第七百九十三話
秀星とライズの二人で作戦が考案されて行く。
先に言っておくと、ミーシェはこういう作戦を考える段階になるとかなりポンコツなので会話に入ってきても軽く流すのが鉄則だ。
ミーシェ自身も何も考えずに適当に言っているので、こういう対応をしても何も問題はない。
途中で『ミーシェさん!トランプがありましたよ!これで遊びましょう!』と椿に連行された。
「さてと、基本的には放り込むという話だったが……実際、ギャグ補正が適用されている可能性があるんだよな……」
「そうねぇ。スキルとしては今はギャグ補正を持っていないはずよ。ただ、その時の影響がまだ残っているのか、それとも隠れスキルみたいな扱いで、実はまだ持っている。みたいな可能性もあるけど、いずれにせよ、この効果が適用されていることに違いはないわね」
「そうなんだよなぁ……こう……中途半端にやると絶対に転送装置に放り込む前に自分で帰ってくるからな」
ギャグ補正の発動条件は分からないが、九十二歳であることを考えると相当長くギャグ補正というものと付き合ってきたはずだ。
様々な発動条件を知っているだろうし、はたから見ている分には笑えるが、当事者としては『~~っ!(怒)』みたいな殺意が湧くような状況が発動することは考えられる。
「となると……使う暇もないくらいの勢いで転送装置にぶっ飛ばすしかないな」
「そうね、ぶっ飛ばされたときの変な体勢のままで拠点に放り込むことも可能よ。そうなるとすごい空気になりそうだし、こちらが考えているギャグ補正の方が上回る可能性だって十分にあるわ」
「俺自身がギャグ補正を持ってるってことと、師匠が結構予想外の行動をとってくれることが多いからな」
文字に表すと『ええええっ!?』みたいな空気になるようなことを平気でやってくれるのである。
まあそれだけを聞くと何かとあほすぎるが、これが事実なのだから仕方がないね。
「重蔵さん本人のスペックも考えると、やっぱり予想外な行動をとってくれることも考えてミーシェが出る方がいいわね。無表情のままで『それあり!?』って言いたくなるような行動をとってくれること間違いなしよ」
「補助に椿でもつけてみるか?まあそこは師匠の気分次第か」
「そうね……ただ、どちらも普段から何も考えていないのは変わらないし、きっと組み合わせるとすごいことをやってくれると私は信じているわ」
「俺もそういう点に関しては二人のことを信用してるからな」
ちなみに、こうしてごちゃごちゃと話しながらも、ライズはさらに細かいアジトの内容の把握、秀星は転送装置の作成に取り掛かっている。
秀星はそちらのパーツもある程度神兵が運営していた店で購入しているので、思ったよりもサクサク作れているようだ。ライズもアジトの中身をばっちりと捉えているようで、その顔には笑みが浮かんでいる。
ラターグに借金をしてパーツを購入した甲斐があったようだ。
「で……一つ問題があるとすればタイミングだな」
「そうね。一応、アジトには強硬派所属の五人が座れる円卓が置かれている部屋があるわ。この部屋はかなり静謐な雰囲気を持つように作られているから、放り込むならここね……ただ、五人全員が集まっているという場所があまりないのよね」
最大限の効果を発揮したいが、そのためには五人全員が集まっているところに放り込みたい。
だが、せっかく『良い部屋』があるのだからそこにしたいのだ。
「ふむ……地球で俺が何らかのアクションを起こして、五人がこの円卓の部屋に集まるような状況を作ってしまえばいいか」
「できるの?」
「まあやってみるよ」
ギャグのためなら頑張る秀星である。この場限りかもしれないが。




