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第七百二十五話

 戦闘力というものは、大体は本人の熟練度と装備によって決定される。

 RPGだろうと戦争中だろうとそれは変わらないだろう。


 チートアイテムの殆どは、ポイントチケットやダンジョン独自のシステムに関連するものが多い。

 戦闘力に直結するのはランクDアイテムだけである。


 それらを手に入れるのがいいのだが、一応ボスモンスターが所持しているもので、しかもランクDゆえに他のボスモンスターと比べて倒しやすいのだ。

 結果的に、他の生徒が集めている可能性は十分にある。

 結論から言えば、秀星印の剣と盾と鎧を手に入れた生徒はものすごく強いだろう。


 それはそれ、ということで、ボスドロップほどの性能ではないにしても、いくつかアイテムが用意されているのだ。


「おおっ!ダンジョンの中に海がありますよ!」

「何でもありだな」

「だね」


 椿、高志、国枝の三人は、ダンジョンのとても深いところに来ていた。

 そこに存在するのは、とてもきれいな水に溢れた海である。


「この海の奥に進めば、性能の高いアイテムが置かれているみたいですね」

「武器や防具ではなく『道具』というカテゴリらしいが、手に入れておいて損はないだろうね。武器に関しては自前のものに対して信用してるし」

「そもそも俺は何かを持ったらだいたいぶっ壊れるんだよなぁ」

「高志さんに話を振ってませんよ」

「もうちょっとオブラートに包んでくれてもいいだろ……」


 国枝の目がなんだか面倒なものを見るような感じに変わってきた。


「はぁ、ユニハーズの朝森高志。聞いてたとおりではあったけど……」

「ん?聞いてたとおり?」

「え?ああ、自己紹介はしてなかったかな?僕は林道国枝っていいます」

「林道……草太の弟か」


 高志は自分のチームに所属する糸目で薬草収集をしている少年を思い出す。

 平凡な体つきだが、『薬草収集が絶対に失敗しない』という運命みたいなスキルを持っており、ユニハーズの食料事情の八割を解決する少年だ。


「なるほど」

「そういえば亮真先輩の名字も聞いてないですね」

「御剣だよ。羽計(はばり)先輩が姉だ」

「!?」


 元剣の精鋭メンバーで、今は天竜院千秋の弟子もどきである御剣羽計の弟のようだ。


「全然そんな感じじゃなかったですよ」

「まあ、嫌気が差したとかそんなどこにでもある理由じゃないかな。まあそれはいいや。で、この海、どうやって渡る?見たところ、海の中にはモンスターもいるし、ボートとかも用意されていないよ。まあ、セフィコットに注文すればボートくらいは用意してくれるかもしれないけどね」

「「うーん……」」


 ほぼ同じ仕草で悩む二人。

 それを見て、『椿ちゃんっておじいちゃんっ子なのかな』と思う。

 かなり純粋できれいな目をしている椿だが、学力や戦闘力などを考慮せずに見ていけば高志と似たような部分は多いのだ。

 まあ、高志に似ているとなればギャンブルはやらせないけど。



 そしてここで、とある箱を用意しているセフィコットが立ち上がった。

 その中に入っているのは、海に適したアイテム。『競泳水着』である!

 もちろん、なんの効果も付与されていなければ、すごく合理的な意味でつけてくれないのだが、椿は意味があれば着てくれるおバカさんなので、『これを着て水に浸かっているときはモンスターから襲われない』という効果を発揮するようになっているのだ。


(グフフフフ。これを椿様に着せれば……)


 セフィコット越しに黒い笑みを浮かべるセフィア。

 だが、セフィコットが立ち上がった瞬間、彼女が持っている箱が、突如爆発した!


(なんでや!)


 驚くセフィアだが、セフィコットは背後に存在を確認。

 振り向くと、そこにいたのはもう一体のセフィコットだ。

 それだけならいい。

 そのセフィコットは頭にカメラのようなパーツをヘッドセットの代わりにつけており、そこには……『朝森風香操縦中』と書かれている。


(えええええ!風香様!?ていうかなんで朝森!?)


 驚くセフィア。

 だが、ふと考えれば別に難しくはない。


 なぜなら、朝森椿が実在するからである。


(ま、まさか……未来の八代風香!?)


 正解。

 だが、セフィアとしては椿に競泳水着を着せたい。

 ならプールの授業中に目に焼き付けておけばいいじゃんと思うかもしれないが、セフィアとしては写真に納めておきたいのだ。


(仕方がないですね。戦って突破する他ありません)


 セフィコットに構えを取らせる。

 ……手と足が小さくてあまりよくわからないが。


 だが、ここでスッと敵が紙を見せてくる。

 そこにはこう書かれている。


『諦めろ。性能差は五兆倍だ』


(勝てるか!)


 盛っているのかどうかはわからないが、セフィアが動かしているものよりは上の可能性が高い。


(しかし、私にも欲望はありますからねぇ)


 グッと力を入れて、突撃!

 ……した次の瞬間に、セフィアはセフィコットからの通信が途絶えた。


(……)


 コントローラーを放り投げて無言になるセフィアであった。

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