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第七百四十五話

 備えあれば憂いなし。とは言うものの、神祖が相手だと本当に面倒である。

 不老不死が標準装備である神という属性の中で、神祖というものは最強のランクにいるのだ。


 ちなみに普通の『神』であれば、命名神から名をもらうことでなれる。

 それが第二世代型以降の神である。

 第一世代型の神は、自らに神に至るための要素を満たして、自らの『器』を破壊……器はイメージとしては皿というよりは風船なので破裂といったほうが正しいのだが、とにかく破壊すること、人間としての制約から解き放たれることで神になれる。


 ただし、基本的に人間の器は小さくて脆いので、神に至るほどの要素を得て『名』が定義される前に器が破壊される。

 もちろんこの段階でも、常人なら人生をまるごと注ぎ込むようなことを要求され、才能と素質と運と発想と視点……人が社会で成功するために必要なものがトップクラスでなければ、この段階にすらならない。

 ちなみに、神器を一つでも所有すると、器が強化されて壊れにくくなるので、神器を手にすることなく要素を満たすのが望ましい。

 ちなみに、神になる要素を満たすことなく器を破壊した神のなりぞこないを、天界では『神兵候補』と呼ぶのだが、それはおいておこう。


 命名神から名を貰えば、一発で要素を満たすことが可能なので、それによって人間としての小さな器が破壊され、神になれる。


 第一世代型の神。要するに自力で神になったものは全体の千分の一に過ぎない。

 それほどの選ばれしものだということになるが、最もアレな理由で神になったのはラターグである。

 彼の主張の一つに『人が動くと書いて働くと書く。なら神になれば働かなくてもいいんだ!』である。

 彼らしいが、『神は人間を超えたのではなく人間の限界なので人間も神も同じだ』という主張を持つ秀星には通用しない。彼は働かされる。


 そして、神祖になる場合、一体どうすればいいのか。

 答えは一つだけ。

 神になった後で、死に対する答えを持つことである。


 そもそも、死んだ人間の魂が天界に行き、場合によっては記憶を処理されて転生することが普通な世界なので、死という概念は神にとっても遠い概念ではないはずなのだ。

 その上で、不老不死の存在にとって『死』とは何なのか。

 その答えを持たないもの、そして、死という絶対的なルールと恐怖に向き合わないものは、神祖にはなれない。


 死という絶対的な恐怖の概念がなければ、人は進化しない。

 神もまた人であるならば、不老不死になったあとでも死にたいする答えを持ち、恐怖することができなければ、進化しないのだ。


 なお、鑑定神祖ライズであってもわからないことが二つある。


 死という概念に答えを出した結果たどり着いた神祖という概念。

 そこにたどり着いたものがさらなる進化を望むのなら、一体なにが必要なのか。


 もう一つ。

 器が抜かれたものが、神になれるのか否か。


 その二つだけは、ありとあらゆる情報にアクセスできるライズにもわからない。

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