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第七百四十三話

「ミーシェさんってとても強いんですね!他の神祖の人たちもものすごく強いんですか?」

「当然強い」

「それはすごいですね。この地球で、その神祖の人たちが暗躍している可能性ってありますか?」

「どこかに隠れているとは思うけど、あまり自分から大型の組織を作ろうと考える者はあまりいない。いたとしても、神祖同士で集まるか、私のように弟子を取るくらいだと思う」

「なるほどです!そういえば、ミーシェさんはお父さんを何で弟子にしたんですか?」

「ビビッと来るものがあった」

「なるほど。よくわかりました!」


 会話が成立しているようでかなり雑な部分が散見するミーシェと椿の会話だが、そんなものである。

 ちなみに、現在二人が話しているのはミーシェが使うことになった秀星の家の部屋である。

 ミーシェはあまり部屋に物を置かない性格であり、剣術神祖というからには剣くらい置いているのかと思いきや、神力を濃縮することで剣を作れるのでそれすらおいていないのだ。

 そのため、基本的な家具が揃ったホテルの一室のような空間にセフィアが仕上げているのだが、ミーシェは基本的にベッドに座ってボーっとしている。


 ……基本的に何も考えていないということに関していえば、椿もミーシェも変わらない。

 ただ、活動的なのか、それとも落ち着いているのか、それだけの違いである。


 二人とも寝間着姿であり、椿はピンク色のパジャマを着て、ミーシェは赤色のパジャマを着ている。

 ちなみに、夜でありながら椿の声が結構うるさいのだが、防音はしっかりしているので問題はない。


「ミーシェさんは好きな食べ物はありますか?」

「ん?なぜ今その質問を?」

「何となく気になりました!」

「好きな食べ物……『チーズメンチカツバーガー』かな」


 普通だ。ちょっと作るの面倒だが。

 ……まあ具材に寄るけど。


「チーズとメンチカツとパンだけのものですか?」

「気分に合わせていろいろ。ただ自分では作らない」

「そうなんですか?」

「私は好きなものを作るときは興奮する方。そして興奮しながら包丁を使うと、具材がすべてミキサーに放り込んだようにドロドロになる」


 加減しろよ剣術神祖。


「なるほど、よくわかります!」


 わかっちゃダメでしょ椿ちゃん。お母さんから何を学んでるんだ君は。君もミキサーに放り込んだようになるのかい?


「椿ちゃんは何が好きなの?」

「私ですか?私は基本的に何でも食べますよ!」

「……確かにそう見える」


 ミーシェに同意するものは多数いるはずだ。

 もちろん、好きにも優劣はあるだろう。

 ハンバーグだとかカレーだとか、一般的に子供が好きそうなものは椿だって好きの中でも上に行くはずだ。

 とはいえ、基本的に嫌いなものはないだろう。


「むふふ♪そういえば、ミーシェさんはなんでこの家の周りをウロウロしてたんですか?」

「弟子の様子を見に来たというのが最初の目的。これから神祖が相手になる可能性は高いと判断して、実力が足りなければ私が秀星を止めておくつもりだった」


 ミーシェとしては秀星を見殺しにするつもりはないようだ。


「なるほど。でも大丈夫ですよ!お父さんは強いですからね!」

「……それもそうか」


 なんとなく、ミーシェは頷いておくことにした。

 それが平穏に近道である。

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