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第九百一話

 海の底で何かが動き始めた。といったが、当然、秀星や椿のような特殊な『何か』を持っていない人間はそれに気がついてはいない。

 うっすらと気が付いているものはいるだろう。しかし、そのほとんどはこの地球にいて上位に分類されるようなもの達に限る。


 ただ、あまりそれは関係のないことなのかもしれない。

 お相手さんは、どうやら自己主張の激しい性格のようだ。


「……気配をたどってきたが。ここは……」


 秀星がたどり着いたのは、高志をリーダーとするユニハーズが活動している島だった。

 大自然の中に存在し、この島の中だけで経済構造を作り上げていたが、魔法社会が表に出ることによって、貿易船がたびたび現れるようになっている。


「……ん?なんだ?今一瞬。島が……揺れた?……!?」


 秀星は驚愕した。

 島の中央がひび割れるように下から何かが沸き上がっており、島に存在するそれらをすべて破壊しながら姿を現していく。


「……これは不味いな」


 秀星は左手に黄金に輝く拳銃。マシニクルを出現させると、遠く離れた場所に向ける。

 そのままトリガーを引くと魔法陣が出現し、近くの海にも同じ魔法陣が出現した。

 そこから出てきたのは、一つの船。

 大きさはそうでもないのだが、軍事目的で作られたとても頑丈な船。

 軍艦。といって差し支えない。

 秀星はスマホを取り出して電話をかけると、コールは一回でつながる。


「……母さん。俺だ。今、母さんがいる島の中央で、『この島よりも大きなもの』が無理矢理上がってこようとしてる。島の近くに軍艦を用意したから、母さんの力で出来る限り転送してくれ。この島の熱源反応が確認できた場所をこの後送信する」

「わかったわ。お母さんに任せなさい」


 秀星から最低限の情報は得た。

 沙羅の方も余計なことは聞かずに、通話を終了させる。

 そして、マシニクルが秀星が言ったことを自動で認識して、熱源を感知して沙羅のスマホに送る。

 神々の一人である沙羅の感知範囲はかなり広いので不要かもしれないが、念には念を。といったところだ。


「一体何が出てくるんだろうな……」


 秀星が見えている範囲で、あちこちから熱源が消えていく。

 どうやら沙羅が高速で人を転送しているようだ。


「……」


 地面から島をぶち破るようにして出てくる謎の物体。

 全体がある程度見えるようになってきた。


「これは……円盤型の建造物か」


 ただ、そのスケールは圧倒的だ。

 真っ白な素材で出来ており、円盤の直径は十キロはこえるほどで、厚さも五百メートルはある。


「なんか円盤の下から変な『機能』が見えるな。これは……重力の発生装置と制御装置か」


 現在その建造物にかかっている重力を制御し、新たに重力を生み出せる装置だろう。


「重力を制御することで浮かぶことができるのは当然として、宇宙空間のような無重力状態でも地上と同じように活動できるようにしているのか。カテゴリで言えば『宇宙船』だな。それよりも驚きなのは……科学的な文明がほぼ使われていないな。魔法や魔道具を使った設計になってる」


 目に鑑定スキルを通して観察する秀星。

 一体どういうものなのかはわかってきたし、そして活動場所を選ばないこともわかった。

 あとは、この宇宙船の中にいるのが一体誰なのか。そしてその目的は一体何なのか。


「使われている魔法の構築式。どこかで見たような……ん?」


 スマホに着信が来た。

 ユニハーズ所属の魔眼使いのアステルからだ。


「どうした。アステル」

「いま軍艦に入ったところだ。ここから……あれは宇宙船といえば良いのか?とりあえず見えている」

「ああ。俺が見た感じ、宇宙船と言って間違いはない。で、軍艦の様子はどうなってる?」

「とりあえず全員分の個室が用意されているし、それぞれの広さもある。この島は『何が起こるかわからない』って言い張ってる実力のある占い師がいてな。必要なものはいつでもまとめて持ち出せるようにしてるんだよ。容量が大きいマジックバッグもこの島なら普及してるからな。あと、お前がいるという情報が船の中にあることで落ち着いているようだ」


 船のクオリティは申し分ない。最低限の荷物は全員持ってきている。そして、『世界一位』である秀星がいるから混乱は少ない。というのが要約点だろう。


「ふむ……まあ、彼らの働く場所は後でアトムと相談するとして、アステルからはどう見える?あの宇宙船」

「セキュリティが頑丈すぎて私からも中身が見えない。ただ一つ言えるのは、神器の力を全く感じない」

「あー……言われてみれば」


 アステルが言ったとおりだ。

 宇宙船には高度な魔法技術とセキュリティ性能が備わっているようだが、神の力というものを一切感じないのだ。

 というより、むしろそれを最大限に避けて組み上げているように秀星は見える。


「アレが何なのかはわからないが……敵だと思う?味方だと思う?」

「さあ?今までなんの痕跡もなく潜んでいたやつが味方には見えないけどな……!」

「なっ、マズイ!」


 話していると、宇宙船の側面から大砲のようなものが出現した。

 まっすぐ秀星に向けて照準を合わせている。

 その大砲の数は、千を超える。


「少なくとも第一印象は敵ってことでいいかな」


 大砲から砲弾が次々と飛んでくる。

 秀星はマシニクルの銃口を向けて、次々と発泡。

 弾丸は途中で分裂し、砲弾にあたると爆発していく。


「アステル。大砲が出てる場所からセキュリティを突破して中身は見れないか?」

「もうすでにやっている。だが、全然中身が見えない」

「うーん……想定よりも隙がない」

「というか、結構余裕あるな。秀星」

「単なる弾幕パーティーだもんね。とはいえ、挨拶代わりにしても派手な連中だなぁ」


 千をこえる大砲から次々と打ち出される砲弾。

 物量で言えば圧倒的なはずだが、その程度で秀星に勝てるわけではない。


「さーて。とりあえずこれがいつまで続くのやら……とりあえず、アステルは軍艦を操作して離れておいてくれないか?」

「わかった」


 とらいえず通話は終了させる。


(さてと。そろそろ弾じゃなくて言葉で語ってほしいんだがな……)


 まあ、日本語が話せたらという前提付きだけどね。

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