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第四百九十二話

 定期市では様々なものが売られている。

 中には、『こう言ったものが売られているだろうから、あったら買ってきて』という感じでお使いのリストを渡された。

 しかし、そのメモを持っているのは椿である。

 普段は沙羅がこのメモを持っており、高い鑑定能力と広い観察能力に加えて、理不尽な転移能力を使うことで確実にそれらを集めてくるわけだが、椿に渡すということは、要するに重要ではないということだ。

 実際にメモを確認したところ、内容はそうでもなかった。

 椿が特別弱いというわけではないが、完全に早いもの勝ちの買い物で、ユニハーズが求めているような商品をどこも狙っているのである。

 誰もが求めるような人気商品をもぎ取っていくことはほぼ出来ないだろう。という判断だ。


 正解である。


「この定期市、いろいろそろってるけど、無いジャンルもあるんだな」


 秀星はそうつぶやいた。

 視線の先では、椿と風香が風を発生させる魔法具のようなものを見ている。

 この島ではモンスターの平均レベルが思ったよりも高いので、結果的にストイックに強さを求めなければならない場合も出て来る。

 しかし、椿のように純粋な瞳で、純粋な笑顔ができる人間は多くない。

 風香のことをお母さんと呼ぶその理由はわからないが、秀星と同じような外見が見られるので、関係者だということは分かるため、もう今更である。


「だな。基本的に、武器とかは売られてねえぜ」


 高志の返答に秀星は頷く。

 高志が言う通り、この定期市、ほとんど武器が売られていない。

 ナイフなどをはじめとしたサバイバルグッズとしてのものはあり、とても高性能で扱いやすそうだったが、あくまでもそれは武器になりそうなものであって武器ではない。

 本当に、武器が少ないのである。


「それぞれで鍛冶師を抱えているからか?」

「それもあるが、武器としての性能が高かったとしても、自分の体格にあった大きさと重さでオーダーメイドするやつが多いのが事実だし、そうでなくとも、神器を使う奴がほとんどだ。武器ってほとんど売れないんだよな……」


 悲しい現実だが、直視しなければならない部分だろう。

 メイン武器の性能が高すぎて、サブを用意する必要すら感じていないものが多いということだ。

 それに加えて、秀星の『オールマジック・タブレット』のように、武器を創造できる神器を持っている者もいるのだろう。

 武器屋にとっては世知辛い話だ。


「まあ、そんなことはなんかどうでもよくなってきたんだよ」

「ああ。俺もだ」


 高志が呟いたので秀星は即答する。


「なあ父さん……隕石降ってきてね?」

「俺もそう思ってたところなんだよなぁ」


 物騒な事実。

 それを、二人で言い合うのだった。

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