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第四百四十一話

「……?」


 風香はどこか不穏な空気を感じとった。

 『儀典旋風刃』を使った彼女だが、使用直後ならまだしも、ゆっくりと休める状態になればそれ相応に回復できる程度まで成長しているので、激しい運動はしていないが、それでも危機感知能力くらいは通常通り機能している。


 チラッと、マスコット・セフィアを確認する風香。

 バトルロイヤルの観戦者のためにいろいろはこんでいる彼女たちの様子に変わったところはない。

 ……何も持っていないやつが大体ポテッと転ぶのだが、一体どういうことなのか。


(……神器のメイドなら、何かあれば気が付いているはず。それがないってことは、既に大丈夫な状態になっている?)


 そう考えなおせば、バトルロイヤルに参加していない強者として、来夏と高志がいる。

 今頃何をしているのかは知らないが、それが聞こえてこないということは、誰にも迷惑をかけていないくらいの規模でいろいろやっているということだ。少なくともボーっとしているとは到底思えない。


 そして、二人が風香よりも危機感知能力が高いことは、ほぼ確実だろう。

 不穏な空気が流れている沖野宮高校を、危機と考えるのかどうかは本人次第だが。


(というより、本当にどこにいるんだろう)


 本気を出した風香は、しばらくは全力で戦えない。


「むう。あの二人の相手はきつかったです……」

「ふにゃあ……」


 聞き慣れた声の方を向くと、ポチを胸に抱いた美咲がいた。


「美咲ちゃん」

「あ。風香さん。こっちにいたですか?」

「うん。基樹君にあたっちゃってね」

「かなり疲れているように見えるです」

「ちょっと本気出しちゃってね」

「わかったです。それと……ポチが先程から周りを警戒しているようにみえるです。風香さんはなにか知っているですか?」


 コテッと首を傾げる美咲。

 風香はそれをみながら頷く。


「うん。今、ちょっと面倒な人たちに囲まれてる可能性が出てきたからね」

「……なるほどです。でも、二つの学校から強い人が集まっているので、大丈夫だと思うです」

「そうだね。最終的には、あのなかから秀星君もでてくるだろうし」

「……秀星さんなら、あの中からでも悪い人を倒せると思うです」

「あ、たしかにそうかもね」


 距離に制限がないとは最初から思っていたが、次元に制限がないという発想はなかった。

 周りで起こったことを素直に自分の中の『常識』に組み込める美咲らしい発想である。


「それに、今学区の外には、リーダーと秀星さんのお父さんがいると聞いたです。多分大丈夫です」

「……そうだね」


 必要以上の不安がなければ、人は適度な緊張を保てるものだ。

 美咲の発言は、風香にとっていいものになったようである。


 ★


 さて、その頃のバカ二人だが……。


「高志!このビルは、沖野宮高校を襲撃しようとしている奴らのアジトの一つみたいだぜ!」

「なるほど。久しぶり暴れるのもいいな!」

「だが、オレは新しい遊びを考えた!」

「なんだ?」

「ビルの下をギコギコやって、ビルを一分間振り回して、窓から出てきた人数を競うっていうのはどうだ?」

「いいなそれ!じゃあ俺はこのビルにつながってる電線をちぎってくる!」

「おう!オレはこの剣でギコギコやっておくから、頼んだぜ!」


 おっそろしいことを実行しようとしていた。

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