第五百六十四話
ダンジョンに潜り始めて三十分ほど経過。
「……ねえ。誘っておいていうのもなんだけどさ。飽きちゃった」
「まだ三十分しかたってないぞ」
「でもね。飽きちゃったんだよ。どうしようか」
「……はぁ、帰るぞ」
「ん?いいのか秀星」
「別にいいだろ。俺だって長居する理由はないしな」
そうと決まれば、ダンジョンからさっさと出る。
そして、魔石を換金した。
三百万円くらいになった。
「三十分で三百万円か。時給六百万だね」
「大して多くないように感じるんだよな。最近世界樹商品の店からの収益見るけど、利益やばいからな」
「お金、何に使ってるの?」
「日本中のインフラ整備だ。規制緩和されて新規参入がやりやすくなったからな。世界中の新幹線と鉄道をバンバン作りまくってる」
「へぇ。駅員さんは誰を雇ってるの?」
「全員セフィアだ」
「……駅員さんも車掌さんもあのメイドさんか」
「ああ」
「それはまたなんというか……」
セフィアの全ての端末は、秀星の好みの影響ですべて巨乳の美少女、または美女である。
客だってそりゃ増えるというものだ。
「しかし、インフラ整備ねぇ。天界にもあるけど、そこまで進んでないね。昔は天界にいる人間たちのために結構作ってたんだけどなぁ」
「緊縮財政で作れるわけないだろ」
「まあそれもそうだけど、遠距離移動が日常的に必要なやつが電車よりも移動速度が速いんだよね。中には転移する人もいるし」
「ぶっちゃけ神に要らないもんな。まあ、天界には人間もいるから、そっちのやつらは使うんだろ?」
「そうだね。でも最近作ってないんだよなぁ」
天界の様子を思い浮かべるようにラターグが頷く。
「さてと、この三百万円で何をするの?」
「全額寄付でいいだろ。ぶっちゃけ端数だし」
「三百万って端数だったか?僕はたまに地上に旅行することもあるが、明らかに一般人の年収だろ」
「まあまあそういうのは良いんだよ」
「でも、三百万円をポンッと出しても、運営側の懐にはいるだけじゃない?」
「……セフィア」
「はい」
セフィア出現。
「毎回思うんだが、普段どこにいるんだ?」
「どこにでもいますよ」
「え?」
「冗談です」
冗談に聞こえなかった。
「というわけで、まあ、適当に寄付しておいてくれない?労働者にきっちりわたる感じで」
「一応、世界中に会社を作っていますから、貧困地域に送っておきます」
「そうか」
「さすがに先進国には送らないよね」
「私たちが建てた会社の規模を考えると三百万円は端数ですから」
「お前もかよ……」
どうやらロクな金銭感覚をしていないようだ。
「それでは、私は失礼します」
セフィアは紙をピンッとはじいて、秀星に渡した。
そして、消えていく。
「?」
秀星は紙を開いた。
『秀星様の自宅に、平等神様がいらっしゃいますよ?』
……は?




