第八百二十話
イベントの制限時間だが、これは四時間という設定になっている、
長い。
このような時間設定で『スタジアム』という限られたエリアで戦うと、どのエリアも更地になってどうしようもなくなるので、全ての建物、木の一本一本に至るまで全て『再構築』されることになっている。
スコアにかかわる者に関してもこの再構築システムは機能するので、マップをどうにかして手に入れて『周回コース』を定めることができれば、普通に戦うよりもかなりのスコアを獲得できるのだ。
お腹いっぱい食べまくっていた椿がそこそこのポイントを持っていたと考えれば、周回コースを見つけるのは悪い計画ではない。
「おおおおおお!すごいですううううう!」
修復されて行く都市を見て感激している椿。
正直なところ、朝森家にいたらこの程度のことはよくあると思われるが、椿はそういう事情は関係なく『感激することができる』ので、とてもいい笑顔である。
「このシステムはすごいですね!これがあれば、おじいちゃんと来夏さんがどれだけ暴れても大丈夫ですよ!」
別にビルを粉々にできるのはその二人だけではないし、やろうと思えば椿もできるわけだが、『積極的にビルクラッシュする人』という意味なら確かに高志と来夏だろう。
爆弾もなしによくやるものだ。高志に至っては素手なのに。
「むー……スナイパーっぽい人がビルに上がってますね。やっぱり高い所の方がいいということですね」
見渡しやすいのだから当然だろう。
ただ残念なのは、懸賞スコアが三十万を超えたあたりになると、銃弾など気配だけでさばける連中が多くなるということだろうか。どれだけ隙をついたとしてもこれではどうしようもない。
後ろから後頭部を狙っても、ひょいッと避けられて地面に着弾。これがデフォだ。正直やってられない。
高志は『その気になれば八つ橋で銃弾を止められるぜ!』とどこかのタコが実演したことをのたまっているが、放置でいいだろう。
「スナイパーライフルですか……私は使ったことがありませんが……まあ私の風魔法はライフルよりも射程が長くて速度が速いので自分で弾丸を投げた方がいいですね!」
風……というより、魔法というものは若干遅いイメージがあるが、速度や射程を極めていくと恐ろしいほどの性能を誇る。
秀星なら弾丸を投げただけでも大都市を破壊することくらいはできるだろう。まあそういう段階になると射撃というよりは爆撃だが。
高志あたりから始まっていそうなよくわからん遺伝子、どこかで止めておく必要があるのと思うのは気のせいではないはずである。
「そういえば、『再構築』が行われるたびに、そこからは何か別のシステムが導入されるといっていましたね。いったい何のシステムなんでしょうか……あっ!あれはドラゴンですね!……誰かに倒されましたね。このスタジアムという限られた区画に強い人がいっぱいいるので、体が大きいだけのモンスターは寿命が短いです」
悲しい話である。アフリカゾウだって三十分間頑張ってたのに。
「第二ラウンドはモンスター出現みたいですね。戦闘でスコアを稼ぐ人にとっては良いと思いますが……でも、ドラゴンさんが瞬殺されるのは良いとしても、すごく大勢が攻撃してましたよね。あれって誰のスコアになるんでしょうか」
うーんうーん。と考えた後、スマホを見る。
「あ。ダメージの割合が精密に計算されているみたいですね。それによってスコアが反映されますが、ラストアタックを決めた人にはボーナスがあるみたいですね。そうやってバランスを取っているわけですか……あのドラゴン。スコアがたったの二万ですね」
ひどい世界である。
「あまりモンスターを倒してもうまみはないですね。でもラストアタックボーナスが大きかったり、モンスターによっては高いスコアが設定されている個体がいるみたいですね。この『ハイパーウルトラアルティメットゴールデンギャラクシーミラクルインビシブル酸素くん』が五百万ポイント!これを狙っていきましょう!」
……………好きにしてくれ。




