娘は使用人のおじさんを信頼し始めるようです②
「ありがとうございます。送っていただいて」
「あぁ…気にするな」
するとおじさんはなにか気づいたように。
「疲れた顔をしているな」
「え…そうですね………」
今にもおじさんを呪うかのような顔をして告げる。
「君は魔王の娘で命を狙われている、と聞かされたその翌日に、殺されかけた漫画みたいな早すぎる展開に、ついていけなかっただけです」
「…そうか(汗)」
「でもどうして私が魔王の娘だとわかったのでしょうか?不思議です。私、父さんに似てます?」
「いいや、似てはいない。だが魔界のほとんどが、君の顔を知っているよ」
そうしておじさんはチラシのような紙を見せた。
「ほら、私の娘は珍しいと自ら宣伝しているよ」
その紙には──私の幼い頃の写真が4枚ほど貼ってあった。
「ぎゃああああああナニコレイツノシャシン!」
さぁ、とおじさんは首をかしげる。
「それから変な噂が流れてだな。娘を食べれば不老不死になるとか、珍しいから捕獲したい、だとかな」
全部親父のせい。
私は紙をぐしゃ、と握りしめて、うぎぎ、と歯を噛みしめた。
「父さんのせいで私は、怖い目にあうんだ。いつか殺される」
「おい。わたしがいるだろう」
私はおじさんの存在意義(?)を忘れかけた。
「私は君を護ると言っただろう。君は今まで通り普通に生活すればいい」
「おじさん優しいんですね。目つきは悪いけど」
「…悪かったな」
「今日は本当に、ありがとうございます!」
おじさんは突如向けられた笑顔に、あたふたした。
「え…いや、その、ケガもせず無事でよかったな」
玄関に入り、外に顔をのぞかせ
「おじさん、おやすみなさい」
ばたんとドアを閉める。
「おじさんじゃない!お兄さん!」
「はいはいお兄さんおやすみ」
「お゛や゛ずみ゛っ゛!!」
そしておじさんは家を後にする。
外に出ると、あたりは真っ暗になっていて、月が雲の間から顔をのぞかせていた。
救急車のピーポーピーポーという音が鳴り響く。
そこでおじさんは気付く。
そういえば、あの紙袋マン、あのまま放置していたな……まずい、と
「ありがとうございます。送っていただいて」
「あぁ…気にするな」
するとおじさんはなにか気づいたように。
「疲れた顔をしているな」
「え…そうですね………」
今にもおじさんを呪うかのような顔をして告げる。
「君は魔王の娘で命を狙われている、と聞かされたその翌日に、殺されかけた漫画みたいな早すぎる展開に、ついていけなかっただけです」
「…そうか(汗)」
「でもどうして私が魔王の娘だとわかったのでしょうか?不思議です。私、父さんに似てます?」
「いいや、似てはいない。だが魔界のほとんどが、君の顔を知っているよ」
そうしておじさんはチラシのような紙を見せた。
「ほら、私の娘は珍しいと自ら宣伝しているよ」
その紙には──私の幼い頃の写真が4枚ほど貼ってあった。
「ぎゃああああああナニコレイツノシャシン!」
さぁ、とおじさんは首をかしげる。
「それから変な噂が流れてだな。娘を食べれば不老不死になるとか、珍しいから捕獲したい、だとかな」
全部親父のせい。
私は紙をぐしゃ、と握りしめて、うぎぎ、と歯を噛みしめた。
「父さんのせいで私は、怖い目にあうんだ。いつか殺される」
「おい。わたしがいるだろう」
私はおじさんの存在意義(?)を忘れかけた。
「私は君を護ると言っただろう。君は今まで通り普通に生活すればいい」
「おじさん優しいんですね。目つきは悪いけど」
「…悪かったな」
「今日は本当に、ありがとうございます!」
おじさんは突如向けられた笑顔に、あたふたした。
「え…いや、その、ケガもせず無事でよかったな」
玄関に入り、外に顔をのぞかせ
「おじさん、おやすみなさい」
ばたんとドアを閉める。
「おじさんじゃない!お兄さん!」
「はいはいお兄さんおやすみ」
「お゛や゛ずみ゛っ゛!!」
そしておじさんは家を後にする。
外に出ると、あたりは真っ暗になっていて、月が雲の間から顔をのぞかせていた。
救急車のピーポーピーポーという音が鳴り響く。
そこでおじさんは気付く。
そういえば、あの紙袋マン、あのまま放置していたな、と。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪
翌日。
いつものように娘が出てきて、合流する。
いつも通り歩き、家に着いたとき、娘は口を開いた。
「おじさん。明日は迎えに来ないでほしいです」
ギロっと目を細めた。
「駄目だ。そうすると私がとても困るのだ。魔王様に叱られる」
「えー1回ぐらいいいでしょうお兄さん」
「だめ」
「お願いお兄さん」
「だめっ、こういうときだけお兄さんと呼ぶのだなキミは!」
「お願いします。1回だけです明日だけです」
「…うーん、まぁ君も学生だからな、遊びたい年頃だろう。よし、1回だけならいいぞ、ただし、6時までには帰ること、人通りの良い場所を歩くのだぞ」
「はい(お前は私の親か)」
「迎えが要らないということは、友人と放課後に遊びたいのだろう?」
「え」
「?、違うのか」
「あっ、いや、そうです」
すると急にカァァァと赤面して
「同じクラスの人と……買い物に行くだけ…です」
!?
