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第七百三十九話

 好戦的な神祖の派閥と戦うためにリビアからいろいろ聞きたいと思った秀星。

 ……とはいえ、言うほど秀星としても情報が揃っているわけではない。

 まだ何を聞けば大きく好転するのかという『視点』がない状態であり、このままだと単に知っていることの確認になってしまう。


「ねえ秀星君。女の子が家に来て住むことになったって聞いたけど本当?」

「誰にも言っていないはずなのになぜわかった?風香」


 リビアが秀星の家に住むことになった。

 全知神レルクスからの依頼でもあるし、そこは仕方がない。

 一応、神や神兵が派遣されてきたときに、現地で困らないように住む場所を確保するところがあるはずなのだが、そちらを利用するつもりはない様である。

 ……というか、女性が家にいる、という点に関していえば、オリディアとライズとセフィアはどうなるのかという話にもなるのだが。


「女の勘だよ」

「うーん。そういうのはフィクションの中だけで勘弁してほしいなぁ……」


 本音をぶっちゃける秀星。

 正直なところ、女の勘というものは恐ろしいことこの上ない。

 推理も思考も何もかもをすっ飛ばして、ただ正解にたどり着く。

 理不尽にもほどがある。

 今の秀星にもわからないことはいろいろある。

 『ファッション』と『女の勘』と『メイクの可能性』だ。

 こればかりは心理というものの探究から離れて生きている秀星にはわからない。


「まあとりあえず上がれよ」

「うん」


 風香が上がってくる。

 ……大型のキャリーケースを引っ張りながら。

 リビングにつくと、リビアと椿がジェンガで遊んでいた。

 というかめちゃくちゃ終盤だった。

 椿がそーっと真ん中の方から抜き取っているが、秀星は『崩れるなこれ』と思った。

 そして実際に、椿がジェンガを抜くとそのまま崩れた。


「にゅやああああああああ!」


 奇声を発する椿。

 完全に負けである。


「むうううう……リビアさん。ジェンガ強いですね!リビアさんが動かしたとき、他のジェンガが全く動いてませんよ!」

「魔法で固定してるから」

「反則ですううううう!」

「ジェンガを抜き取るときに魔法で固定してはいけない。というルールはない」

「確かにそうですけど……というかその魔法も全く気が付きませんでした」

「これくらいは造作もない」

「なるほど。私もばれないように魔法で固定できるように頑張ります!」


 リビアに洗脳されているぞ。


「椿ちゃん。ジェンガをするときは魔法を使ったらだめよ」

「あ、お母さん!でも魔法で固定した方が便利ですよ!」

「相手が抜き取るときに『震度10!』って言って机を揺らす方が確実」

「その領域まで行くといっそ清々しいな……」


 誰かまともな人を連れてきてください。と願う秀星だが、まあかなうわけがない。

 もっと普通の友好関係を築けるものを傍に置いておくべきなのだ。やっていない秀星が悪い。


「それで、あなたが秀星君の家に泊まるんだね」

「はい。神格兵士大学次元矯正学部地球学科二年、リビア・ラストリーフといいます」

「私は八代風香だよ。そっか……そんな大学があるんだ。初めて聞いたよ」


 そりゃそうだ。


「まあ、いろいろ事情があってこの家に住むことになったのは間違いないからな。風香も納得してくれ」

「うん。神に関していろいろ厄介なことになってるのは何となくわかってるからいいけど……」

「納得してくれて助かる」


 嫁と姑が手を組んでいるのだ。あることないこと織り交ぜて責められると秀星だってどうしようもないのである。

 そのため、風香には納得してもらうしかない。

 それが何とかなってホッとする。


「お母さんも泊まるんですか?」


 椿が風香のキャリーケースを見ている。

 風香は頷く。


「うん。私もここに泊まるよ。椿ちゃんがいるからいずれそうしようと思ってたし」

「わかりました!」


 満面の笑みを浮かべる椿。


「というわけで、お父さんとお母さんも一緒にジェンガをやりましょう!」

((何故))


 ちなみに、既にセフィコットがごちゃごちゃしているので綺麗な状態で整えられている。

 このタイミングで何故ジェンガを……と思う秀星と風香だが、どうせ椿のことだ。何も考えていないだろう。


「……まあ、それでいいか。うん」

「あはは、そうだね」


 椿のペースというものはよくわからない。

 ただ、秀星と風香は、それに何となく反対できないのであった。

 やはり娘はかわいいのである。

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