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第五百八十一話

 ギラードルはとっても教師としてすごい人である。

 人というか神だが。


 休み時間にちょっと耳をすませば、『リオ先生ってすごくわかりやすいよね』という言葉がいつも聞こえてくる。

 まあ実際、とても分かりやすい。

 ラターグは『土台をしっかり作れば後で必要なものは全部乗っかる』みたいなことを言っていたが、それはあくまでも、マンツーマン指導を行える環境の話。

 ギラードルの場合は大勢に対して教えなければならない。

 ギラードルの『教師としてのやり方』の場合は、『魔法というシステムが、何を自動でやってくれるのか』というシステム的な話だ。


 頭の中で勝手に行われていること、体が勝手にしていること、『手動』と『自動』が混在する『半オート半マニュアル』な魔法という概念が、どのように成り立っているのか。

 そしてその上で、人間がするべきこと、要するに『手動』が何なのか、そして、『自動の部分の育て方』というものを解説する。


 現代の世界よりも深くまで構造を理解しているからこそできる指導方法と言える。

 こうすれば、生徒たちはその手動を実行し、自動で行われる部分を成長させることで、実際に成長を実感しやすいのだ。


 言い換えれば、『魔法という概念を扱う上で『才能』と呼ばれるものがどういう点なのか』がわかっているのである。

 そりゃ学生たちは分かりやすいというものだ。


「教えるのはうまいんだけどなぁ」


 秀星はそうつぶやく。

 そう、教えるのはうまい。

 だが、ギラードルがしゃべるときの翻訳エンジンは、意外と真理を突くわりに、内心では間違えているという現状があったので、『内心では何考えてんだコイツ』と思ってしまうのだ。


「まあ、言っていることそのものに間違いはないんだから、別にいいか」


 言っていることは間違っていないが、考えていることは間違っている。

 ……意味不明である。

 だが、言っていることは間違っていない以上、責めることはできない。

 なぜなら、『正しい知識を手に入れた結果、言っていることが間違った』らそれは本末転倒である。


「はぁ、次はどうなるんだろうなぁ……」


 秀星が言う『次』というのは、神々が起こした騒動はひとまず収まっているとして、次は何が起こるのか。ということだ。


「セフィアはどう思う?」

「今のところ、何かが起こるような要因があるようには思えませんが……」

「じゃあ真面目に、どこから入ってくるんだろうな」


 ギラードルが何かしらの警戒をしていたのは分かる。

 ただ、ラターグの予想では、それが発生するのは百年や二百年では済まない時間だ。

 神々のタイムスケジュールを考えれば、今秀星がいる次元の太陽が死んだあとの可能性だってある。

 何億年後だって話だ。


「結論から言えば全然わからん……どこから入ってくるんだ一体……」


 異世界あたりから来るのかな?と思う秀星。

 ただそうなると……勝てるんだよね。多分。


「もういーや!どっからでもかかって来い!全知神レルクス以外!」

「その保身の走り方はどこで学んだのでしょうね……」


 セフィアは呆れたように溜息を吐いた。


「というわけで、ひとまずは日常だ!謳歌しよう!」

「神を相手にするのは嫌。ということですね」

「そういうことだ」


 秀星はそういうと、そのままベッドにダイブ。

 そのまま即座に寝るのだった。

 セフィアは『こういう切り替えの速さは秀星様らしいですね』と思いながらも、部屋を後にするのだった。

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