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第九百十九話

 秀星はそこそこ改造しているアジト……名前は『ストライア』というらしいが、そこから南に一直線に向かった。

 ノアスフィアに存在するダンジョンが稼働しているとき、空は分厚い雲に覆われて、昼間であってもかなり薄暗くなる。

 そんな空を見ながら、秀星はその『ダンジョン』に向かった。

 ちなみに、わざわざ走っていく必要もないので、飛行魔法でぶっ飛ばしてきた。


「……なんだかこう。『首都』っぽくなってるな」


 秀星はそう思った。

 そのダンジョンは、言い換えれば『町型のフィールドダンジョン』といえそうな状態になっている。

 高く分厚い壁に囲まれており、東西南北に一つずつ門がある。

 中は防衛ではなく経済を重視している作りで、『入り組んだ設計』をしておらず、かなり人や物が移動しやすい設計になっている。

 それぞれ目的に沿ったエリアに分かれており、中央部には貴族街といえるようなエリアになっており、中央には巨大な宮殿が立っている。


「門番には屈強なモンスターを配置、肉眼では見えないが、半球状の魔法防壁。そして……宮殿の地下に存在する『本命のダンジョン』か。何ともまあそれっぽいものを作ってるな」


 町の中を行き交うのはゴブリンたちだ。

 時折人間も見かけるのだが、明らかに奴隷として酷使されているのが見える。

 彼らにとって、人間という存在は奴隷のような『商品』としての価値しかないのだろう。


(かなり発展してるな。というより……最低限のルールを定めたうえで、放置し続けている部分もあるだろう。あまりにもゴブリンたちの行動の自由度が高すぎるし)


 ただ……どうでもいいというのが秀星の感想でもある。

 秀星は星王剣プレシャスを抜いた。

 そして、それを一度振り下ろす。


 斬撃が飛んで町の魔法防壁に着弾し、一撃でその防壁を粉々にした。


 ブザーが鳴り響き、警報が全員に知れ渡ったのは分かった。

 いくつか視線を感じるので、どうやら感知能力が高いものがいるらしい。


(思ったよりも強い個体が多いな。まあ、そうでもしないと生き残れないか)


 一撃で斬り飛ばした障壁による防御はもうない。

 プレシャスを構えたまま、大広場のような場所に着地する。

 すると、武器を持ったゴブリンたちが秀星に切っ先を向けて囲ってきた。


「さてと……会話は不要だ。殲滅しに来ただけだからな。死にたい奴からかかって来い。死にたくない奴はあきらめてくれ」


 そういってプレシャスを真横に振るう。

 それだけで、数十のゴブリンがまとめて消し飛んで、建物がいくつも倒壊した。

 周りのゴブリンたちは驚愕しているものもいるが、一部、『怒り』が見える。

 そこにはしっかりと『心』が宿っているようにも見えるが……秀星には関係ない。


 精神系統の最高耐性を付与する『宝水エリクサーブラッド』

 神器レベルの精神耐性というのは、それは『無効化』や『対処』といったものではなく、『欠落』である。

 例え、相手の心を壊すようなことをしたとしても、秀星の精神に影響はないのだ。

 だからこそ、秀星は……このゴブリンたちよりも、もっと悲惨なことができる。

 まあ、殺戮というものが悲惨なものにならないということは、まず、あり得ないことだ。


 彼らには、諦めてほしい。

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