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第九百二十二話

 レッドメタル、というらしい新種の金属の装備を身に着けた門番ををまとめて消し飛ばして宮殿の敷地内に入った秀星。


「おや、ゴブリン軍団ではないんだな」


 宮殿内部にいたのはゴブリンたちではなく、人間やそれに近い者たちだった。

 ただし、外にいた人間たちは全員が奴隷のように酷使されていたので、それとは違うだろう。

 宮殿の中で装備を揃えている人間たちの中には獣人やエルフといった種族のものも存在する。

 そして、全員が美形、美人と言われるような顔立ちだ。


「当然だ。ゴブリンの知能で、この街を運営できるはずがないだろう」


 四十代半ばの男性と思われる黄金の鎧を身にまとった戦士がそういった。

 剣を装備した騎士のような姿で、地球基準で見てもかなりの強者だろう。


「ここまでたどり着いたのは貴様が初めてだ。そこは褒めてやろう。だが、それは終わりだ。俺の剣のサビにしてくれる」

「そうかい……」


 秀星はプレシャスを構える。


「ついでに聞いておきたいんだが、あんたってここではどれくらい強いんだ?」

「三番目だ」

「ほー。嘘ではないとするなら、ダンジョンマスターとその側近が別にいるってことね。こんな宮殿の敷地に入ってすぐの場所を三番目が守っているとなると……どうやら宮殿の中はよほど重要らしいな」


 次の瞬間、秀星は男性が振り下ろしてきた剣をプレシャスで受け止めた。

 火花が散って、斬撃はそこで止まる。


「む……俺の剣を止めるとはな」


 ギリギリと鍔迫り合いに持ち込んでくる男性。

 身長も体重も、剣の重さも男性のほうが数字は大きいだろう。

 しかし、それだけでは秀星に敵わない。


「……ここのゴブリンもそうだったが、鍔迫り合いに持ち込もうとするやつが多いんだよな。どんだけ力比べがしたいんだって感じがする」


 秀星は剣を受け止めたままで、男性の腹に蹴りを一発打ち込んだ。


「ぐっ……」


 悶絶したように後ろに吹き飛ぶ男性。

 だが、受け身をとってすぐに立ち上がった。

 蹴られた部分を見て、凹んでいるのを確認すると表情を歪ませる。


「くそっ、マスターから下賜されたこの鎧に傷をつけるとは……」

「鎧は身を守るためのものなんだ。傷がつかないのなら鎧なんて動きにくいだけだろ」

「うるさい!」

「……まあ、いいけどね」

「しかし、俺の剣を止めて、鍔迫り合いさえ押し勝ってくるとは……」

「あんたらのマスターとそのナンバーツーの強さは知らんが、身長や体重の数字なんて飾りだろ」

「……確かにな」


 男性は再び剣を構え直して突撃してくる。

 そして、黄金の剣を光らせた。

 切っ先がとても高温になっているようで赤く染まり始める。


「相手にだけ影響を与える爆発魔法が込められた剣技だ!砕け散るがいい!」


 男性が剣を振り下ろしてくる。


「……せめて周りと連携してくれればもうちょっと楽しめたのかもしれないんだけどなぁ」


 秀星は残念そうにそう言いながら、男性が振り下ろしてきた剣を人差し指と親指でつまむようにして受け止める。


「なっ!?」

「やたら切っ先が光ってるってことは、起爆点はここだろ?なら、こうして刀身をつまむように止めれば爆発しない」

「ば、馬鹿な……」

「その様子だと知らなかったみたいだな。まあその様子だと、どうやらあんたの単発火力の中では最強の攻撃のようだが……戦士なら幻惑魔法くらい使えよ。フェイントするとき楽だぞ」


 秀星はプレシャスを光らせる。

 そして、切っ先が煌々と輝き始めた。


「まさか……」

「そういうこと」


 真横に一線。

 男性は爆発してその鎧を砕きながら、宮殿の壁に激突して消えていった。


「……どうした?どうせマスターからこの宮殿をしっかり守るように言われてるんだろ?だったらしっかり役目を果たすといい。それが嫌なら諦めろ。この世界の人間に対して、お前たちはやりすぎた」


 彼らの行いがこの世界で許されるかどうかはすでに秀星の中で問題ではない。

 ただ、こういう奴隷制度は、個人的に嫌いなだけだ。


 少なくとも秀星が慈悲を与えるつもりがないことはわかったのだろう。

 それぞれが武器を構える。


 多種多様な遠距離攻撃が飛んできた。

 秀星はそれらをすべて切り落とす。

 街にいたゴブリンたちとは比べ物にならないレベルだ。

 おそらく、ゴブリンたちはこの世界で手に入れた軍勢で、この宮殿にいる者たちは、もともとマスターが持っていた軍勢なのだろう。


 それ故に明確に差はある。が、秀星を相手にする場合はその差に大した意味はない。


 ただ秀星から見て、どこか『同じような上限』のもとで鍛え上げられたような、そんな印象がある。

 そしてきっと、その感覚は間違っていないはずだ。


「……アステルとオウガが聞いたらなんて思うだろうな」


 ユニハーズに所属するメンバーの中で二人を思い出しながら、秀星は殲滅するように進んでいった。

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