味 ゲーム 散歩 ペットショップに行く
成績はそれなりにいい方で運動神経は普通。田舎から上京してきたはいいが最初は人が多くて戸惑ったらしい。また、態度はクールだが心の中は歳相応の事を思っている。
なのでよく週刊誌のグラビアで裕人とクラスメイトの男子と盛り上がっている。顔がそこそこイケメンで女子の間ではよく話題に上がっていてグループの班決めなど女子の中では争奪戦なのだが何故かいつも茜音がくじを引くのでこの2人は運命の赤い糸でむすばれているのでは!?と思われており、何故か悠人に恋愛の相談をすると新しいカップルが誕生する為、恋愛成就の神様として讃えられてるとか。バレンタインの時チョコを貰いすぎてお返しが大変と裕人に言ったら1週間口を聞いてもらえなかったらしい。クラスメイトの男子、女子とは普通に友好関係を築いている。その中で特に仲がいいのが中村裕人、折原茜音、桜木真央の3人である。鈍感な所があり周りの男子からはラノベ主人公、ギャルゲー主人公と呼ばれている。将来は犬を飼いたいらしくペットショップの犬コーナーにいくとテンションが上がるらしい。クラスメイトの茜音を気にかけているが勇気がなく告白出来ていない。両思いだということには当然気づいて無い様子。
主に登場するキャラ
中村 裕人 17歳 O型 身長180cm
誕生日 8月29日 乙女座
趣味 ゲーム 漫画 筋トレ
1年生の頃悠人と同じクラスで、たまたま趣味がゲームということもあり仲良くなった。成績はいい方ではなく、よく悠人に教えて貰っている。それとは逆に運動神経は抜群なので体育の授業では大体無双している。同じクラスメイトの真央と喧嘩しているが実はそこまで嫌いじゃないらしく逆に好意を抱いている。下に弟と妹がおり、毎日一緒に遊んだりしていている。身長が高くてがたいがいいので怖がる人もいるが根はいい奴で優しい。最初は怖がられるが話すと怖がる人は誰もいない。
折原 茜音 16歳 A型 156cm
誕生日 2月2日 水瓶座
趣味 絵描き ピアノ 日記 その他色々
成績、容姿も良く大企業折原コーポレーションのお嬢様であり幼少期から色々な習い事をしていて、英語、ロシア語など様々な言葉を話せる。特にピアノは今でも続けており、腕はプロ級。まさに完璧美少女、と思うが家事が苦手でいつも、専属の執事かメイドさんにやってもらっている。家事全般ほとんどしたことがなく家庭科の時はいつも調味料など間違って入れそうになりその度、真央に助けられている。なので「真央ちゃんみたく家事が出来る素敵な女性になりたい!」と思っている。それと少し天然が入っておりたまに天然発言をして周りを唖然とさせたりする。真央とは小学校の頃からの幼馴染で仲が良い。趣味が絵描きという事もありたまに授業中に右斜め前にいる佐倉 悠人の絵を描いていることがある。ある事がきっかけで悠人に一目惚れしている、まさに恋する乙女。どうやって想いを伝えようか悩んでおり本人にはまだ思いを伝えていない。
桜木 真央 17歳 B型 162cm
誕生日 6月28日 蟹座
趣味 ウサギのお世話 裁縫 可愛いもの集め コスプレ
普段の言動からおちゃらけて見えるが、両親が共働きなためしっかり屋さんでテストや家事全般できるが中でも特に裁縫がプロ顔負けの腕でありコスプレ衣装を作ってるとか作ってないとか。運動神経がいいのでよく色々な部活から助っ人で呼ばれることもしばしば。
見た目がギャルっぽいが面倒見が良く常識人でモデルの姉がいるが姉の方は家事が全くできない。たまに裕人の妹と弟の面倒を見たりしている、少し言動が荒っぽいところがあるが照れ隠しであり裕人の前では恥ずかしくて荒ぽくなってしまう。いつも家に帰ると裕人に強く当たったことを後悔している。そのため少し男ぽいと思われがちだが中身は純粋な女の子。当の本人には思いを伝えられてなくて、どう伝えようか悩み中。茜音とは幼馴染でよく悩みを聞いたり相談したりしている。ペットに白い毛のうさぎが2匹おりオスの方は白丸、メスの方はリリーちゃん。
どうだったでしょうか?まだまだ序盤なので面白いか分からないと、思う人もいるかもしれません。一応この先の展開は大体あるので迷わずに書いていけたらいいなぁーと思います。それではまた次回。ごきげんよう。