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角の生えた男が娘を迎えに行くそうです①

私はるんるんで学校を後にした。

ふふふ、何があったかというと、今日はずっと借りたかった本が借りれたし、何より数学とかいうクソ教科が自習だったのだ。

今日はいいことがよく起きる日だ。

校庭を出ると、いつも通り人の気配があり──

「おじさん、お待たせしまし───」

「本当に待たされたよ。はやくいこーぜ娘ちゃん」

そこに立っていたのは、紙袋をかぶり、片目だけを袋から覗かせ、何より紙袋から飛び出ている角が印象的な男だった。

「誰だぁぁーーッ!」

「新手の魔族おじさん」

「怖いっ!怖い!魔族?うわ嫌だ!」

「お父さんは魔王なのにそんなに魔族が怖いか」

「わわわ私をどうするつもりですか殺す気ですか!?」

「うん殺すよ」

───私は暴れた。

「ぎゃぁぁあああおじさん助けて!おじさんっ!」

「いやまってまって冗談(・・)だ娘ちゃん」

がしっと私の服を掴み、動きを止めた。

「『おじさん』ってシューのこと?」

「強いですよ!真っ黒で白マントで多手のおじさん!」

私はびくびくしながら言った。

「やっぱりシューのことか。あのおじさんは今日は高熱を出しちゃって迎えには来れないよ」

「えっ!?魔族も病気にかかるんですか?」

「え気になるとこそこ?」

うそだろ、と私は衝撃を受けた。

「シューの代わりで、俺が来た」

「嘘だっ!信じない、騙されない、惑わされない!」

「マジかっっっ!」

角さん(仮)は明らかに戸惑っていた。

「俺も魔王様の使用人だ。信じて。シューほど怪しくないだろう」

「怪しい」

「そっか」

ってか思ったんだけど、突き出てるあの角本物なのかな?めっちゃ気になる。

「困ったな。どうやったら悪い人ではないと証明できるんだ?」



■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫



魔界にて。


「ぐへぁぁ関節痛い頭いたいあーつら」

おじさんは寝込んでいた。

すると電話の着信が部屋中に鳴り響く。

「なんだ?()か」

よっこいせ、と立ち上がり、電話を手に取り応答した。

『あ?もしもし?シュー?あっなんで逃げるんだ!』

「?」

『やだぁあああああ』

「?」

『俺は味方なんだ!』

「もしもし?」

『危ないから一緒にいろ!』

「おい…」

『あっシュー、今娘ちゃんの迎えに来たところなんだが、俺を怪しんでいるんだ』

「あぁ矢張りな。娘は臆病ですぐ逃げる」

『助けてっ!おじさん!おじさんっ!おじさん早くきてぇぇ!助けてっ!』

「え」

『だからシューは来ないってば』

娘…すごく呼ばれている気がする。



■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫



角さんは電話を娘ちゃんに突きつけた。

「ほら、おじさんだ。話してみ」

「おじさん?…」

『私はまだおじさんじゃない、お兄さん』

「おじさんっ」

『娘、その、迎えに行けなくてすまない』

ズル休み(・・・・)

『ちがうっての』

「私、迎えはおじさんじゃないと、その……嫌…です」

『えっ』

おじさんは頭にはてなマークが無数に浮かんだ。

『本当に申し訳ない。明日は私が行くから』

「はい…」

『あとその角の生えた男(・・・・・・)は私の同僚だ。安心しろ』

「はい。何かあったら、というか明日こなかったら絶対許しませんからね、明日は絶対に来てください絶対」

あーやっぱり魔王様の娘だ。

角さんはというとやっぱり娘に怯えていた。



■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫



迎えは私じゃないと、嫌だ……?

信頼されているのだろうか、熱のせいで顔が火照る。初めはあんなに怯えていたのに。



■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫



「ねーねー娘ちゃん。なんでシューのこと『おじさん(・・・・)』って呼ぶの?」

おじさんと違ってよく喋る人だこいつは。

「えっと…シューってのは…」

「手が6つあるおじさんのニックネーム」

はぁ。シューっていうんだ。おじさん。

「まぁでも高校生から見るとおじさん扱いされる年齢なのかうわっ、歳は取りたくないねー」

何歳なんだろ…

「そ、そうですね」

「こうして歩いてる時、シューと話したりすんの?」

「え…いや、無口です。たまに気配すら感じません」

「へー…」

おじさんマジで喋らないんだよ。ずっと空見たり風景みたりして私と目を合わせてくれないし。

「まぁ気まずいけど許してやって。魔王様から、娘ちゃんとの会話は控えるように言われてるからね」

…なんでだろう。

「…なぜです?」

「シューは魔王様の部下だ。娘ちゃんとは恋人同士(・・・・)にはなれない、なってはいけない」

へーおじさんは父さんにそう言われているんだ。過保護だなぁまったく。

「魔王様の部下と魔王様の娘のカップル…!まさに、禁断の恋ッッ!命懸けになるよー!」

こんな大人にはなるまい。やかましい。

「会話してるうちに好きになっちゃうかもしれないからねー歳の差も結構あるし絶対ないのに!」

「うん」

「なによりシューだし」

「そういえばあなたも魔王様の部下ですよね?こんなに話してい怒られないんですか?」

「えっ、ばれる訳ないじゃん!会話したかなんて!」

「あー…」

「話している方が楽しいだろがい、シューは頭がおかしい。よく黙っていられるよな。どうせバレないのに」

べらべらと角さんは愚痴を並べるみたいに私と会話をする。そこで、ちょっと冗談を言ってみた。

「私が父さんにちくるかもしれませんよ」

「え?やめて?殺させる」

やっぱり心配性なんだなー、私が魔族を好きになるわけがないのに。怖いし。

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