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第八百十五話

 今回のバトルロイヤルイベントは加点方式でスコアを積み上げていくシステムになっている。

 時間経過で復活するわけだが、倒されたとしてもそのポイントが減るわけではない。

 あくまでも『功績がどれほど多いか』を問うのであって、『失態』に関してはとやかく言わないことになっているのだ。

 だって失態云々までやっていたら一部のチートキャラのせいでせっかく貯めたスコアが消し飛ぶ可能性がある。それを考えると、さすがに失態までというのはやめておいた方がいいというアトムの判断だ。


「むっふふ~ん♪宴会場に在ったお菓子、どれもとてもおいしかったですね~。お腹いっぱいになりました!お!あれはリンゴの木ですね!」


 宴会場に大人を二人残して、椿は一人で行動することにしたようだ。

 先ほどまでは町の中を歩いていたので、次は森の中を歩いている。

 基樹と風香が吹っ飛ばしたが、ほかにも森が用意されているのだ。

 その森の中で椿が発見したのは『リンゴの木』である。


「とてもおいしそうですね!早速食べましょう!」


 さっき腹いっぱいお菓子を食べたのでは?

 果物は別腹か?


「よいしょ、よいしょ」


 木を登っていく椿。

 別に風で刃を作ってリンゴを落とすことも可能だろうが、何となくそう言う気分ではなかったらしい。

 何が一番楽かではなく、何を一番したいかで行動を決めるタイプなのでこうなるのだろう。


「えいっ!」


 プチっとリンゴを獲得した椿。


「もぐっ……ん~……甘くておいしいです!」


 ……一応言っておくと、セフィコットが隠れて撮影しており、ライブ映像として現在も多くの視聴者がいる。

 なんだか容姿のレベルが高い女子が多いのだが、その中でも常に笑顔で何か面白そうなものを探している椿はかなり見ているものが多い。

 しかし、セフィコットが傍にいるわけではないので、椿からは見えない。

 そういう環境だが、常に笑顔で元気いっぱい活動する椿はとても見ていて可愛いのだ。


 まあ、誰かが見ているわけではなかったとしても、椿は恐らく変わらないだろう。

 考えたことを頭の中で止めておくという感覚が常人より薄いので、思ったことがほぼすべて口から出てくるのだ。

 ちなみに演技ではなく素である。


「む~……このリンゴ、どこかで見たことがあるような……あっ!今回の『スコアアイテム』ですね!」


 スコアアイテム。

 基本的にイベント参加者の得点であるスコアを獲得する主な方法は他の参加者を倒すことだが、中には戦闘向きではないものもいるのだ。

 そういったもの達は、『スコアアイテム』の発見や納品によってスコアを高めることができるのである。


 都市だけでなく、洞窟や森など、様々な『素材』が入手できそうなフィールドが用意されているので、そこでスコアアイテムを手に入れることでポイントが加算されるのだ。


「ええと……このリンゴは食べればスコアを獲得できるみたいですね!」


 中にはそういうものもある。

 大量に食べることができるスキルを持つ参加者が、スコアのちょっと高めることができるという程度のものだ。

 しかし、しっかりやればビリにはならない程度のスコアを獲得できるので、『食べる』ということが重要な時もある。

 ちなみに宴会場にはスコアアイテムは一つもないのだが、アステルが大量に釣っていたと言ったマグロの缶詰はイートスコアアイテムである。

 要するにあの段階でアステルの腹はパンッパン!だったのだ。


「むふふ~♪このリンゴおいしいですね~」


 むしゃむしゃもりもりとリンゴを食べる椿。

 その様子を見ながら、セフィコットがリンゴを食べた数を集計している。


「げふっ……ごちそうさまでした!」


 リンゴの木からリンゴが五十個消えた……。

 この小さな体のどこにそこまでリンゴが入るのだろうか。マジでブラックホールとつながってない?


「さてと、お菓子とリンゴをたくさん食べたので、レストランに行って料理を食べたいですね~」


 まだ食うのか……。


「えへへ、ステーキもいいですねぇ。むうう、海鮮丼も捨てがたいですし……麺類もいいですよね~むふふ♪」


 実際に料理を想像しているのだろう。ニコニコの中にニヤニヤが混ざり始めた。


「そういえばこのあたりは結構静かですね。向こうはなんだか竜巻が出現してますけど」


 君のお母さんは自重しないね……。

 ついでにいうと、発生しているのは竜巻だけではなく、火柱や滝まであるのだが、朝森家の長女である椿としては竜巻が一番気になるのだろう。自分のお母さんの得意属性だし。

 ……最近は関係なくなってきてる感じがするけど。


「むうう……配られたスマホにはマップ機能がないので、とりあえずレストランを探しましょうか!腹が減っては戦はできませんからね!」


 ……まあ、そうですけどね。

 というか……宴会場ではマジでお菓子しか食っていないようだ。一応椿が求めそうな料理もあるはずなのだが、どうやら椿は宴会場でそういった料理を食べる気分ではなかったらしい。

 性格の問題ではなく気分だろう。だって何も考えてなさそうだし。


「むふふ。しゅっぱーつ!」


 リンゴを五十個食べた後で、元気いっぱいで走り出す椿。

 ……人間やめてるね。

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