第四百七十二話
ユニハーズにしても剣の精鋭にしても、共通点はいくつかある。
リーダーが自由な感じで、なおかつリーダーの絶対王政状態であると言う点。
メンバーが基本的に単騎として強く、連携と言う点においては強くはないと言う点。
細かく見て行けばいろいろあるだろうが、たいしたことではないのでいいとしよう。
全員がそれ相応に手際がいいので、やることが早く終わる。
そのため、メンバーはそれぞれ、早めにやることを終わらせて拠点に帰るのだ。
ただし、双方のリーダーであるこの二人は違う。
「あ、来夏!もうちょいそっちを引っ張ってくれ!」
「おう!」
いつもどおりの服装。
来夏は剣の精鋭の制服。
高志はバキバキの白装束である。
そんな状態で、二人は今にも沈みそうな小舟の上でロープを引っ張っていた。
……考えられる中で一番頭の悪い方法でサルベージを試みている気がしなくもないが、それでも成功する可能性があるのがギャグ補正という厄介なスキルである。
「ふにゅおおおおお!」
「おらああああああ!」
ちなみに別々の小舟に乗っているので、足場はかなりグラグラになる。まあ小舟に乗っている時点でそうなるのは当たり前なのだが、それはともかく、二人は真剣である。
……この調子だと、引き上げるのにまだ時間がかかりそうだ。まあそもそも、ロープをかける作業をこの短時間で終わらせたと見るとかなり優秀なタイムである。
「うーん。やっぱ船首に巻き付けただけだと船って引っ張り上げにくいな」
「だな。いけるとおもったんだが……」
そして数少ない褒めポイントすら自ら踏みにじるのがギャグ補正がギャグ補正と呼ばれるゆえんであろう。
残念なバカ共である。
「あ、そうだ」
「どうした?来夏」
「オレはもっといい方法を思いついた」
「なんだ?」
「それはな……全力でやればいいんだ!」
「おお!なるほどな!」
誰か日本語訳してくれ。
「そんじゃ行くぞ!」
「おう!」
「「せーの!」」
思いっきり引っ張り上げる二人。
……ちなみに普通に考えるならば、小舟の上でロープを引っ張って、下にある重いものを引っ張り上げようとすると、確実に小舟のほうが沈む。
未だにそうなっていない時点で不思議なことである。
「ぬおおおおおお!」
「もう少し、もう少しだああああ!」
……あえて言うならば、彼らが引っ張っているロープの手の位置はほとんど変わっていない。
遠くのものをロープを使って引っ張る場合、次々と物体に近い位置にロープの持ち場所を変えていくものだが、全く変わっていないのだ。
真面目な話、何を根拠にもう少しと言っているのだろう。
「あとちょっと……あとちょっと!」
「ふんぬうううううううう!」
実際にサルベージされると物理学的にマズイのだが、なんと、下の方から大きな物体が浮上しているではないか。
「「おりゃああああ!」」
二人が同時に叫んだ瞬間。
ザパアアアアアアン!というとても気持ちのいい音と共に、豪華客船がその姿を表した。
……ボロボロだが。
「よっしゃあああ!上がったぞおおおおお!」
「会いたかったぜ!タイタニック二世!」
感動のところ悪いが、高志のネーミングのせいで、なんだかまた海底に逆戻りしそうな感じになった。
これに関しては誰にもどうしようもないので、諦めてもらうとしよう。
ともあれ、サルベージ完了である。
なお、これをどうするつもりなのかは不明である。