ばっと娘は背を向け、家に勢いよく入ろうとした。
「じゃ、おやすみおじさん」
「待て!なんだ今の赤面はっ!おい娘!あとおじさんじゃないぞ!」
拳を作って娘に問いかけた。
「まさか男と…」
バタンと大きな音を立ててドアが閉まる。つづいてガチャ、と鍵をかける音がした。
「あっ、カギ…」
入ってすぐに鍵を掛けられた、傷付くなぁ。
ズキズキと痛む心を気にしながらも、家を後にした。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫
私はというといつもの4人で晩飯を食べていた。
「それはあれだよ多分『放課後デート』」
「私も、そうだと思うねぇ」
「デートだろそれは」
ねー、と皆納得している。
「しかし、男と遊ぶとは言っていないぞ」
「恥ずかしいからでしょぉ〜?女子高生だなぁ」
「ふーん」
「軟骨唐揚げ食べたい」
デートか、それなら迎えはいらないな。あの娘が私の知らない男とデート……
「気になる?もにょもにょする?」
「うるさい黙れ」
「ごめんね」
「まぁ男じゃなくて女同士でデートかもしれないぜ?」
「まずいだろそれは」
「軟骨唐揚げ2皿でいい?足りる?」
「暖炉さんの好きにしてくそどうでもいいから」
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次の日。
「ぐわぁぁ゛はぁァああ゛」
大きな帽子を被った巨大な男は欠伸をした。
フーっ、と一息ついて、時計を見た。
「あーここ2ヶ月くらい寝てないな。魔王死んじゃうっての」
魔王様は濃ゆい隈がついた目で部屋を見ると、ここにいてはいけない人を見つけた。
「あれ?シュー君娘の迎えの時間だぞ?行かないの?」
シューくんは魔王様に呼ばれたことに気づき、書類を片付けながら返答する。
「あぁ…今日だけは迎えにこないでほしいと、言われたんですよ」
そう告げたが0秒。
魔王はシューくんに瞬間的に近づき、ずいっと覗く。
「なんで?」
あまりの迫力にシューくんはびくっとした。
「(ひっ、でっけぇ…)学校が終わったらそのまま、同じクラスの人と買い物に行きたいとの事で」
しゅぱっと魔王を避け、説明する。
「同じクラスの人……そいつ男?」
「さぁ、性別までは。学生ですし彼氏では?」
「彼氏……だと…」
魔王はくわっと目を見開いた。
「やだっ!絶対やだ!人間の男とくっつくなんてパパ認めんぞ!魔族ともさせん一生処女でいてほしい!」
くそキモイなこの親父。
「やだー娘は渡さん丸呑みしたいくらい愛してるのに」
シューくんが本格的に引き始めたとき、魔王はある結論に至った。
「あ、そうだ。消すか」
「ダメでしょうが!軽いっての!」
「そ、そうだな…私は魔王なんだ、人間のクソガキごときに…もっと冷静に考えて……」
そしてなにか閃いたような笑顔で。
「そうだ、殺そう」
「ダメですよッッ!?」
殺すことしか脳がない魔王に説得は難しい。
「だいたい相手は男か女かもわからないんですよ!?殺しだけは絶対に駄目です!」
そう告げると魔王はなにやら机からごそごそとし始めた。
「仮に男だとしたら困るからな、このボールを使うといいぞ」
何の変哲もないまん丸のボールを取りだした。
「?、なんですか?それは」
シューくんはなんだかはっとして。
「あの…もしかしてこの流れって、私、娘の後をついて行くかんじですか?」
「そう。尾行して。それでね、このボールは…」
そうすると部屋にいる紙袋を被り角が紙袋から飛び出している男に呼びかけた。
「角男君。ちょっとそこで止まって」
言うなり角男君が「?」って感じで立ち止まった。
刹那───
「そいっ」
魔王がボールを投げた。
投げたボールは勢いよく楕円を描きながら、ぐるぐるまわって角男君に直撃した。
「ぐへぁ!?」
ドギャスという効果音と共に壁に打ち付けられた角男は秒で行動不能になっていた。
「これね、ぶつかると死ぬ特殊なボールなの。すごいだろー」
多分普通のボールだろうけど魔王様の威力が怖い、とシューくんはがたがたと「こえぇぇぇ」と呟いていた。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫
「松田くん!」
「やぁ」
私は学校から出てすぐ、校門の前で待っている松田くんに話しかけた。
「ごめんね、遅くなって。図書室で1時間も本読んじゃった」
「あー、僕1時間も待ってたのか」
「あっ!ちょっとまって」
「?」
そうして私は校門の辺りをさっさと見回す。
「どうしたの?」
「なんでもないよ!松田くん」
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫
私が来ていないか確認したぞあの娘ッッ。
ってか松田くんってやっぱり男じゃないか!ぎーーーっ!
