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第四百五十七話

「ま、概ね秀星が考えている通りになってるって感じじゃねえか?」

「だろうな。我が息子ながら、いろいろわかりすぎててアレだなぁ」


 来夏と高志はそんなことを言いながら、また酒を飲んでいた。

 ちなみに、大量に買ってきたものである。

 彼らの胃袋が納得するだけの酒をこの『九重市』が抱えているのかと言う疑問が若干湧いてくるのだが、魔法社会になり、しかも使いやすい有望なダンジョンがあることで、かなり挑む方も人が多く、その中には当然、生徒達だけではなく大人も含まれる。

 そして、なんだかんだと酒は売れるもので、どこの店にもおいてあるのだ。

 ……自分の体の体積の倍以上の酒を買って行く奴はそうそういないだろう。家庭で大人数が集まって宴会をするならともかく、こいつらの場合は二人でイッキである。


「これからはそんじょそこらの奴らが攻めてくるだろうな。良い遊び相手となると、このあたりは来ねえかもしれねえぞ?」

「まっ、それはいいだろ。そもそもアーク・テーゼの時点でそこまで期待してなかったし」


 そう言いながら、缶ビールをイッキする高志。


「それもそっか」


 来夏は瓶ビールをイッキした。


「ゲフッ」


 ゲップをする高志。

 ちなみに、缶ビールに限らず、飲料水が入っていた物体と言うのは、片づける時に嵩張るものだ。

 そう言った部分もあるこの物体。

 この二人が処分する場合はどうなるのかと言うと……。


「あ、来夏。缶のゴミだけど、ぺしゃんこにして捨てようぜ」

「おー、そうだな」


 高志はポイっと真上に放った後、落ちてくるそれを両手でパンッと叩いた。

 手を放すと……。


「あ、何か砂鉄になった」


 ざーっと高志の膝の上に砂鉄が降ってくる。


「おー……」


 すでに思考能力が低下している様子の来夏。

 自分が持っているビール瓶をそのままポイっと真上に放って、バリグシャ!と両手で叩いた。


「あ、オレのも砂になった」


 言っていることは同じでも意味がかなり違う気がしなくもないが、そもそもビール瓶は洗浄したのち再利用されるものだと思われる。

 というか、ビール瓶は頑丈なのだ。飴で作った演出用のものではないのだから、叩き壊すことなく、分別したうえで普通にゴミに出すのがいい。

 何故砂になるのかは不明。

 ちなみに、高志が砂鉄にした空き缶だが、大体は千個以上まとめて圧縮し、アルミニウムの原料にしたあとで、再度アルミ缶になったり、他のアルミニウム製品になったりする。


 いずれにせよ、手でパンッとやって砂にするのは社会不適合な処分方法である。

 他の人にできるかどうかは別として。


「あ……これからはゴミ袋の中で潰すか」

「そうだな」


 勝手に納得している二人。

 ちなみに見えている結果を一つ上げるならば、限界までギチギチにいれた砂状の物質が一つの袋の中に入る場合、ほぼ確実に袋の材質では耐えられないので『想像もしたくないこと』が発生するだろう。


「……で、何の話だったっけ?」

「我が息子がいろいろと犯罪者に対する状況を理解していることと、このあたりだと遊び相手がいないってことだな」

「あー……そうだったな」


 そんなことを言っている二人だが、ここで高志が思いだす。


「……てかそもそも、俺、普段活動してるところでいろいろやることあるんだったわ」

「あ、オレもだ。最近、剣の精鋭として稼いでなかったからなぁ。たまにはダンジョンに入っとかないと」

「ん。俺の活動場所にダンジョンあるぞ」

「お、それなら、剣の精鋭の皆でそっち行くわ」

「おう、俺の仲間もみんな紹介してやるから、全員連れて来いよ」


 ロクでもないことになりそうな予感しかしない計画である。

 そのロクでもない部分の最も大きな部分だが、簡潔に言えば『問答無用』であることだろう。

 基本的に、他人に対する迷惑はあまり考えていない高志と来夏。

 とはいえ、本当にやばい部分に関していえば、高志はその優れた勘で回避し、来夏は『悪魔の瞳(ラプラス・アイズ)』で回避するので、基本的に『人が我慢できるギリギリ』を突いていくスタイルだ。

 そりゃ周りの人間はストレスがたまる。

 もちろん、それと同時に恨んでいるのかと言われるとそうでもないのが不思議なところだ。


「さーて、遠足の計画を決めようぜ」

「おーーー!」


 これから何をするか、と言う部分が決まって上機嫌な二人。

 忘れてはならないのは、今現在、二人には酒が入っていることと、『この二人は酒が入っていた時に決めたことを大体許容する』と言う部分である。

 要するに、賢者タイムなど存在しないのだ。ギャグ担当でもこれは周りがかなりキツイ。


 周りの人間が胃薬必須になりそうなこの現状。

 不幸なことに、周りには誰もいなかった。

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