第四百六十五話
最終的に、『班分けをして、このエリアでのユニハーズの活動に混じってみよう!』ということになった。
そうなった経緯であるが『それぞれのチームに所属しているメンバー全員の合計二十人で集団行動』など頭おかしい。ということ。
それに加えて、高志が『俺は来夏とちょっと船をサルベージしに行くからな!』とのことだった。
全員の頭が『?』となったのは紛れもない事実である。
沙羅がヘッドロックをきめていたが、問題はないのだということにしておこう。
ちょっと『バキッ』と頸椎が割れた音が聞こえた気がしなくもないが、高志なら大丈夫だ。
「というわけで、班分けするぞ!こっちで決めたからな!」
来夏が紙を見せてくる。
パッと見た限り、二十人分の名前があるので全員参加は確定。
全員の中に『面倒なことになりそうだなぁ』という感想があるものの、ここで吠えたところで仕方がないので放置する。
適度な何かが必要である。
★
そして、その第二班である秀星と基樹、アステルの三人。
第一班は高志と来夏である。
「さて、すでにやることが終わったから、適当にしゃべるか」
三人で拠点に帰るところだった。
一応、彼らがやっていたのは討伐なのだが、さすがに『世界一位』と『元魔王』のコンビでは耐えられるモンスターはおらず、その素材はめでたく秀星が持っている神器の保存箱の中に収納された。
語ることなどない。あえて言えば発見するのが困難なモンスターというだけの話であり、アステルの『眼』によって一発で発見され、基樹の圧力で押しつぶされ、秀星が急所を一閃。これだけである。
「そういえば、俺、アステルが戦ってるところを知らないんだが、どんな戦い方なんだ?」
秀星がそういった。
基樹はそもそもユニハーズのメンバーだったので、アステルが戦っているところを見ているはずだ。
しかし、秀星は当然知らない。
「……そうだな。いうより見せたほうがわかりやすいか」
アステルは上を見た。
そこでは、大きめのドラゴンたちが移動中であった。
「まあ、あれくらいの的があれば十分か」
アステルが腕を横に出す。
すると、そこには一本の黄金で三つ又の槍が出現した。
装飾のない、言い換えれば『光のようなものが集まった感じ』でシンプルである。
アステルはそれを上に向かって投げた。
すると、槍は分裂し、追尾しながらドラゴンたちを貫いていく。
そして全員を貫いた後、すべてが粒子のようにサラサラと消えて行って、アステルのそばで再構成された。
「……トリシューラとゲイ・ボルグを足したような性能だな」
「かなりの『ターゲット機能』を本人に求める武器ではあるが、それをもとから備えている私にはたやすいことだ。把握できたかな?」
「ああ、まあ、基本的には『槍を射出するタイプ』だと覚えておくよ」
「その認識で構わない」
というわけで、アステルは『殲滅型投擲者』だと判明。
「しっかし……格闘ゲームよりも無双ゲームのほうが好きそうな手段だな」
「オウガもそうだがな」
「だな。雰囲気が似てるし」
「え、似てるか?」
基樹が首をかしげる。
確かに、外見や性格を言えば、『外見と精神が落ち着いている』のがアステルで、『荒々しくてやんちゃ』なのがオウガだ。
まあそのオウガも、来夏や高志にはある意味で及ばないが。
「いや、俺が言ってるのは……父さんの仲間になる前にどこにいたのかって話だけどな」
「ほう?そこまでわかるのか」
「ああ。なんとなく、オウガと一緒にどこかでドンパチやってたんだろうなってのはわかるけど、それがどこなのかがいまいちわからん」
「安心しろ。君の母親以外はわかっていないからな」
「さようで。っていうか母さんもやばいなぁ」
秀星としては何を言えばいいのやら、と思うのである。
「俺もわからないんだよな。アステルの昔の活動場所。まあ、お前のかあさんほど謎じゃねえな。やっぱり」
異世界で元魔王だった基樹にとっても、秀星の母親のことはわからない。
謎を抱えているというより、謎しかない人である。
「まあそれはいい。どうせ答えが出ない」
「だな」
「それにしても、ドラゴンが軍隊行動か。小説のフィクションならここからさまざまなドラマが生まれるってのに、俺たちだと片手間だな」
「今更そんなことを気にするな。俺らだって急所つけば一発なんだぞ」
「……秀星もか?」
「単に『死亡』させるだけなら俺だって一撃でやれるよ。ただ、俺の場合は魂のほうでも結構自由がきくからな」
「死とはいったい……」
「答えが出ないからスルーだ。というか……お前たちはそんな話しかできないのか?」
「「すみませんでした」」
なんとなく謝った二人である。
「さて、ほかのところはどうなってんだろうなあ」
「秀星が気になっているのは?」
「草太のところかな?多分……ついて行った三人には理解なんてできないだろうからな」
「大したことなさそうに見える糸目小僧。っていうのが俺の第一印象だった」
「大体の人はそう思うだろうな。父さんの仲間の時点で大したことないわけないんだけど……」
秀星としてもそう思う。
アステルもうなずいた。
「そうだな。アイツは、私たちには理解できない力を使っている」
「ああ。そうだな」
しかもそれが、秀星の切り札を、限定的に、秀星以上に使いこなした結果だというのだから、笑えない。
(できれば同じ班になりたかったなぁ。まあ、夜にでも話すか)
頭の手帳にそんな予定を書き込む秀星であった。




