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第九百十三話

「そういえば、アルエストとは話してるけど、当主とは話さなくても良いのか?」

「ノアスフィアに関する作戦の指揮権は私にある。お父様は他の家との交渉で手が放せないからな」

「なるほど、あったこともないのに信用してくれてるなぁ」

「この地球のネットにもすでに接続して様々な情報を得ている。どうやら君は世界一位の実力を持っているようだが、それと同時に、人格的に問題があるとは判定されなかった。それだけのことだ」


 それだけでいいのか。と思わなくもないが、よくよく考えれば『対処主義』なので、道中で何が起ころうとも結果さえ良ければいいということなのだろう。

 ただ、あまり周りがそれに準じていないような気がする。

 対処主義は根っこにあるだろう。だが、それをどれほど引き継いでいるのかに関しては個人差があるようだ。

 よくよく考えれば地球の人間だって、自分の国が掲げていることに異を唱えるものもいるだろうし、そもそも国が何を掲げているのかを知らないことだって普通にある。

 主義というものはだいたいそのようなもの。

 行動で示す主義に説得力はあるが、口で言う程度の主義に実態などない。

 昔の主義を今も引き継いでいるウェストリア家と最初に接触したからこそ『古代貴族がどういう集団なのか』がはっきりしているが、他の家が来た場合、かなり中途半端になるだろう。


「しっかしまぁ……ノアスフィア。思ったより厄介な性質をしているな」


 風香が『ダンジョンの数がすごい印象がある』と言っていたが、まさにそのとおりで、ノアスフィアはダンジョンだらけだ。

 大小様々ななタイプで乱立している。

 ただ、特筆すべきは、このダンジョンのマスターはれっきとした知的生命体ということだろう。


 地球のダンジョンの場合、一番奥にいるボスを突破した場合、それだけで終了する。この個体は、特に知性……いや、ストレートに言い換えれば、人間らしさはない。

 ラスボスは、ダンジョンのコアが用意した一番強いモンスターというだけであり、一度倒されるとダンジョンの機能が停止するのは地球もノアスフィアも変わらないが、ノアスフィアの方はどうやらダンジョンそのものが領域の拡大を狙っているらしい。


 地球のダンジョンは間引きをサボってダンジョンの中からモンスターが溢れない限りは出てこないのだが、ノアスフィアの方は遠慮なくどんどん出てくる。

 その殆どは偵察部隊のようなものだが。たまに強い個体も出現する。


 ダンジョンマスターにとって『拠点』と言える存在なのだろう。


「全てのダンジョンのコアを手に入れたものは、図書館に入る権限を得る。そう言い伝えられているんだ」

「ダンジョンマスターの一人がゲロった可能性があるな」

「私もそう考えている」


 そのような目的があるわけだが、このダンジョンの中でも、草原や山といった、『洞窟型以外』のダンジョンの場合、この規模を拡大していくと地域に住む人間たちの平穏が脅かされる場合もある。

 大昔に、アルエストたちはそういったモンスターと戦っていたのだろう。


 そして、彼が言う『世界征服』というのは、これらのダンジョンマスターを全て滅ぼすことだ。


「この宇宙船がこうして地上に出ようとしたってことは、モンスターに対処できると考えたからだろう。ただ、どこか統一感のないようにみえるな。あまりノアスフィアに行くのが乗り気じゃない奴らもいるんだろ?」

「二万年前だからな。ただ、私はそれを責めるつもりはない。私だって、なんのために図書館に入ることを望んだのか。もう覚えてはいないからな。それに……地球人にとってどうかはわからないが、我々にとってこの地球は平和で、文化も発達している。わざわざそれに目を背けて、ノアスフィアに行こうと考えられるほど、人間というのは理性的な生物ではないだろう」

「まあ、たしかにな」


 言わんとすることはわかった秀星。


 とても、人間らしい話だ。

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