第七百五十一話
アトムから破城神祖ドーラーが出現して戦ったという話を聞いた秀星。
「……俺の感知範囲に一切映らなかったぞ。いったいどうなってたんだ?」
「ふむ、よくよく考えれば珍しいね。山が平原になるほどの戦いをしたというのに、君の方から全くやってこないというのは確かに今までの君の感知範囲を考えれば不自然ではある」
電話で秀星とアトムが話している。
ただ、その話題はドーラーの強さではなく、ドーラーが戦っても秀星が感知できなかったことがあげられる。
「……ただ、私と戦っていた時、彼は確かに神としてのスペックを行使していたが、だからといって神の力を最大限に使っていたとは言えないだろう。そもそも破城神祖という名称からして、その神の力を発揮できるタイミングは限られている」
「まあ、それもそうか。でも神の力に反応するようにはできていたはずなんだけどなぁ。そもそも神って俺たちとは構成されている物質が違うからな。そっちに反応するように作っていたはずなんだが……謎だな」
「あるいは、ドーラーが君が作った感知補助システムを破壊した可能性もある。というより、ドーラーにとっての『城』という概念が、私たちが考えるものよりも幅広いという可能性も十分考えられるだろう。そう考えれば、何かしら君が作ったものを、君がわからないように無力化させて、その後で私のところに来た場合は筋が通る」
「……まあ、それが一番有力って感じだな」
要するにただ感知するというだけでも一筋縄ではいかないということである。
おそらくミーシェやライズも似たようなことができるはずだ。
敵の価値観と視点と発想の質と量がわからないのに、作戦を立てたとしてもあまり意味はない。
「……予防のために何とか感知する方針だったけど、これからは事後処理をどうにかした方がいいかな」
「おそらくそれはあるだろう。裏で何やらこそこそやっているようだが、彼女たちだけでは事後処理が間に合わないのでね。まあ、さすがの私も山が平原になるとは思っていなかったが」
「マスコミがめちゃくちゃ騒いでるな。職員が大変そうだ」
「彼らは優秀だから大丈夫だよ」
こんな上司嫌だ。
「しかし、あんな戦いが標準だった場合は問題が発生するね。最高神の神器を持つものだけを集めてどこかに住んでもらうかな」
「んなことできんの?」
「やってみないと分からないね」
神器は待機状態が存在し、ずっと現実に展開しておく必要はない。
そのため所有者の発見は難しいのだ。
「まあ、それはいいとしよう。すぐに決まるような話ではないしね」
「だな」
「あと……神の戦いというのはつまらないな」
「同格の戦いなんてそんなもんだろ。隙を見せたら終わり。ただそれだけのことだ」
「そうだね……む、そろそろ会議だ。失礼する」
通話終了。
結局のところ、神というものが相手の場合、事後処理の方はかなり面倒なのだ。
それを隠したい場合はなおさらである。




