第四百二十話
「それで父さん。父さんが普段から一緒にいる人ってどこにいるんだ?」
「あら、秀ちゃん聞いてないの?今日は重要なところの調査があるんだけど、環境の関係で役に立たないから家に置いてけぼりになっていただけなのよ?」
「……俺は確かに『紹介する』と聞いたんだが」
「単なる見栄ね」
「父さん。息子相手にだめな背中を見せたくないからな!」
「「手遅れ」」
「ハモるなよ!」
というわけなので……。
「まあ、誰もいないってことは誰も巻き込まないってことさ。というか、秀星もこの島に面倒なのが近づいてるのは分かってんだろ」
秀星はそれに気がついていて、それを隠そうとしたが、一瞬視線が『その方向』に向いた。
もちろん、両親がそれを見逃すことはなかった。
「気がついてるみたいだな」
「ああ」
「まあ、俺の仲間が調査に行ってるのは逆方向だし、そもそも気がついてねえと思うけどな」
「なるほど、西の方でコソコソしてるのが父さんの仲間か」
「そういうこった。というわけで秀星。その面倒なやつ。倒しに行こうぜ」
「……チラホラ耳に入る父さんの噂を総合すると、だいたいワンパンで終わってるそうなんだが?」
「今回の敵は増殖系っていうか、そんな感じの数で物を言うやつだからな。父さんは近づけないと殴れません」
何故かドヤ顔の高志。
秀星はとりあえず殴っておいた。
「おぐふっ。やっぱ俺の息子だ。鉄拳エグいな」
「秀ちゃん。もっとやっていいわよ」
「調子に乗りました。慈悲をください」
「そうねぇ……子供作りましょうか」
「わかった」
なんの会話だ。
資金的に問題はないと思うので育てるのは大丈夫そうだが、だからといって限度があるぞ。
「これで、秀ちゃんが三年生になる頃には弟ができるわよ」
「妹の可能性もあるぞ?」
「私がほしいだけよ」
さいですか。
「というわけで秀星。行こうぜ」
「……一応聞くんだが、俺に用事があったらどうするつもりだったんだ?」
「俺の息子なら暇だろ」
「自分と息子に失礼だなこの親父……」
このままだと話が進まないので行くことになった。
とはいえ、秀星としても高志の戦闘力は気になるし、それは高志の方も同様だろう。
まあ、何をするにしてもモンスターを倒すだけなら、すぐに終わりそうな親子である。
方や世界最強。そしてその父親同伴である。
モンスターの気持ちになって考えると悲惨だが、こればかりは弱肉強食なので仕方がない。
「……ちなみに、子供を作るのはマジなのか?」
「お前たちもそんなノリで産まれたぞ」
「命って軽いなぁ」
「だろ?ちなみにベッドでは俺が下で母さんが上だ」
「これからの父さんのこと『ワンパンマグロ』って言ってもいいか?」
「いいわけねえだろ!」
そんな会話もあったが、討伐のため現地に行くことになった。




