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第六百九十五話

「……」


 セフィアは時々思うことがある。

 それは『サービスを提供されている側の要求というものは加速度的にランクが上がっていく』というものだ。


 面倒な言葉をいろいろ使っているように見えて別に何も難しいことは言っておらず、なおかつ普通のことだ。

 なお、セフィアは世界樹商品販売店を運営してはいるものの、行うサービスそのものに制限が存在するため、セフィアとしても淡々とこなすだけだ。


 しかし、このポイントチケットによるサービスの提供は、秀星から『できる限り反対はしないように』と言われているので、セフィアとしても内容に制限がほぼない。

 そして、そのサービスを使う側は、『このサービス提供者がどこまでやれるのか』ということを判断しているものである。

 その判断値は、セフィアゆえに最初から高いといえるだろう。



 ……余計な言葉を連ねても解決しないので、何が起こっているのかを言ってしまった方が速いか。

 セフィアはとある『要求書』を持っている。


『要求書。椿ちゃんと風香ちゃんが一緒のベッドで寝ている写真』


 とまぁ、こんなことが書かれているのだ。

 正直、セフィアとしてはこんなものを渡されても『私がバラバラにされるのでは?』と思わざるを得ない。

 風香がこの画像データ提供に対してどう考えているのかがわからないのだ。

 そんな状況で、風香自身を含めた写真。

 正直、ばれたら風香が何をするのかさっぱりわからない。


「……はぁ、何故私は、マスコット・セフィアに裁量権を与えたのでしょうね」


 セフィアは後悔した。


 数多くのサービスを引き受ける必要があるわけだが、いちいち上の意見を聞いているような暇はない。

 マスコット・セフィアにはあらかじめ多種多様な判断材料が詰め込まれており、それをもとにそのサービスは受けるに値するかどうかを判断している。


 そこまでは良い。

 ただセフィアにとって予想外だったのは、『マスコット・セフィアが煽り耐性が低かった』ということだろう。


 実例を挙げると、『マスコット・セフィアって、世界一位の男の神器によって作り出されたんだろ?だったら写真を撮ることくらいならできるんじゃないか?』みたいな感じだ。

 マスコット・セフィアにしたって別に受ける必要はないのに、売り言葉に買い言葉(マスコット・セフィアに発声機能ないけど)でムキーッ!となって了承してしまったのだ。


 今後のマスコット・セフィア作成の課題である。

 まさか作った人形にほぼ完ぺきな感情と呼ばれるものが宿るとは思っていなかった。さすが私。

 などと自画自賛している余裕があればセフィアとしてもうれしいものだが、マスコット・セフィアに裁量権を与えて、そしてその裁量権を行使して了承した以上、セフィアの最高端末でも無効化できない。


 セフィアと一般生徒たちのそもそもの実力差を考慮すると、『契約』というものは重要だ。

 何故なら、セフィアが守らないといえば一方的に通せるだけの戦力があるからだ。

 何をどうしたってセフィアの方が妥協しなければそもそも成立しない契約だって多いだろう。

 そのため、『一度結ばれた契約』はセフィアの方が守る努力をしなければならない。


 のだが、非常に面倒な要求をしてくる者だっている。


「仕方がないですね……撮りましょうか」


 さすがに風香だって、寝ているときは警戒心は緩んでいる。

 ……といいなぁ。

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