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第七十話

 地下闘技場。

 アストログラフと沖野宮高校の生徒は、そこに集まっていた。


 地下に作っているのだが、天井の高さもすごく、広さも確保されている。

 宗一郎が九重市は魔法にかなり早い段階から乗りだしたと言っていたが、関わるためのスペースを開発するために頑張っていたということなのだろう。


「フフフ。今日はこのようなイベントに参加してもらってうれしいよ」

「私と話す時は散々煽っていただろうに……」


 闘技場の真ん中で、宗一郎と英里、アストログラフの部隊長クラスの一人が話している。


 アストログラフのメンバーは、魔戦士と言うよりは軍人と言った雰囲気である。

 装備をしっかり整えているが、こちらが制服であることを考えると雲泥の差だ。

 観客席に身なりの良いアメリカ人が多いことを考えると、どうやら『見世物』として沖野宮高校に喧嘩を売って来たようだ。

 はっきり言って秀星のせいでもあるのでその分の責任はとる必要があるだろう。


「今回は、我々のような第一戦で活躍する魔戦士の実力を体験してもらえるとうれしいよ」

「それよりも気になることがある」

「なんだい?」

「そこまでペラペラ喋れるほど日本語を勉強する理由があったのかどうかを知りたい」


 宗一郎。そうそうの空気ブレイク。

 そのすぐそばにいた英里がアタッシュケースで宗一郎の頭をぶん殴った。


「痛い!ちょ、ケースで殴ることないだろ!」


 さすがに怒りだす宗一郎。


「会長。この空気でそう言うこと言うのは止めてください」


 だが、英里は丸っとそれを無視して忠告する。

 それにしても、宗一郎、かなり頑丈である。

 すごく強烈な物理的ツッコミに耐えられるのだ。秀星も、痛覚を切っているうえに傷はすぐに治るのだが、当然、殴られるのは嫌である。


「いや、だって気になるだろ。はっきり言って成績の低い生徒よりも国語力ありそうだぞ」

「来日魔戦士にはよくあることです」


 その様子をみた部隊長が笑いだす。


「ハッハッハ!日本人はなかなかユニークなツッコミをするじゃないか。容赦なく殴っていたが、ケースに細工をして軽い素材を重く見せているのだろう。なかなか漫才がうまいじゃないか」


 それを聞いた英里は、アタッシュケースを開く。

 そこに入っていたのは、ケースにぴっちり入るように作られた『鉄のブロック』である。

 明らかに殺傷力が高い。

 と言うよりすごく重いはずなのだが、よく振り回せるものだ。

 エイミーと言い、最近の女の子にはパワー系が混じっている。


「……中に入っているそれは、一体何かな?」

「鉄です」

「え?」

「鉄です」

「……そうか、ならば、もう私からは何も言わないことにしよう」


 その方がいいと思う。と秀星は感じながらも、どうしたものかと思うのだった。この空気に対して。

 そんなやり取りが闘技場の中央で起こっている中、こちらサイドも変な空気だった。


「英里さんって容赦がないですね……Dangerousです……」

「たぶんあれはね。会長さんが頑丈すぎて、あれくらいのものを持ってこないとツッコミとしてすら機能しないからだと思うよ!」

「私も雫の言う通りだと思うが……あれはなぁ」

「……この変な空気をどうしたらいいんだろうね」

「まあそこは……ツッコミ三人組。頑張れ」

「「「誰がツッコミ三人組だ!ていうか無茶ぶりにもほどがあるだろ!」」」


 とまぁ。こんな感じでギャグ要員がほとんどなのでなかなか話が進まない上に緊迫感もゼロである。

 そんな感じで話していると、宗一郎と英里が戻ってきた。


「まあ戦うことになったが、作戦は覚えているな。『開始早々瞬殺作戦』だぞ」

「はっきり言って動くの俺だけにならない?それ」

「ぶっちゃけて言うとそうなるが、まあ、手加減はしろよ」

「「「瞬殺で手加減に何の意味が……」」」


 ツッコミ三人組。頑張るな……。


「さて、そろそろ配置につくとしよう」


 と言うわけで。

 秀星が何歩か前に出て、あとのメンバーは後ろに下がるという感じになった。

 向こうの部隊長が笑っている。


「ハッハッハ!まさか。君一人で我々十人を相手にするつもりなのかね?」

「……話が長いぞ。さっさと始めようじゃないか。腰の銃は飾りじゃないんだろ?」


 秀星はマシニクルを構えて魔戦士たちの方に向けた。

 部隊長は挑発に乗ることにした様だった。


「いいだろう。目にものを見せてやる」


 部隊長は近くの端末を操作すると、ホログラムが出現して、10カウントが表示される。


「フフフ。君たちは貯めこんでいるようだからな。我々が勝利して、それらをすべて回収してやる」

「どんなに言いつくろっても『強奪』にしかならんよ。まあ、身の程を教えてやるよ」


 カウントがゼロになった。

 それと同時に、魔戦士たちが引き金を引こうとした。

 そうなる前に、秀星はマシニクルのトリガーを引いた。

 次の瞬間、圧縮していた空気を解放するかのような爆弾が彼らのそばで炸裂し、全員を吹き飛ばす。

 壁に激突したり、地面に転がったりと悲惨なことになっているが、知りません。


「……全員気絶してしまったな」

「そうだな……帰るか」

「うん」


 と言うわけで、秀星たちは撤収した。

 とまあ、そう言うわけだ。

 魔戦士が相手だと、秀星が攻撃可能な場合、一秒も持たないのである。

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