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第五百二十八話

 高志、風香、羽計、雫、椿

 来夏、ジーク、草太、アレシア、美咲


 この十人が集まって戦っていた。

 ただし、一対一が五つある。という状況にはなっていなかった。

 きちんと五人VS五人である。

 このメンバーだと、それぞれのリーダー、および羽計と美咲が近距離専門となる。

 ビルをシャカシャカすることができるものが遠距離攻撃ができないというと片腹痛いが、そもそも高志と来夏がぶつかった場合、下手な近距離戦闘は周りで行えないし本人もできない。

 中途半端に遠距離攻撃を訓練している場合、高志と来夏の戦いの余波に巻き込まれて即退場だ。


 そのため、高志と来夏がぶつかり、羽計と美咲がぶつかり、あとは三人ずつでぶつかるというものになっている。

 ちなみに戦っている場所は『大都会』である。

 ただし、現実のものではなく生成された空間のものでしかないので、別に全壊したとしても心は痛まない。

 それがわかった瞬間、高志と来夏はその出力を圧倒的に上げた。

 今では更地である。


 そのため、今は更地で戦っているのだ。


「うおおおおりゃああ!」

「おらあああああああ!」


 高志と来夏の拳が衝突。

 それだけで、地面が陥没し、周りの空気がビリビリと震えて、空間がビキビキと悲鳴を上げる。


 ……来夏に対して『大剣はどこに?』という疑問があるかもしれないが、これに関しては、高志が『男は拳で語るもんだぜ』といった瞬間、来夏は大剣を放り投げて拳を構えた。

 来夏は女である。まあ。今更性別など気にしても仕方がない。


「こ……こっちまで響いてくるな」

「にゃにゃ!とんでもない威力ですにゃ!」


 余波に耐えている羽計と、ポチと融合している上に、本来の語尾が合体して『~ですにゃ』状態になりながらも耐えている美咲。

 高二と小六が真正面からぶつかっているわけだが、これでも意外と何とかなってしまうのが剣の精鋭スタイルである。

 単純に美咲の成長速度が速いだけだし、実際互角に見えるがよく見れば羽計が普通に押している。という現状なので、五歳年上としての矜持は普通に守られているので問題ない。


 問題があるとすれば大体高志と来夏に決まっている。運命を定める神がいたとしてもこの二人に押し付けるに決まっている。だって楽だもん。


 ……話を戻すが、両チームの総合力は結論から言えばほぼ互角だ。

 高志と来夏の戦闘力差だが、沖野宮高校の教室の教卓の上での腕相撲は高志が勝っていたが、そもそも二人にはギャグ補正がかかっており、この二人に適用されているギャグ補正がすごいものであることは事実だが、効果そのものはあやふやである。

 一概に『こっちが強い』とは言えないのである。


「ふう、なかなかやるな」

「当然だぜ」


 余波だけで大都市を更地にしておいて『なかなか』ってどういうことなのだろう。

 ……そのような環境なのに、周りで戦っている両チームメンバーも人が超えてはならない壁を超えている気がしなくもないが。


「ふう、そろそろ最後の一撃と行こうか」

「だな。ちょっと腕が悲鳴をあげてきたし」


 それ本当か?

 ただ確実なのは、腕が悲鳴を上げてきたとか言っている割に、数秒もしたらケロッとしているということだが。

 これだからギャグ補正は心配のしようがないのである。


「むむ?これからリーダーの一騎打ちですか?」


 椿がそんなことを言った。

 それを聞いた全員が、なんというか『もうそれでいいや』という空気になった。

 疲れてきているのである。

 高志と来夏が引き起こす余波に。


「なるほど、どうやらそれで全員が問題ないみたいだな」

「なら、拳で決めようか!」


 お互いに構える。

 そして……。


「どりゃああああ!」

「おらあああああ!」


 同時に駆け出し、そして右手を振りかぶり、思いっきり殴る。


 ★


「あー、今日は流星がいくつも見れて縁起の良い日だ……最近、流星になるの流行ってんのかな」


 秀星はそんなことをつぶやくのだった。

 ちなみに『沙耶ああああ!見てるかああああ!母ちゃんはいま空を飛んでるぞおおおお!』という声が聞こえてくるのは気のせいではあるまい。

 ちなみに沙耶は晶と相撲中であった。

 赤ん坊同士の相撲が成立するのかという問題がありそうだが、成立するので問題はない。

 ちなみに、自分の名前が呼ばれた瞬間に『う?』となって隙になり、晶にやられたので号泣している。


 母子の溝が深まっただけであった。

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