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第四百七十七話

「おお!広いね!」


 豪華客船なだけあって、内部だけで見ても確かに広いが、甲板まで行ってから見ると本当に広い。

 糸目の少年、草太はボロボロになったガーデニング施設を見てげんなりしているようだが。


「あの、仕方のないことだと思いますよ~?」

「そうだよ。だって生き残ってるだなんて最初から考えてなかったもん」

「内部もひどいところはひどかったですからね」


 美奈、雫、アレシアの三人の言い分である。

 ……なお、行動するメンバーが最初彼らを手伝っていたメンバーとあまり変わっていないのが現状だが、風香と美奈に関しては交換されている。

 まあ、大した理由はないので気にする必要はない。

 あえて言えば気分である。


「まあ、それもそうだよねぇ。うだうだ言っても仕方がないか」


 草太は糸目のままで微笑む。


「さてと、何か見つけようか。なんだかいろいろなところで様々な発見をしてそうだし、甲板にも何かるかもしれないしね」

「海底から強引に引き上げたのに、甲板にものが残るのでしょうか」

「ちょっと僕も無理があるだろうなって思ったところだからそういう純粋な疑問を投げかけてくるのは止めてもらいたい」


 美奈は思っているよりも純粋である。

 気を付けないと純粋な笑顔でグサッと抉って来るのだ。


「さて、まあ考えるのは後にしようか。どのみちしっかり考えようと結果は変わらないしね。この状態だと」

「今の状態で分かることはあるのですか?」

「そうだねぇ……さっき僕がみた植物だけどね。実は普通に海水でも花を咲かせる魔法植物なんだよ」

「え?」


 雫がそれを聞いて驚いた。

 海水でも花を咲かせる。と言う部分に関してはそうでもない。

 そもそもそういった『本来なら植物が育たないような環境で育つ植物』はしっかりと発見されているので、『そう言ったものがある』と言うことに対して驚きはない。


「ですが、一体なぜそのようなものが?海水で育つ植物は、色が悪いと聞いたことがありますし、実際に見せてもらった時、飾るようなものではなかったのですが……」

「あの植物独自の効果があるってこと?」

「あるよ。あれはね。海底でも空気や食料、飲める水を生成するものなんだ。適正の土があれば、なお効率よく作ってくれる」

「……では、海底で何かをしていた。ということですか?」

「だろうね。しかも、このあたりの海って、見えているよりもかなり浅いらしいよ。だから、ギャグ補正があるからって引き上げることが出来たんじゃないかな」

「お父さんなら、本当に深海でも引き上げてたと思いますよ~」

「それは僕も思ってるんだよ。ちょっと純粋にそういう指摘は止めてくれないかな……」


 なかなか止まってくれない美奈の精神攻撃。

 ちなみに、悪意ゼロである。たちが悪い。

 だが、兄が秀星で彼氏が基樹で、父が高志で母が沙羅なので、もしも何かあったらと思うとかなり怖いので何も言えないのだが、


「あの、船が浅いところにあったことが今の話に関係があるのですか?」

「もちろん。だって……この船、海底で作られたかもしれないしね」

「「「えっ!?」」」


 三人とも驚いた。


「すさまじい技術力だけど、何かに特化した結果、常識では考えられないようなことを普通にやってのけるのはよくあるパターンだ。多分これも、その一つだと思うよ」

「あの、明確な根拠はあるのですか?」

「もちろん。というか……いくら基礎がしっかりしてるからと言って、無理矢理に引っ張り上げたらやっぱりバラバラになるでしょ。そうなると、海底の中にいながらも、普通に建造してしまうことが出来る技術の可能性は否定できないんだ。海水に対する耐性に特化した金属って、科学が発達してなかったら普通に欲しい技術だよ」

「はえー……あの植物からそこまで分かるんですね」

「ただ……豪華客船を作れる時点で、高度な科学技術があると思いますが……」

「種類が違うよ。『海水耐性特化』の金属を作ることが出来る魔法技術があるのなら、魔法の技術レベル的に、豪華客船くらいは作れるのさ」


 『専門家』には難しい話になるけどね。と続ける草太。

 その顔には笑みが浮かんでいる。

 糸目は楽しそうに微笑んでいた。


(ただ……これ、アステルや秀星も気が付きそうなんだよなぁ。洞察力があるのはいいけど、『本質』を無条件に知ることが出来るのはずるいよ全く)


 外面は微笑んでいるが、内心は愚痴っていた。

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