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第五百十八話

 とりあえず座標を確認して転移する秀星。

 宇宙空間でも大丈夫なのかという疑問に関してはこの際もうおいておくとして……。


「ちきしょおおお!座標ミスった!待てやゴラアアアアアア!」


 ツボを追いかけていた。

 さすが秒速十五万キロメートル。

 地球で考えていたような予測がすべて通用しない。

 おまけに空気抵抗もないので速度が落ちない。

 控えめに言って舐めていた。


 ちなみにツボに対して叫ぶ秀星だが、そもそもツボに声を聞けるはずがないし、音速がカタツムリにすら感じないほどの速度で進んでいるので、完全に音を置き去りにするゆえに声が届くわけがない。

 そもそも、真空状態で声が響くわけがないのである。宇宙映画では音がバンバンなるが、実際の宇宙では、星が爆発しようと静かなものなのだ。


「クッソ!一体どんな勢いで投げたんだ。人間が出せるような速度じゃないだろ!」


 今更である。


「おりゃ!よーし捕まえたぞ。止まれやオラッ!」


 ツボに手を触れて、停止魔法をかける秀星。

 なんとかツボは停止。


「ふう、えーと、必要なパーツは……これだ!」


 プレシャスをつかってギコギコして内部に侵入。

 歯車がどうのと言っていた割に、魔法書を並べた大型魔法陣が構成されていて、なぜわざわざ歯車など使っていたのか不明だが、とりあえず手に入れた。


「あと二つか。よーし。やったるぞオラあああああ!」


 先程からテンションはおかしい秀星。

 流石に秒速十五万キロメートルの物体との鬼ごっこは疲れるのだろうか。


「……よくよく考えれば、延長線上で待ってればいいじゃん」


 別に丁度で待つ必要はないのだ。


「そうとなれば、転移」


 転移する秀星。

 だが悲しきかな。まだ彼は、秒速十五万キロメートルの凄さがわかっていない。


「置き去りにされたああああああ!」


 鬼ごっこテイク2。

 どこか、頭のまわっていない秀星であった。


 ★


「え、お父さんが歯車の回収に行ってるんですか?」


 秀星はどこだ。という話になった。

 ので、セフィアが説明した。

 それに対する椿の反応である。


「はい、光の半分の速度でツボが動いていますので、とりあえず止めて、その後で回収しているそうです」


 セフィアの説明に、剣の精鋭、ユニハーズ問わず、『光の半分の速度』を理解したものは飲んでいるものを吹き出したり、思わずむせていた。

 最終的に高志と来夏に視線が移るが、二人は興味がないのか格ゲーの真っ最中である。

 コントローラーが壊れないかが心配だ。


「お父さんってすごいですね〜」


 すごいのはそうだが、それで片付けていいのだろうか。

 ……まあいいのだろう。どうせ常識を説明したところで意味不明だろうし。


「話が変わりますけど、未来では、私はお父さんとお母さんと、三人でお風呂に入ってますけど、今ってどうなんですか?」


 今度は高志と来夏も吹き出した。

 で、勢い余ってコントローラーがぶっ壊れた。

 そして、聞かれた風香はというと……。


「え、えっと……そういうのはちょっと……」

「ふむふむ、わかったです。あ、夜は同じベッドに寝るんですか?私は三人で一つのベッドで寝てましたよ」

「そ、それもまだかなぁ……」


 まだと言っているあたり、意識しているのは間違いない。

 まあ、未来から娘が来たらそりゃ意識もする。


「あと、未来のおじいちゃんは、お母さんはベッドではすごいことになるって言ってましたよ!」


 椿はそんなことを言った。

 全員の視線が高志の方を向く。


「え……え?俺が悪いのか!?二十年後だろ!?」

「あと、おばあちゃんはお父さんとお母さんがあんなことやこんなことをしているところをビデオに撮っていると言ってましたね。私は見せてもらったことないですけど」


 当たり前である。

 そして、全員の視線が沙羅に突き刺さる。


「ウフフ。隠せてないほうが悪いのよ」


 そうなのだろうか。


 その後しばらく、椿による暴露が続いた。

 まあ結果的に、高志と来夏の自爆が巡り巡った。といったところだろう。


 一番驚いたのは……基樹と美奈の娘が、初の女性の総理大臣になった。という点だろうか。

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