松田くんは娘に向かって話しかける。
「今日は迎えの人いないの?」
「へ?」
「黒くて白マントのおじさん」
誰がおじさんだクソガキ。
締めるぞ。←黒くて白マントのおじさん
彼氏か、あいつは。
近いんだよ、娘から離れろ!
あ、身長は私の方があるぞ、よしっ!
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫
デパートにて。
「たくさんあるんだね!苺のガナッシュ!ホワンボワーズ!ブランデーとかいいね!」
「そうだね、全部食べたいよ」
「男性はビターの方がいいのかな」
「僕は甘いのが好き!」
「そっかー」
くそ、会話が聞こえんな。
私はというとナイフを持って身を潜めていた。
周りの人間はやばくない?あのひと、とかカップル見てナイフ持ってるよ、と、もう通報案件だった。
チラッと2人を見やる。
楽しそうに話をしている。
何してんだ…私は。あの娘は魔王様の娘なんだぞ。好きでもないのにこんなに気になってしまう。もにょもにょする。
「こいだね」
突然背後から聞こえた声に警戒した。
「バカ言うな!私が恋だとっ!?だいたい年の差がはなれているのがわk」
「故意ね。だめだよ高校生カップルの邪魔しちゃ」
────
「誰だ貴様はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!???」
「警備員さんです!高校生カップルを見てナイフを持っているおじさんがいると通報があってね」
「あぁ…はい。早く捕まるといいですね」
「うん。君だと思うんだよね」
「私はまだおじさんじゃないッッ!!!!」
あたりはざわざわとし始めた。
「はいはい取り調べ室に来てもらうよ、お兄さん」
「なッ、はなせ!ぶつかると死ぬボール投げるぞ!!ちょ、はなせっ!」
「なんか騒がしいね、なんかあったのかな?」
「……さぁ」
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫
翌日。
チャイムが鳴ると同時刻、私はすぐ外へでて、校門へ向かう。やっぱり、おじさんがいた。
「今日は迎えに来てしまったが、いいか?」
「はい!」
「昨日は来てないからな、絶対」
「そ、そうですね」
「昨日は楽しかったか?同じクラスの人というのは彼氏だったのか?」
「彼氏?買い物をした人は男ですが彼氏ではないです。ただの幼なじみです。近所の松田くん」
「ふーむ、それならいいが、見た目が人間だろうと油断するなよ?君は常に狙われているんだ」
すっとおじさんは腕を出てきた。
「私といれば安心だぞ」
「なんでですか?」
「私は強いからな」
「おじさん」
「?、なんだ?」
「えっと…その…あの」
急にもじもじし始めた。
「あの…」
「うん。何だ?」
「えー……」
「なんだっ!だから何!?早く言え!」
急に距離が縮まり、なおさら黒い体が目立つ。
「これ」
私は包装されている薄い箱を渡す。
「?、なんだこれは」
「チョコレートです。バレンタインデーの」
「バレンタインデー?んーーーーー?」
「もういいです」
箱をおじさんの腹に突きつけて
「痛い」
「普段お世話になっている人にチョコやお菓子を渡す日です」
「へー」
「おじさんはチョコレート好きですか?」
「あぁ、好きだ」
「男性は甘いもの苦手かと思って、だから幼なじみに相談しながら買ったんです。でもおじさんが好きなら嬉しいです」
おじさんは赤面していた。
「いつも護ってくれてありがとうございます」
「あぁ仕事だからな」
おじさんは背を向けてしまった。
「あ─────」
「なんです?」
「チョコレートありがとう」
「はい」
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫
「そうか!彼氏ではなく、ただの幼なじみだったのか!いやー良かった!」
魔王は心底嬉しそうにわいわいした。
「おまけにチョコレートも貰えたのか!でもそれは義理だ。勘違いするなよシューくん、娘はシューくんのことを愛してはいないぞ!」
うるせぇ。
「で?パパの分は?」
「え?いや……無いですけd」
魔王は怒り狂いシューくんに向かってぶつかると死ぬボールを 以下略




