第五百四十九話
「……わからん」
秀星は頭の中で様々な法則を思い出した後で、さらに起こっている現状を頭の中でまとめたが、何がどうなっているのかわからなかった。
確かにラターグが言う通り、『最大多数の最大幸福』などまったく考えていない。あくまでも利己的なことをしているのであろうことは推測できるのだが、それ以上のことがわからないのである。
だが、それでは敵の方針は分かっても、それだけだ。
「まあいいや。いまはこうしてモフモフしよう」
「えへへ、しゅうせいさ~ん」
秀星が住んでいる九重市には山が存在する。
その山にもモンスターは出現し、『人に対して無害なモンスター』であるエイドスウルフや白銀浪マクスウェルがいるのだ。
エイドスウルフたちのリーダーであるナターリア。
そして、マクスウェルであるガイゼルと、その娘であるライナが洞窟に住んでいる。
そのライナを撫でているのである。
「ぐ、ぐぬうううう。なんでこの若造が来るたびに、ライナが向こうに行ってしまうんだ……」
「父親の威厳がないからだろ」
気持ちよさそうに撫でている秀星のことが大好きなのか、ライナは気持ちよさそうにしている。
そのため、秀星が来た場合はガイゼルから離れて秀星の方に移動するのだ。
そして、それに対してガイゼルが悔しそうに見るのがいつものことである。
「zzz……」
「あ、寝ちゃった」
「なんだかよく寝る子になったな」
「俺たちも生まれたては人間の赤ん坊と同じく、よく寝る子だ。寝ていてもかわいいだろ?」
「ああ。そうだな」
秀星はライナを隣にいたセフィアに手渡した。
セフィアは「よーしよーし」といった様子でライナを揺らしている。
寝ているライナはとても気持ちよさそうだ。
(((ひょっとしたらセフィアのことが一番大好き説があるな)))
何となくそう思った男三人である。
女性としてとても魅力的な体をしているセフィアの体はとても柔らかいのだ。
なれている人間が撫でたとしても確かに気持ちよさそうに寝るだろうが、女性が抱いていた方がよく眠れるに決まっている。
「さてと……秀星、最近いろいろと嗅ぎまわっているようだな」
「ああ。ついでに言えばいろいろなところでいろんなものを作ってるよ」
「神々が相手だったな」
ナターリアたちには、一応話しているのだ。
というより、人間以外の種族から見てどう考えるのかが知りたいと思ったからである。
「さて、何か神について分かったのか?」
「いや、全然」
「わかっていないのか……」
「いやー……敵がどの神なのかがわかればある程度絞れるんだけど、その情報を握ってそうなやつが黙ってるんだよなぁ……」
神々は本当にできることが多いのだ。
しかも一人に対して専門性がとても高いため、だれなのかがわからないとマジで意味不明である。
対応しなければならない範囲がとても広いのでお手上げである。
「ふむ、土台の部分があって、それを対応すればいいのではないのか?」
「実はそんなことないんだよ。その土台の部分に俺は手が出せないんだよ……だってその土台は天界にあるんだからな」
「世知辛いな」
「全くだぜ」
というわけで。
「で、人間じゃない二人には何か思いつくことがあるかなって思ってきたわけさ」
「「無茶言うな」」
その反論は紛れもなく正論である。
「本当にどうしようか……あ、そうだ。二人とも神獣になってみる?」
「「え?」」




