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第九十五話

 秀星たちはアジトをドントコ進んでいた。

 一番前に秀星がいるので罠はあってないようなものであり、どんな装備を持ってこようとマシニクルの方が強い。

 アジトは下に広がっている。

 いや、目に見える『階段』を見た限りでは上に続いているように錯覚してきているのだが、秀星の地獄耳にそんなごまかしは通用しない。

 実際、秀星以外の三人は簡単に引っかかったが。


「さて、防衛エリアを抜けた。あとは研究エリアだな」

「なんか、軽く運動するための散歩にでも来たような気分だぜ……」


 秀星がいるから当然なのだが、全く張り合いのない状況なので不満を漏らす昇平。

 晶とローガンは文句は言わず、あまり参考にはならないが秀星がやっていることをしっかり見ている。

 というより、秀星の場合はアルテマセンスによって感覚神経が凄いことになっていることと、隠蔽魔法がかけられている罠すらも察知する第六感が優れている。というだけのことだ。


 活かそうと思えばなんとかできなくもない。

 アジトの防衛隊との戦闘にしても、威力は大幅に違うが銃を使う晶はもちろん。ローガンも秀星がやっていることをキーワード管理して頭の中で整理し、活かそうとしている。

 まあ、二人ともまだそういう企図ができる段階ではないので悲しくなってきたのでかなり雑だが。


「ん?この部屋。なんか人が多そうだな」


 秀星はドアノブを握って、ちょっと開ける。

 そしてすぐに閉めた。


「……どうかしたのか?秀星」


 昇平が聞いてきた。

 当然だが。


「いや、かなりのグロ警報が出そうだからな。セフィア〜」

「はい」


 セフィア出現。


「なんとかしてきなさい」

「分かりました。いつも通りでいいでしょうか」

「よろしく」


 ということで、セフィアが一人で部屋の中に入っていった。

 ……数秒後。


「ギイヤアアアアアアアアアアアア!」


 中から男性の悲鳴が聞こえてきた。

 更に数秒もすれば、今度は物音すらもなくなった。


「終わりましたよ」


 入ったときと変わらない様子でセフィアが出てきた。


「よし、入るか」


 秀星はドアを開ける。

 すると……。


「「「……?」」」


 晶、昇平、ローガンの三人は首をかしげる。

 ドアの奥に広がっていたのは、いたって普通の部屋だ。

 一般的な多数用のホテルの部屋といったものだろう。


 普通と違うのは、部屋の隅のほうには『人が何人も入れそうなほどの黒い大きな箱』がある。

 すごく物々しい雰囲気がある上にすごく目立つ。

 その反対側にはすごく大きなベッドがあり、そこでは八人の少女たちが寝間着姿ですやすやと眠っていた。

 というか、八人が同時に寝ていても全く問題がなさそうな広さのベッドである。

 当然、セフィアの自作だ。少なくとも市販ではあるまい。


「……何があったんだ?これは」

「よくある人体実験だよ。生きたまま腹を切り裂いていろいろつなげるやつ」

「「「……」」」


 一気に気分が悪くなった三人。


「で、彼女たちは大丈夫なのか?」

「問題はありません。三途の川を渡っていましたが、無理やり引きずってきました」


 いろいろな意味で過激派であった。


「……わたっていた?」

「はい。ですが私や秀星様にとって、死後二日以内であれば、『死』というのはただの状態異常ですからね。少し危ないところでしたが、まあ問題はありませんよ」

「じゃあ、不老不死とか可能なの?」


 晶が聞いてきた。


「もちろんだ。ちなみに、三人は俺が何歳に見える?」

「秀星は十六歳だろ?浪人しているわけでもないし」

「実年齢は二十一歳だ。体を作り変えて十六歳にしているだけで、少し年を食ってるよ」

「作り変えるって……」

「これがあれば可能なんだよ」


 秀星はマシニクルを見せる。

 とはいえ、まだ方法はあるのだが、それはいいとして。


「まあ、不老不死なんて安物(チャチ)は置いておくとして、彼女たちはとりあえず送り届けておくか」

「すでに身元も調べておきました。ただし、すでに死亡届が提出されていたり、そもそも親が娘を売ったケースもあります。こちらである程度保護することも視野に入れておくべきでしょう」

「ふむ、なら、僕が面倒を見よう。ハワード家は大きいから使用人も多く雇っている。その見習いという扱いにして保護する。一見すると不自然はないからね」


 ローガンの意見をとりあえず採用するとしよう。


「はらませるなよ」

「さすがにしないって……というか、人体実験の被害者を助けた後で強姦するわけないだろう。どれほど僕のことを鬼畜だと思っているんだ?」


 一応言っておくと。

 ローガンは悪い子ではあるが、本物の悪党というわけではない。

 悪魔化していたときの醜態を見ればわかるように、基本は小心者と呼べるものである。

 当然、孕ませるといっても、中で出すのがオーケーな娼館でやっていたのだ。しかも大判振舞いをよくするタイプなのですっごく金払いがいい。

 屑ではあるが、裁判で最悪なことにならないように予防線を張るタイプなのである。


「ていうかまだいそうだけどな……ま、どうするかはあとで考えるか。セフィア、とりあえず避難させておいてくれない?」

「避難ですか?」

「だってそうだろ?うっかり山ごと吹き飛ばしちゃうかもしれないからさ」

「わかりました。それでは、この施設でとらわれてる者たちは私がすべて保護しておきます。秀星様は、まっすぐ下に向かってください」

「そうすることにしよう」


 秀星は部屋を出る。

 三人は感じていた。

 すでに、秀星の状態はやばいことになっていると。

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― 新着の感想 ―
[一言] 思ってたより小物だった...お前孕ませたって黒じゃなかったんか
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