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第七百四十四話

「そういえば言っていたわね。あなたが秀星の師匠だったかしら?」

「その通り」


 次の日。

 椿が『私はダンジョンに行ってきますね!』と風香を連れてダンジョンに行ってしまった。

 秀星も神祖が相手になるとなれば地球そのものに仕込みが必要であり、さらに感知するためのシステムも多数必要なため、家にはいない。

 セフィアは秀星を手伝っているし、神祖を相手とする場合、セフィアの方も余計なリソースを使っていられないので、ミーシェに対する監視も甘い。


 秀星が指摘した通り、ミーシェがその気になれば地球は簡単に輪切りになる。

 さすがに困るとかそういうレベルの話を超えるため、念入りに仕込みを行う必要があるのだ。

 リビアはほかの神兵との連携のため家にいない。


 結局、リビングでミーシェとライズが話す状態になった。

 剣術神祖と鑑定神祖という組み合わせであり、探るという点に関していえばライズの方が上、物理的な戦闘力という点においてはミーシェの方が上といったところ。

 いずれにせよ、秀星を軸にして二人は同じ家で暮らす関係だ。

 敵対する意味はないため、お互いの概念を利用する関係になるだろう。


「あなたが弟子を取っていたという話。正直信じられなかったけど、確かに秀星が戦っているところを見ると、あなたを思い出す部分はあったかもしれないわ」

「鑑定神祖であるあなたは私の戦い方をよく見ている。それは当然」

「とはいえ、ある意味納得もしてるわ。第一世代型の最高神には及ばないスペックだけど、それ以外の神であれば、下位神から最高神まで倒す実力。神器を十個持っているとはいえ、たどり着けるような領域ではない。そうなれば、いったい誰が戦い方を教えたのかということになる。神祖の中でもずば抜けて戦闘力が高いあなたが剣を教えたのなら、一応納得できる範囲になるわ」

「……」


 納得できる範囲。とは言っているが、ライズとしても核心には至らないらしい。


「もしかしたら、あなた以外にも師匠がいるかもしれない。と言いたいんだけどね」


 ミーシェが沈黙したが、その内心を看破した上で口に出すライズ。


「剣は私が教えた通り。そして私は剣術という概念を司る者であり、それ以外のことには関与しない。他に師匠がいたとして、その存在によって秀星が弱くなっていないのであれば、それで構わない。剣において、私に勝てるものは存在しない」

「フフフ。確かにあなたは昔からそういう人ね」


 微笑むライズ。

 それに対して、ミーシェの表情は相変わらず感情が乏しい。

 何を考えているのかよくわからない。

 そもそも何も考えていないというのがミーシェと出会ったうえで判断する答えではあるが、いくらなんでも限度はあるので、ミーシェなりに『唾のつけ方』というものがある。

 それがある限り、秀星の中でミーシェに対することが変わることはない。

 それで十分なのだ。


 神祖が人間に剣を教えるということ自体、非常識とは言わないし、禁止されているわけでもないが、百年という本来の人間の寿命を鼻で笑う彼女たちでさえ『非常に稀』と言わしめるほどであることは間違いない。


「……本当になんで教えたのか気になるわ。まあ、全知神レルクスが絡んでいるのではないかと思ってるけど」

「ライズ。その考えはあまい。全知神レルクスは基本的に、全てに対して間接的に絡んでいる」

「……それもそうね。ただ、直接的な部分として、秀星とのなれそめが気になるだけよ」

「今は語る時ではない」

「それを言ったときのあなたは本当に話さないから構わないわ」


 ライズは溜息を吐いた。

 鑑定神祖であるライズは物体に対して情報を読み取る力は確かにあるのだが、世の中には『偽造』という概念もまた存在する。

 そのため、ライズが鑑定神祖であると知っている存在は、それがライズと同格であれば、鑑定されても誤魔化せるほどの情報操作能力を持っている。

 至近距離で会話するミーシェはなおさらだ。

 秀星ですら幾つかライズを欺いている部分はあるだろう。


 そのため、このような場合、ライズは鑑定をすることすら危険なのである。


「……不器用なあなたにも計画があるのは分かったわ。ただ……私の邪魔はしないでね」

「……」


 ミーシェは邪魔はするなという言葉に対して、あえて言葉を返すことはなかった。

新連載の方にエネルギーが持って行かれてる感覚がします……。

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