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第五百七話

「買い物続行だぜ!」

「だぜ!」


 高志と来夏がそう叫んだ。

 それに対して、秀星、風香は苦笑し、沙羅は微笑み、椿は目をキラキラさせている。

 何とも心境がわかりやすい状態になっているが、こうなるのはどのみち時間の問題だっただろう。

 何だかそんな気がするのだ。しかもかなり。


「来夏さんも来たんですね!」

「この店に売ってるものをじかに見ようと思ってな」


 グッドサインを出す来夏。

 とても楽しそうな表情だ。

 まあそもそも、最初の段階で混ざってこなかったのが不思議なくらいである。


「そういや基樹はどこだ?」


 高志があたりを見渡すが、先ほどまで一緒に戦っていた基樹がいなくなっている。


「基樹なら『萎えた』って言って帰ったぞ」

「あれ、なんで?」

「詳しくは知らん。すべてが馬鹿らしくなったような表情をしてたけど」


 どんな表情だろうか。少なくともいろいろ絶望していそうである。


「はぁ……まあそれはそれでいいか!」


 哀れである。

 とはいえ、ギャグ補正を持っている二人がそれぞれのリーダーなのだ。馬鹿らしくなるのは当然である。

 ちなみに秀星も萎えているわけだが、エリクサーブラッドの影響で、萎えたとしても別に根本的に活動力が低下するわけではない。

 常にベストコンディションを維持する。というのがエリクサーブラッドの機能なので、必然的にそうなるわけだ。


「そんじゃ、買い物の続きに行くか!」

「おー!」


 来夏がそう言って、椿が右手を挙げて反応。

 かわいらしいが……来夏に対する懐き度がすさまじい。

 まあ、思春期の女子にとっても、来夏は面白いということなのだろう。

 椿は若干アホっぽいというか天然というか、そういった部分が入っている。

 すべてが遅いのだ。


(未来の俺はどんな育て方をしたんだろうな……)


 どうせインフレするからと言って最初から感覚をマヒさせているのだろうか。

 もしそうなってしまうと『なんかやっちゃいました?』系に直行するので注意が必要である。

 ……いや、高志と来夏が好き放題やっているので今更か。

 別に転生しているわけではないので問題はないだろう。

 たぶん。


「それにしても、あまりにも遠くのことすぎて、市場には全然影響がなかったな」

「そうですね。市が開かれて初期段階で支配しておいてよかったです」


 恐ろしいことを言う母親である。


「さーて……お、あれ美味そう!」 


 来夏が走って行って買いに行った。

 購買力があるのはいいことだ。と思っておけばいいだろう。おそらく。


「さーて、次はいったい何が飛んでくるのか知らねえけど、隕石だろうがモンスターだろうが倒せばいいだけの話だ。秀星も気楽にいこうぜ」

「……その意見が間違っていないわけじゃないんだが、父さんが言うとなんだか不幸なことになりそうな気がするんだよなぁ」

「そうだよね……」

「お前らひどくね!?」


 あまりの返し方にうなだれる高志。

 これに関しては日ごろの行いの問題である。


「あはははは!」


 そしてそんなうなだれている高志を見て笑う椿。

 意外と残酷である。

 ……残酷ではない天然を秀星は知らないが。


「まあいいや!さっさと買い物済ませるぞ!」


 それに対しては同意する。


(気楽に行こう。か……確かにそうだな。どうせ対処療法にしかならないんだろうし)


 そもそも、解決できるとしても根本的な部分を秀星が解決しようとはしないだろう。

 自分から動いてしまうと、すぐに終わってしまってつまらなくなる。

 ならば、ここで考えたところで実行に移らないのだから無駄である。


(たまには雑に行こうか……いつもだな)


 肩車してほしいのか、自分の肩にジャンプで上手く乗っかる椿を支えながら、秀星はそう思った。

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