第四百七十話
「どりゃあああああ!」
「せあああああ……」
「……なんで私、ここに割り当てられたんだろう……」
オウガが岩石のような材質の大剣で敵を薙ぎ払い、天理が聖剣で敵を薙ぎ払い、そしてその後ろで優奈が黄昏ていた。
「ふう!やっぱり暴れるのはスカッとするからいいぜ」
「同感」
「……でも叫んだ時に気合が乗ってなかったぞ」
「あれがデフォ」
「さいですか」
どうやら何かが通じあっている様子のオウガと天理。
それを見ながら、優奈はいろいろと納得できていなかった。
もちろん、基本的に剣の精鋭メンバーはノリで動いているということは分かっているのだが、だからと言ってすべてが納得できるかとなれば当然そう言うわけではない。
優奈は剣の精鋭の中では常識人枠である。
何を持って常識人とするのかと言うと、『理不尽』か『理解不能』なことをしないということだ。
常識と言う言葉はありとあらゆる言葉を許容する便利な言葉。
強者に属していたとしても、秀才と言う程度なら常識と言う言葉は許容してくれるのである。
そして、天理という爆乳の聖剣使いは、優奈から見て非常識だというわけだ。
……剣の精鋭メンバーにしても、ユニハーズメンバーにしても、自分が非常識だと分かって行動しているメンバーが多いというのが問題なのだが、もちろん、それを問題とするものは多くはない。
基本的に全員のポテンシャルが、それぞれのチームで活動するにふさわしいレベルに達している。
で、そのレベルに達しているということは、言いかえるなら『あとは人事権を持っているものの好みで選んでいる』ということだ。
何をどう考えても、剣の精鋭の人事権を持っているのは来夏であり、ユニハーズの人事権を持っているのは高志だろう。
「どうしたんだ?優奈」
「いや、なんだか、最近私の影がどんどん薄くなってるような気がして……」
優奈としては適当に答えただけだが、なんとなく、自分だけの特徴と言うものが薄くなっている気がする。
あえて言うならば徒手空拳を使うということくらいなのだが、専門ではない秀星の方が断然強い。
そうなって来ると、正直『やってられるか!』と思う部分もあるのである。
「影がねぇ……何か自分だけの戦闘手段がほしいってことか?」
「そうね。何かあればいいんだけど……」
「優奈。安心しろ。秀星と同じ学校に通っていない時点で大体みんな薄いからな」
「そう言うことが聞きたいんじゃないわよ……」
「……てことは要するに、『チーム内で強さに大きく開きがある』みたいな話をしたいわけか」
「それもそうだけど……」
考えがまとまらない優奈。
で、考えがまとまらないので、とりあえずオウガが言った題材で話すことに。
「チームの中での戦力差ねぇ……」
「秀星と基樹が飛んでもなく強くて、来夏はそれとは別の意味……っていうか、質が違う強さを持ってる。その三人がとんでもなく強いのよね……」
「なるほどなぁ……」
「ユニハーズではそういった差はないの?」
「……まあ、高志が思いっきり強いし、俺はアステルには勝てる気がしねえけど、まあ、それくらいじゃね?」
思いっきり強いといえる人間はいるものの、魔戦士チームでも少数精鋭となれば、基本的にリーダーにカリスマか、絶対的な強さのどちらかがある。
「まあ、最終的には気にしても仕方がないってところに行きつくもんだぜ?だってすぐに解決できるわけじゃねえもん。みんなが一芸に秀でてるんだ。付け焼刃で何とかなるような奴らじゃねえんだろ」
「……それもそうね」
優奈はオウガの『短時間ではできない』という意見には納得した。
……せざるを得なかった。と言う方が正しいかもしれないが。
「まっ、いいじゃねえか。ここでは面倒なこと考えるより、暴れることを考えた方が良いぜ」
優奈は何となくではぐらかされているのだということには気が付いていた。
が、それで何かを言おうとは考えていなかった。
ここにいる全員が、頭脳系ではなく、何かしら答えを出せそうなメンバーとは思えなかったからである。




