第五百十一話
隕石を確認したらやっておくべきことはいくつかある。
「秀星、とりあえず、反射魔法をいくつもかけておくべきじゃないか?」
実の父親に何だがすごく現実的なことを言われた秀星。
「なあ、父さん」
「なんだ?」
「なんでそういうことを最初に言わないの?具体的には、最初に隕石がやってくるってタイミングで」
「いや、秀星。俺のところに相談に来なかっただろ。俺がどうやっていうんだ……」
高志は実は馬鹿ではない。
高志もまた、沖野宮高校に通っていた。
そのため、沖野宮高校の卒業生である。
そしてその成績だが、常に全教科で態度などの点も含めて満点だった。
授業態度が本当に良かったの?と思う部分があるかもしれないが、その場合は、うるさく説明するが、その説明が教師のレベルを超えるため黙殺させたというだけの話である。
都心部から離れた昔の田舎の学校ゆえに発生する問題も色々抱えていたが、身体能力で高志が負けるわけもなく、常に勝者である。
そんな高志なので、常識的なことがわからないわけではない。
そして来夏も、親が最高会議の一席を有する魔法の名家、諸星家の長女であり、幼いころは帝王学すら学んでいた。
当然、通っていた高校でも成績はトップだった。
今でこそゴリラみたいな感じだが、昔はおしとやかだったのだ。
なんでこうなったのやら。
要するに、意外とギャグ担当の二人の学力がトップクラスなのである。
当然のことだが、学力がトップクラスということは、常識的な判断は当然できる。
ならやれや。断る。
それだけのことである。
「で、実際に俺の案はどう思う?」
「今から準備しても間に合わないから『なんで今言ったの?』って聞いたんだよ」
「どういうことだ?」
「そもそも反射に限らず、飛んでくる物体に対応しようとする場合、魔戦士は『物理的』『魔法的』『情報的』っていう3つの視点で対応するわけだ」
「殴り返すか、反射魔法を使うか、そもそもの直進方向を変更させるってことだな」
「そうだ。で、今からくる隕石は、それらに対するプロテクトが凄まじくかけられてるから、全部効かないんだよ」
「秀星でも無理なのか?」
「無理だ。時間があれば間に合うけど」
「どれくらいの時間が必要なんだ?」
「二時間」
「……それは要するに、もう二時間もしないうちに隕石が降ってくるってことでオーケー?」
「オーケーだ」
「なるほど……秀星。隕石が落ちる場所を教えてくれ」
「どうするつもりだ」
「俺の石頭でなんとかする!」
秀星は高志の頭に拳骨を振り下ろした。
仰向けにパタリと倒れる高志。
完璧に気絶している。
「拳骨も受けられないのに隕石が大丈夫なわけあるか」
なんだか疲れてきた秀星。
「まあそういうなよ」
「復活だけは速いなぁ」
「秀星」
「?」
「何度倒れても立ち上がればいいのさ」
「かっこいいこと言ってるけど状況が釣り合わないんだよギャグ親父」
「だいたいワンパンで終わるから、言えるときに言っとかねえと置いてけぼりになるんだよ」
「俺が知るか」
なんで自分の親父の見せ場まで自分が考えなければならんのだ。
「まあそれはそれとして、隕石はどうするんだ?」
「……正直、隕石の方はプロテクトがバリバリにかかってるから面倒なんだよな。だったら、落ちてくる場所の土とかを強化しておくほうがまだなんぼかマシだ」
「だったら今からするべきことは、その位置の特定だな!」
「父さんは役立たずだから帰っていいよ」
「ひどいぞ我が息子!」
秀星は『なんかこのおっさんのそばにいるといろんなことが馬鹿らしくなるなぁ』と思いながらも、何かを言えばきっちり反応してくれる高志に対してはなんの抵抗もなく話す。
そもそもの話をすれば、高志が持っているスキル。『ノーガード・マインド』の効果により、高志に対して誰かが何かを言う場合、公共の場であれば遠慮が下がり、公共の場でなければ遠慮がほぼなくなるという効果がある。
簡単に言えば『精神的な障壁に関係なく、本音を口に出させるスキル』であり、高志が持っている雰囲気と合わされば、大体の相手は高志に対して嫌悪感がほぼないのだ。
……まあ、高志自身は超ウザいけど。
あまり家族に対して執着がないように見える秀星だが、高志と話すときは、本当の意味で遠慮がないのだった。
親子として、これは悪くない。
新しく、『タレント・ドメイン』という小説を書きました。約三万文字くらいの短編です。
ローファンタジー型の主人公最強の小説なので、お試しに作者ページに飛んで、読んでみてください。




