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第四百八十七話

「ここが定期市か。意外と大きいな。しかも思ったよりも近代的だ」


 そもそも市場と言うものは、大きな町の中央にある広場に存在するもの。

 この島は、それぞれが素材を持ちよって売買が行われているが、基本的に『町』と言うものは必要とされていない。

 それだけ『文明』と言うものに敏感なモンスターがいるということだ。


 広くはないと思っていたが、その予想は大きく裏切られた。

 広々とした草原を使って、ある程度の高さの壁に囲まれた円形の町。

 門番はいないが、そのかわりにセンサーがやたら出入り口についている。

 内部は網のように張り巡らされたものとなっており、裏路地なども存在するため、『黒い商売』も、しっかりできるようになっているようだ。


(あと、思ったよりも亜人が多いな。ユニハーズにいなかったのはただの偶然か)


 町の中には、獣人やエルフなど、純粋な人ではない種族のものが多くいた。

 多種族が混同している市場ということになる。

 異世界でもあまり見なかった光景だ。


「……この町、一体どうやって作ったんですか?」


 椿が秀星に聞いた。


「裏路地とかいろいろあるが、かなり機能的に作られてる。全体的に『例外な場所』がないところを見ると、一人の人間が設計、建設を行ったのは間違いない」

「へぇ、結構ここ使ってるけど、そこまで考えたことはなかったぜ」


 高志がそういったのを聞いて、秀星も一つ気がついた。


「父さん。この街って、毎回同じデザインなのか?」

「ん?ああ、そうだな。建物の内装を変えてくれたりはするし、その変更された設定は毎回引き継がれてるけど、基本的に毎回同じだぜ」

「……なるほどな」


 秀星は理解した。


「……何がなるほどなんだ?」

「いや、自分が持ってる神器と似たようなものを持ってるやつがいると思っただけだ」


 秀星は観察する。


「多分アステルもここに来ればわかるだろうが、この街、何度も使い回されてるな。収納型の神器で毎回格納してる」

「え、街って収納できるのか?」

「これくらいの規模なら問題ない。ただ……高さに制限があるんだろうな。近代的だとは思ったが、高い建物がほとんどないし」


 高度制限の低いサンドボックス型のゲームで近代都市を作ろうとしたような感じ。といえばいいだろうか。


「今回のこの町の目的って、あくまでも持ち寄ったものの売買だろ?だったら、大型のショッピングモールで十分だ。なのにこんな町を用意して使ってるってことは、裏で相当面倒な駆け引きが発生してるぞ」


 秀星がそう結論づけたときだった。


「へぇ、思ったよりも面白いこと考えてるんだね」


 後ろから声をかけられたので振り向くと、秀星よりも年下であろう少年がいた。

 隣には、いつかみた『オリジンエルフ』の青年、ハルヴェインが立っている。


(……こいつが、新道英司か)


 ハルヴェインや影葉の上司。

 いったいどれほどの実力者なのやら。

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